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生産性を最大化する クラウドソーシング活用術

2019年 2月25日 15:46

 ネット業界の人であれば1度はクラウドソーシングを使ったことがある方も多くなってきたのではないでしょうか。クラウドソーシングを上手に活用すると「経営資源の効率化」「固定費の変動費化」「苦手分野の高品質化」など、計り知れないメリットを享受することができます。また、現在は「受注者数が発注者数よりも圧倒的に多い」という状態となっており「相場より安く、プロに仕事を依頼できる」というメリットもあります。一方で「1度使ってみたけど、質の低い成果物しか納品されなかった」「クラウドソーシングは知ってるけれど、ウチには関係ないでしょ?」といった方もまだまだ多数いらっしゃいます。

 私は日本最大級のダイエット商品の口コミサイト「ダイエットカフェ(https://www.diet-cafe.jp)」をたった1人で運営しています。超少人数で大規模サービスを運営できている秘密は100回以上にわたるクラウドソーシングの活用です。これまで「システム開発」「デザイン」「細々とした単発作業」、さらには「SEO」「ステルスマーケティング排除」等に関するコンサルもクラウドソーシングでお願いしてきました。この経験をまとめることで、皆様のお役に立てればと思います。

ここまでできる現在のクラウドソーシング

 クラウドソーシングというと「システム開発」「デザイン」の依頼がすぐに思いつくかと思います。しかし、現在はその2つだけでなく、次のように様々な仕事をクラウドソーシングで依頼することが可能となっています。

システム開発:HP開発、ネットショップ構築等
デザイン:HPデザイン、イラスト制作、チラシ制作等
メディア関係:記事執筆、動画制作、各国語の翻訳等
タスク:レビュー、アンケート調査、ネーミング等
コンサル:各業界毎の企画、生産、調達、営業、広報等


 かなり多岐に渡っており、もはや「提供されていない仕事」を探す方が困難なレベルとなっています。すなわち「どうしても自社内でしなくてはならない業務」以外は、全てクラウドソーシングに投げてしまえる状況が整っていると言えます。実際、弊社ではほとんどの仕事をクラウドソーシングに投げており、社員は私1人となっています。

質の高い成果物は、質の高い依頼文が作る

 前述した通り、現在ではほとんどの業務をクラウドソーシングで依頼することができます。しかも、相手は専門家揃い。下手に自社でやるよりも短期間で高品質な成果物が納品されてきます。
しかし、実際には「思ったのと違う成果物が納品されてしまった」といったケースも存在します。私もそういった経験がありますが、多くの場合これは「発注者である私の依頼方法が悪い」ことが原因でした。
 質の高い成果物を得るには、質の高い依頼文を作らなくてはなりません。質の高い依頼文を作るためには①最低限の知識②なるべく具体的な依頼文が必要となります。これらについて、「システム開発の発注」を例に説明していきます。

最低限の知識
 
 ある分野の仕事を発注する時、発注者である私達は「その分野の完全なる素人」であってはなりません。完全なる素人だと、そもそもどういう風にお願いしていいかわかりませんし、提案してくれた人材・納品された成果物の善し悪しを把握することもままなりません。


 そこで、「システム開発ならシステム開発」「デザインならデザイン」の最低限の知識が必要となります。私はある仕事をクラウドソーシングで依頼する際には「その分野の簡易な本を1冊読む」ようにしています。多くのケースで、それで「質の高い発注することができるレベル」にまで到達することができます。

 ただし、「システム開発」は案件によっては専門性が非常に高く、「簡易な本1冊」では質の高い発注ができないケースがあります。そういう場合、可能であれば「あなたの周りにいるシステム開発に明るい人に依頼文の制作をお願いする」のが一番良いでしょう。

なるべく具体的な依頼文

 「なんとなく、こんなことがやりたいんです」「細かいところはお任せします」といった曖昧な依頼文を提出してしまうと、プログラマーの方は困ってしまいます。そこで、システム開発であれば、「実現したいこと概要」「実現したいこと詳細」「希望する開発環境(フレームワーク、CMS、プログラミング言語、サーバ等)」「発注者のシステム理解度」「場合によってはPrott等を利用し、プロトタイプ作成し提示」のような具体的な依頼文を作成してみてください。

 ポイントは「余計なことを書く必要はないが、必要だと思うことは全て盛り込む」つもりで書くことです。ここまで具体的に書けば、それ以降のコミュニケーションコストが減少し、要求通りの成果物がスムーズに納品されやすくなります。

