前号に引き続き、ジェイドグループの田中裕輔社長(写真)にM&A戦略などについて聞いた。
〈通販新聞1月15日付 第2022号(2026年1月15日発行)2面〉
——ロイヤルが広げ過ぎた商品群を減らしていく。
「家具、家電などの中には良いブランド、商品があるので、そこに集中する。プライベートブランドは10分の1くらいにする。良い商品はあってもマーケティングが十分ではなかったので、商品を作り過ぎていた体制から180度変え、商品開発プロセスやパッケージを含めて基本的には私がOKを出したものだけを出していく」
——期待しているPBは。
「7つあって、軸になるのは『ルーザー』というブランドだ。代表的な商品としては、『スマートテーブル』という冷蔵庫付きのテーブルで、スピーカーも内蔵している。また、『超電磁クッキングヒーター』は従来のIHクッキングヒーターでは使えなかった土鍋などにも対応しているし、高速加熱もできる。その他のブランドでは、真ん中に穴が開いたドーナツ型の電動シェーバーや、サッカーのキーパー用グローブなど良い商品、ニッチ市場でシェアが高いアイテムもある」
——靴とファッションを扱う企業にとってファッション以外の商材を展開するメリットは。
「ファッション商材は『夏の長期化で売れない』といったケースが毎年のようにあるので、ジェイドグループとしてはど真ん中の商材ではないが、ファッション以外のカテゴリーを扱うことで服や靴が苦戦しているときに売り上げを確保できる。ロイヤルのPBにはポータブルファンなどがあるので、夏場の売り上げも期待できる。もちろん、商品をむやみに増やすことはしない。1型で1億円程度を売る商品もあるので、そうした商品に絞って展開する」
——家電なども「ロコンド」で販売するのか。
「家電は『ロコンド』ではなく、これまで通りロイヤルの販売ルートである家電量販店などで展開する。キーパー用のグローブはスポーツ用品店に卸しているので、『リーボック』の卸も強化できる」
——実店舗についてはどうするのか。
「『ゼットクラフト』のリアル店舗は赤字店舗が多い。今後、不採算店舗は閉鎖するが、黒字の店舗や、『ロコンド』や『ピースパーク』の店舗に置き換えることで黒字化できそうな店舗、広告効果が高い店舗は残していく」
——好調な「ピースパーク」のEC展開は。
「これまでは『ゼットクラフト』の中に入っていて、感度の高いファッション商材や雑貨などをセレクトした店舗として展開していたが、3月1日をメドに『ピースパーク』として独立した通販サイトを開設する予定だ」
——IT面の統合をそれまでに実施する。
「物流とシステム統合を2月末までに完了させる。マガシークのときはブランドEC受託の部分が複雑だったので時間がかかった。ロイヤルの場合は楽天市場などECモールでの販売が大半なので、割とシンプルだ。『リーボック』のときも物流とシステム統合は3カ月で完了したので、今回もそこまで時間はかからないと思う」
——ロイヤルの倉庫はどこにあるのか。
「三重県に2拠点、岡山県に1拠点、計3つの倉庫を構えているが、三重の1拠点は民事再生手続きの中で手放すことになっている。この拠点はECモール向けの倉庫で、ここで扱っていた商品は当社の物流拠点『ロコポート』に移す。残りの2拠点は3PL用の倉庫だ。三重の倉庫は、土地は借りているが建物は自前で、岡山の倉庫については土地も建物も自前で、国道沿いに8万平方メートルの敷地を持っている。本格的な3PLは当社にはない機能なので、ロイヤル主導で営業を強化していくし、ロイヤルの3PL用倉庫が満杯になれば、『ロコポート』の空いているスペースの営業もしてもらう」
——今回のM&Aはジェイドグループにとってもさまざまな価値がある。
「良い縁だったと思う。当社の『リーボック』は、ECは順調だが卸は伸びていなかったので、卸事業を強化できるのはありがたい。これまでのM&AはEC専業を買収して倉庫とシステムを統合するのがパターンだったが、今後はEC一本足打法ではなく、物流とシステムを提供するプラットフォーム事業や、『リーボック』などのブランド事業についても強化、補完できるM&Aが増えていく可能性はある。ベネッセさんから譲り受けた生活情報誌『サンキュ!』も好調で、3カ月で投資回収できたのでさらなるメディアのM&Aもあり得る。ファッションECモールで一番のゾゾさんとは異なり、当社は2番手だからこそECだけでなくさまざまな事業でシナジーがある企業のM&Aを実施していく」
——「ゼットクラフト」のECとのシナジーはどうか。
「楽天市場については、『ロコンド』も出店しているので、お互いのノウハウを持ち寄って強化するが、本音を言えば『ゼットクラフト』のロコンド店をもっと強くしたい。総合ECモールでの販売は大事だが、依存し過ぎるのはリスクがある。ロイヤルが当社グループに入ったことで『ロコンド』でも売りやすくなるし、自社ECも強化していく」
——マガシークのときのように社員の退職が相次ぐような事態は起きていないか。
「大丈夫だと思う。ロイヤルのメンバーはけっこう気合が入っていて、完全に肉食系の会社なのでガッツがあるのは安心材料だ」
——「イーザッカマニア」や「ゼットクラフト」などECモールの人気店の経営不振が続いている。
「多くの場合、モール内の価格競合が激化する中で、仕入れ原価が上昇し体力を消耗するというシンプルな構図だと思うので、価格競争のない売り場で戦うことが大事になる。ロイヤルの場合は自社ECだったり、ほぼプロパー価格で販売している『ピースパーク』の戦略が大事だ」(おわり)
