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ヘルスケア表示 拱手の代償① アフィリエイト、大混乱

2020年 8月 7日 11:30

「何人規制」発動に業界震撼

 サプリメントのアフィリエイト広告が激減している。コロナ禍によるものではない。大阪府警による薬機法違反事件の取締りの影響だ。

 「逮捕は衝撃」。「アフィリエイトの稼働が半分になっている。それだけのインパクト」。「危険な広告の管理体制が無かったのでは」――。今回の逮捕劇は、健康食品のネット広告を根底から揺るがしている。
 
 とはいえ、事件や容疑は単純だ。サプリメントなどを販売するステラ漢方(本社・福岡市)が「ズタボロになった肝臓が半年で復活」などと医薬品的効能効果をうたい、健康食品「肝パワーEプラス」を販売し、7月20日に関係者が薬機法違反容疑で大阪府警に逮捕されたというものだ。
 
 食品が病気の予防や治療をうたえば薬機法違反で逮捕される可能性があることは、健食ビジネスのイロハ。成分に肝臓を使用しているわけでもないのに製品名に堂々と身体の部位である「肝」を使用している点も解せない。

 2014年にはダイエットの誇大広告について、消費者庁から景表法違反で処分された過去とあわせ、「基本的なルールを理解していないのでは」(健食通販大手)との評も頷けよう。
 
 大阪府警は事件の端緒を昨年11月の情報提供としており、厚生労働省等への照会を経て、事件化したと話す。捜査関係者は「いきなり逮捕はない」と打ち明ける。これを鑑みれば厚生行政からの改善指導に従わず、「薬事警察」が介入したとの構図が推察されよう。
 
 薬機法違反は行政指導に従えば、始末書の提出で済むことも多い。しかし逮捕では、まずは報道。さらに約2週間の拘留と連日の取り調べ。そして、半年以上にわたる裁判と続く。有罪となれば、罰金や懲役刑。執行猶予を得ても前科がつき、期間中に海外渡航は禁止、軽微な犯罪でも収監される。刑事事件となる薬機法違反を甘く見る「拱手の代償」は大きい。

 「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(=四六通知)から半世紀、薬機法違反は常に健食ビジネスの震源だった。ただ、今回の事件は業界経験の長い玄人をして、「そうきたか」と唸らせる点がある。
 
 薬機法における「伝家の宝刀」、「何人(なんぴと)規制」を運用しているからだ。
 
 「何人規制」は文字通り「何人」においても、違反行為を禁止するものだ。今回問題となった「未承認医薬品の広告の禁止」もその対象だ。医師、薬剤師などの医療従事者も例外ではない。イソジンのコロナ治療効果を会見で表明した大阪府知事も対象となりうる。
 
 大阪府警はこれを適用して、販社であるステラ漢方の従業員だけでなく、広告代理店、KMウェブコンサルティング(本社・東京都新宿区)の社長ら2人、同じく広告代理店のソウルドアウト(本社・東京都千代田区)の従業員や委託先3人の計6人を逮捕した。広告主から制作先までを幅広く取り締まった格好だ。
 
 これまで「何人規制」が厳格に適用されたケースはほとんど例がないとみられ、このため、ネット業界には制作や代理店が薬機法違反で逮捕されるという認識は薄かった。
 
 しかし、逮捕という事実を受け、ネット広告業界には動揺が広がっている。このため、アフィリエイト広告を引き揚げて、急ぎリーガルチェックを行っているのが実情だ。
 
 広告主にも緊張が走っている。特にアフィリエイト広告は、責任の所在があいまいで、表現をチェックしていないケースも多いからだ。「運用の変化を懸念」(健食大手)と健食通販企業は、情報と分析を急ぐ。これに乗じ、一部のコンサルは、事件を煽るウェブセミナーを開催、日銭を稼ぐ。
 
 今回の事件は、ネット広告のあり方の大きな分岐点になる。ソウルドアウトは、ネットの代理店大手で東証一部に上場し、全国に支店網を形成している。取締役にはオプトの創業者やヤフーの関係者も名を連ねる。そもそもソウルドアウトはオプトから分社化しており、社長もオプト出身。さらにヤフーと業務提携も結んでいる。(次回につづく)
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