フジスターのアパレルEC買収の狙いは? 機能補完で筋肉質に、主軸の卸商材に変革も

2026年01月21日 16:37

2026年01月21日 16:37

 フジスターは、90年以上の歴史がある会社で、子供服や紳士服、婦人服、インテリア用品といった繊維製品の卸を専門店・量販店向けに展開してきた。ダイエーの事業拡大とともに同社も成長し、ピーク時は300億弱の売り上げがあった。
 ダイエーの消滅とともに量販店業界が縮小。フジスターも売り上げの大きかった子供服をやめ、紳士服からも撤退し、婦人服とインテリアに集中して筋肉質な経営体制としたことで、売り上げ規模は10分の1程度になった。卸以外では不動産業も営んでいる。

 この10年くらいは、主軸である繊維製品の企画製造卸をベースにした事業成長を目指すとともに、「楽天市場」や「ゾゾタウン」にも出店してきたが、ECチャネルは人員面も含めて飛躍的に伸ばすまでには至っていなかった。

 「楽天市場」では量販店向けの商品を販売し、「ゾゾタウン」では、「ミリオンカラッツ」というファッションブランドを引き受けてゾゾ向けのブランドとして展開。ECチャネルの強化を模索する中で、2024年6月にファッション通販サイト「神戸レタス」を運営するマキシムの株式を取得することになった。

 当時、売り上げ規模はフジスター単体で約30億円、グループ全体でも50億円程度で、売上高40億円弱のマキシムをグループに迎えるにはハードルもあったが、お互いのあ機能を補完し合えると判断した。

 例えば、マキシムが抱えていた安定的な商品仕入れなどの課題については、フジスターの生産背景や企画力、会社の信用力が役立つ一方、マキシムはシステムを構築できるメンバーがいるのが強みで、EC領域を強化したいフジスターにとっては魅力的だった。

 商品の価格帯については、フジスターは量販店、専門店向けが主軸のため上代価格が1900円~2900円、高くて3900円の服が多く、神戸レタスの価格帯とも合致する。

 フジスターにはD2CブランドのM&Aの話もくるが、高単価の商品を作っていたり、超小ロットだったりすると、フジスターの生産背景の強みを活かせないという。

 マキシムについては、他のグループ企業と同様に独立採算の形で運営。フジスターの藤井尊徳社長が会長を務めるが、社長は林純司氏が続投している。神戸とは距離もあるため、フジスターの社内に専任でマキシム担当者を置き、生産サポートや輸入代行などで連携している。

 マキシムはシステムや物流・フルフィルメント、プロモーションなどの強みを他業種にも展開できるため、当該領域を強化中だ。フジスターは卸だけでなくODM事業も展開しているため、取引先がEC販売を始める際などにマキシムを紹介してシステムや倉庫まわりの外販につなげるケースもあるようだ。

 また、マキシムはシステム、フルフィルの外販を強化していることが、昨年10月に実施した、ファッション通販サイト「イーザッカマニアストアーズ」を運営するズーティーのM&Aにもつながっているという。

ズーティー買収はスピード決断

 ズーティーはこれまで、物流面では楽天の倉庫利用に加え、神戸のオフィス内でスタッフが取り組んでいたためコスト高になっていた。「ズーティーの強みは企画力と発信力だが、それ以外の部分に固定費がかかっていて非効率だった」(藤井社長)。在庫の積み上げ方などを含め、課題を認識していながら手をつけられずにいた。

 今回、新生ズーティーとして再始動するのに当たり、倉庫とシステム関連はマキシムに任せた。役割分担は明確で、輸入を含めた物づくりはフジスター、企画と情報発信、販売はズーティー、物流・システム関連はマキシムという座組で展開する。

 そのため、ズーティーの元スタッフのうち、企画関連や情報発信、ECのページ作成などを担っていたメンバーを再雇用した。「マキシムのシステム外販強化という戦略があったので、ズーティー買収までの判断は早かった」(藤井社長)としている。

 昨年9月中旬にM&Aがまとまり、11月下旬には「イーザッカマニア」の楽天市場店を再オープン。安売りなどで商品の市場価値が下がらないよう、約2カ月の間に工場やメーカーなどにあった在庫を買い集め、再開時に販売できるようにした。

 ズーティーも独立採算を重視。社長にはマキシムの林社長、会長にフジスター藤井社長が就任している。

 「旧イーザッカのお客様をはじめ、再開を望んでくれていた人たちのためにも、しっかりと商品を作り続けることが大事」(藤井社長)とする。

 「イーザッカ」が閉店したときに、「イーザッカの〇〇が買えなくなるのが残念」という声がたくさんあったため、「『イーザッカ』のブランド名でまったく違う商品を作るのは既存顧客が喜ばない」(藤井社長)とし、旧イーザッカと取り引きがあった工場をできる限り変えずに「ズーティー」の品質を維持する。一方でフジスターの工場を活用して新たな商品を作ることも同時並行で進める。「イーザッカ」再開後、まだ商品数は少なく、今春にも品ぞろえを増やす。

 フジスターの主戦場である量販店業界は、しまむらを除くと業界としては苦しく、アパレルは前年踏襲型のアイテムが多いが、フジスターでは「神戸レタス」や「イーザッカ」の持つトレンド情報や物づくりを活用することで量販店向けの卸商材も変えていきたい考え。

 同社グループはマキシムのM&Aで約100億円の売り上げ規模に拡大しているが、さらなる急成長を目指すのではなく、グループ各社が筋肉質でしっかり稼げる企業体にしていく。マキシムはシステム外販を含めて軌道に乗っているため、当面はズーティーの立て直しを急ぐ。

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