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ヤマトCF、決済サービス拡充で通販主流に(下)

2012年 8月30日 11:28

 BtoB決済の「クロネコあんしん決済サービス」の拡販に乗り出したヤマトクレジットファイナンス(YCF)。販路の拡大や新規事業の創出でBtoB通販を志向するメーカーや卸、通販事業者などのニーズに対応し、着実に成果を出しているようだ。



 昨今、"買い物難民"という言葉が聞かれるが、食品など地方の中小小売店でも、発注商品の納品頻度が少ない、発注ロットが小さすぎて取引をしてもらえないといった"仕入れ難民"とも言えるケースがある。特に過疎地の中小単独小売店の場合、高齢者のニーズに応えるため、色々な商品を小ロットで発注するケースが少なくないが、卸側からすると、取引金額の多いGMSなど有力小売業の対応を優先せざるを得ないのが実情。見方を変えれば、地方の中小小売店の取りこぼしが相当数あるわけだ。

 これに対し、大手酒・加工食品卸のA社では、「宅急便」と「クロネコあんしん決済サービス」、「宅急便コレクト」を組み合わせた小口のネット受注の仕組みを構築した。BtoB通販では、決済の利便性による継続取引の促進がカギになるが、A社では代引きでの都度の現金支払いや「あんしん決済」による掛売りに対応。さらに「宅急便」によるきめ細かな納品対応で中小小売店との取引を拡大しており、「仕入れが良くなった店舗もある」(YCFの樫本社長)という。

 一方、イタリア食材輸入卸・B社では、引き合いの多かった輸入ワインの全国展開で「あんしん決済」のほか、ヤマトグループのマーケティング機能を活用し、新規取引先の開拓につなげている。

 B社は関東圏を事業テリトリーとし通販のノウハウもなかったが、ヤマト側が全国約6000のイタリアンレストランのリストを提供するとともに、DMを制作・送付。商材の良さに加えて、「あんしん決済」による利便性の高い決済手段、「宅急便」を使ったデリバリーなどの訴求が奏功し、1%を超えるレスポンスがあったという。

 YCFでは、ロジスティクスやデリバリー、ITなどヤマトグループ各社の機能を連携させたワンストップ型の提案で「あんしん決済」を拡販する考えだが、B社はその典型的な事例と言える。
 また、飲食店のプロデュースなどを手掛け、欧州のワインの独自仕入れルートを持つC社。自社ワインショップでの販売やB〓C通販も行っていたが、新たに「あんしん決済」を導入しB〓B通販の展開を始めた。

 BtoC通販の強化に向け受注状況を分析する中で、飲食店のオーナーと見られる顧客が商品をまとめ買いをするなどB〓Bユースがあることに着目。1カ月ほど前からBtoB通販を行っているが、すでに一見の顧客が商品リピート購入するなど成果をあげており、DMを活用した本格的な展開も視野に入れているという。

 BtoCを本業とする通販事業者でも、「あんしん決済」を導入しBtoB通販を行うところがあり、健康食品通販のE社では、ヤマト側が提供するリストをもとに自社でDMを制作・送付。「B〓Cよりもレスポンスが良く、新規事業として本格的に動き出している」(樫本社長)という。

 このほかにも、「代引き(宅急便コレクト)を利用する通販事業者が『あんしん決済』の話を聞きたいというケースが出てきている」(同)など、新規事業としてBtoB通販を検討する通販事業も増えている状況。BtoB通販を志向する事業者の拡大とともに、さらに「クロネコあんしん決済サービス」が注目されることになりそうだ。
(おわり)
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