前号に引き続き、ジェイドグループの田中裕輔社長(写真)にM&A戦略などについて聞いた。
〈通販新聞1月15日付 第2022号(2026年1月15日発行)2面〉
「家具、家電などの中には良いブランド、商品があるので、そこに集中する。プライベートブランドは10分の1くらいにする。良い商品はあってもマーケティングが十分ではなかったので、商品を作り過ぎていた体制から180度変え、商品開発プロセスやパッケージを含めて基本的には私がOKを出したものだけを出していく」
——期待しているPBは。
「7つあって、軸になるのは『ルーザー』というブランドだ。代表的な商品としては、『スマートテーブル』という冷蔵庫付きのテーブルで、スピーカーも内蔵している。また、『超電磁クッキングヒーター』は従来のIHクッキングヒーターでは使えなかった土鍋などにも対応しているし、高速加熱もできる。その他のブランドでは、真ん中に穴が開いたドーナツ型の電動シェーバーや、サッカーのキーパー用グローブなど良い商品、ニッチ市場でシェアが高いアイテムもある」
——靴とファッションを扱う企業にとってファッション以外の商材を展開するメリットは。
「ファッション商材は『夏の長期化で売れない』といったケースが毎年のようにあるので、ジェイドグループとしてはど真ん中の商材ではないが、ファッション以外のカテゴリーを扱うことで服や靴が苦戦しているときに売り上げを確保できる。ロイヤルのPBにはポータブルファンなどがあるので、夏場の売り上げも期待できる。もちろん、商品をむやみに増やすことはしない。1型で1億円程度を売る商品もあるので、そうした商品に絞って展開する」
——家電なども「ロコンド」で販売するのか。
「家電は『ロコンド』ではなく、これまで通りロイヤルの販売ルートである家電量販店などで展開する。キーパー用のグローブはスポーツ用品店に卸しているので、『リーボック』の卸も強化できる」
——実店舗についてはどうするのか。
「『ゼットクラフト』のリアル店舗は赤字店舗が多い。今後、不採算店舗は閉鎖するが、黒字の店舗や、『ロコンド』や『ピースパーク』の店舗に置き換えることで黒字化できそうな店舗、広告効果が高い店舗は残していく」
——好調な「ピースパーク」のEC展開は。
「これまでは『ゼットクラフト』の中に入っていて、感度の高いファッション商材や雑貨などをセレクトした店舗として展開していたが、3月1日をメドに『ピースパーク』として独立した通販サイトを開設する予定だ」
——IT面の統合をそれまでに実施する。
「物流とシステム統合を2月末までに完了させる。マガシークのときはブランドEC受託の部分が複雑だったので時間がかかった。ロイヤルの場合は楽天市場などECモールでの販売が大半なので、割とシンプルだ。『リーボック』のときも物流とシステム統合は3カ月で完了したので、今回もそこまで時間はかからないと思う」
——ロイヤルの倉庫はどこにあるのか。
「三重県に2拠点、岡山県に1拠点、計3つの倉庫を構えているが、三重の1拠点は民事再生手続きの中で手放すことになっている。この拠点はECモール向けの倉庫で、ここで扱っていた商品は当社の物流拠点『ロコポート』に移す。残りの2拠点は3PL用の倉庫だ。三重の倉庫は、土地は借りているが建物は自前で、岡山の倉庫については土地も建物も自前で、国道沿いに8万平方メートルの敷地を持っている。本格的な3PLは当社にはない機能なので、ロイヤル主導で営業を強化していくし、ロイヤルの3PL用倉庫が満杯になれば、『ロコポート』の空いているスペースの営業もしてもらう」
——今回のM&Aはジェイドグループにとってもさまざまな価値がある。
「良い縁だったと思う。当社の『リーボック』は、ECは順調だが卸は伸びていなかったので、卸事業を強化できるのはありがたい。これまでのM&AはEC専業を買収して倉庫とシステムを統合するのがパターンだったが、今後はEC一本足打法ではなく、物流とシステムを提供するプラットフォーム事業や、『リーボック』などのブランド事業についても強化、補完できるM&Aが増えていく可能性はある。ベネッセさんから譲り受けた生活情報誌『サンキュ!』も好調で、3カ月で投資回収できたのでさらなるメディアのM&Aもあり得る。ファッションECモールで一番のゾゾさんとは異なり、当社は2番手だからこそECだけでなくさまざまな事業でシナジーがある企業のM&Aを実施していく」
——「ゼットクラフト」のECとのシナジーはどうか。
「楽天市場については、『ロコンド』も出店しているので、お互いのノウハウを持ち寄って強化するが、本音を言えば『ゼットクラフト』のロコンド店をもっと強くしたい。総合ECモールでの販売は大事だが、依存し過ぎるのはリスクがある。ロイヤルが当社グループに入ったことで『ロコンド』でも売りやすくなるし、自社ECも強化していく」
——マガシークのときのように社員の退職が相次ぐような事態は起きていないか。
「大丈夫だと思う。ロイヤルのメンバーはけっこう気合が入っていて、完全に肉食系の会社なのでガッツがあるのは安心材料だ」
——「イーザッカマニア」や「ゼットクラフト」などECモールの人気店の経営不振が続いている。
「多くの場合、モール内の価格競合が激化する中で、仕入れ原価が上昇し体力を消耗するというシンプルな構図だと思うので、価格競争のない売り場で戦うことが大事になる。ロイヤルの場合は自社ECだったり、ほぼプロパー価格で販売している『ピースパーク』の戦略が大事だ」(おわり)