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行政刷新会議、医療品通販規制の見直しに関する記述見送り

2010年 6月24日 18:18

 一般用医薬品の通販規制を巡る政府の対応にネット販売事業者から失望の声が上がっている。行政刷新会議がとりまとめた規制・制度改革に関する報告書の中から医薬品通販規制の見直しに関する記述が見送られ、6月18日に閣議決定したためだ。これに対し、日本オンラインドラッグ協会(JODA)とeビジネス推進連合会は共同声明を発表し、遺憾の意を表明。政府に医薬品通販再開に向けた取り組みを積極化するよう求めた。蓮舫行政刷新担当相は会見で、今秋以降に検討を再開する考えを示しているが、経過措置の期限が切れる来年5月末までに規制見直しの方策が出せるのかは不透明だ。

 行政刷新会議の規制・制度改革に関する分科会は今年3月に初会合を開催。環境関連のグリーンイノベーション、健康・福祉関連のライフイノベーション、農業分野の3ワーキンググループ(WG)を設け、各分野の検討テーマの選定や対処方針などを検討してきた。

 医薬品通販規制の問題は、ライフイノベーションWGの検討項目にあげられ、同WGでは通販が対面販売に劣るというエビデンスがなく、外出困難者や僻地居住者の医薬品入手が困難になるなどとして規制は撤廃すべきとの考え方を明示。安全性を確保した形でのネット販売等のルール制定に向けた検討に着手する対処方針を打ち出していた。

 だが、医薬品通販規制は必要とする厚労省との調整作業が難航。報告書案では、医薬品通販規制に関する対処方針は「調整中」とだけ記載されるにとどまり、6月15日の行政刷新会議でとりまとめられた報告書からは項目そのものが削除された。

 これに対しJODAとeビジネス推進連合会では共同声明の中で、厚労省との調整がつけられないまま、報告書から医薬品通販規制に関する記述を見送ったことを問題視。国民の要望にこたえられるかという点から、「政治主導を標榜する民主党政権にとっての試金石になる非常に重要な問題」とし、政府に対して医薬品通販の再開に向けた取り組みを積極的に進めることを要望した。

 医薬品通販の規制問題を巡っては、4月に民主党議員有志が議連を発足するなどの動きも見られたが、一方で、あるネット販売関係者は「期待はしたいが、政局が混迷しており参院選も控えている。どうなるかは分からない」と指摘。行政刷新会議の報告書への記述見送りは、この予想通りの結果となった形だ。

 昨年6月に医薬品通販規制が導入されて以降、医薬品を扱う通販事業者の売り上げが減少し、僻地に居住する消費者等も不利益を被っている状況だが、さらに懸念事項として浮上しているのが、周囲の関心が薄れつつあることだ。ケンコーコムによれば、医薬品通販規制が導入当初に月間2500件程度あった問い合わせが現在では1500件程度になっているという。 

 7月の参院選、9月にケンコーコム等が国を相手取って起していた医薬品通販規制訴訟の控訴審が始まることもあり、ネット販売事業者側が医薬品通販規制問題に関する世論喚起の活動を活発化させてくる可能性もありそうだ。

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