クラウドソーシングで良い人材を選ぶ方法

 システム開発をクラウドソーシングで募集すると、5~10人程度の方が手を挙げてくれます。その中で、今回の発注内容に合った「人」を選ぶにはどうすればいいでしょうか。
 
 「人」を選ぶポイントは「実務能力」と「コミュニケーション能力」の2つです。実務能力は応募者の「プロフィール」「ポートフォリオ(これまでやってきた仕事)」を見ましょう。これらを見て「自分が依頼する仕事をする実務能力がありそうか」を判断します。


 コミュニケーション能力は「依頼文に対する返信内容」で判断します。コミュニケーション能力が高い方は、依頼文の内容に沿って返信してくれます。一方で依頼文の内容にはほぼ触れず自分の経歴をズラズラと書くだけの方もいます。後者の方はコミュニケーション能力に問題がある可能性が高いので、仕事を依頼してから苦労する恐れがあります。

 前述の「プロフィール」「ポートフォリオ」「依頼文に対する返信」で2,3人くらいまでは頑張って絞りましょう。その後、絞った2,3人と「電話」か「メッセージ」でより詳細にコミュニケーションを取ります。「お互いの自己紹介」「どういった流れでこの仕事を進めていくつもり?」「今回依頼する機能を実現する際、問題となりそうな箇所は?」等を話し、さらに相手の「実務能力」と「コミュニケーション能力」を見極め、最終的に1人に決めます。

 ここまですれば、ほとんどの場合、良い方に巡り会うことができるでしょう。

クラウドソーシングで気をつけるべきポイント

 実際にクラウドソーシングを使うに当たって、1つの成果物の向こうには1人の人間がいるということを忘れてはなりません。ここでは接し方やトラブルに遭った時の対応をお伝えします。

・相手との接し方
相手の方との接し方ですが、これには正解がありません。正しい接し方は、自分自身と相手の性格によっても変わります。一例として、私がクラウドソーシングを使う時に心がけている接し方を共有いたします。

 ポイントは1つだけ。「立場は対等」ということです。発注者がお金を払っているからといって、発注者が上ではありません。相手は専門家だからといって、相手が上でもありません。お金と成果物という同等の価値のあるモノを交換しているだけですので、上下はないという感覚です。ただ、発注する分野に関しては、相手が専門家なので、相手を尊重します。一方で、弊社の仕事は自分が専門家なので、尊重してもらいます。このように、立場の上下無く、お互いに尊重し合って仕事をすると、ストレスなく、良い成果物が納品されることが多いと感じています。

よろしければ、参考にしてみてください。

・トラブルに遭った時の対応
 前述のように「立場は対等」ということを意識して相手と接すると、トラブルに巻き込まれることはほとんどありません。しかし、100回以上クラウドソーシングを使っていると、トラブルが全く無いというわけでもありませんでした。思い返すと…3回程ありました。

1.日本語がカタコトの中国人で意思疎通が怪しい
2.こちらの話を遮り、マシンガンのように話をされる
3.唐突に不機嫌になられる

 1と2に関しては、トラブルという程ではないのですが、意思疎通が大変だったため、思うような成果物を納品してもらうのに本当に苦労しました。3に関しては、こちらは礼を尽くして対応してるつもりだったのですが、どこかで相手の気分を害してしまったらしく、唐突に不機嫌になられてしまいました。こういったトラブルに遭った場合、速やかに仕事を終え、今後は二度とその方を選ばないようにしましょう。

 このように、自分に合う人材だけを選別して長期的に付き合うことができるのもクラウドソーシングの良いところです。とはいえ、トラブルに遭うのはレアケースであるため、あまり心配する必要はないでしょう。

まとめ(スマート経営の実現)

 優れた依頼文を作成し、優れた人材・成果物を目利きできるようになると、「必要な時だけ」「社内では不可能な仕事を」「レベルの高いプロに」「相場より安く」遂行してもらうことができます。
これにより、社内では自社でしかできない業務に集中することができ、事業の生産性を圧倒的に高めることが可能となります。クラウドソーシングを上手に活用し、スマートな経営を実現してみてくださいね。




著者プロフィール
福田尚広(ふくだ・たかひろ)
株式会社T.M.Community代表取締役社長。北海道大学農学部を卒業後、オージス総研に就職。金融システム等にプログラマーとして携わったのち、2年で独立。独立後は様々なWebサービスを立ち上げるが、現在は「ダイエットカフェ」を主力として運営中。独立5年目の2013年に株式会社T.M.Communityを設立し、代表に就任。ダイエット商材に関する光と闇、人気の商品の傾向、口コミサイトの運営などについて突出した知識を持つ。

 
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