〈ハーバー研究所の新中期経営計画〉3カ年で売上160億円計画 収益構造改善し、顧客接点拡大

2025年06月04日 11:54

2025年06月04日 11:54

 ハーバー研究所の前期は3期連続の最終赤字を脱し、黒字転換した。今期を初年度とする中期計画(26~28年度)を策定。収益構造の改善など基盤整備、顧客接点の拡大で持続的な成長基調に戻し、企業価値の向上を図る。

収益性高い通販
経営資源を集中


 前中計は、3期連続の赤字決算。西幹男専務は、前期の決算説明会で「関係者に心配をかけたが、最終年度はなんとか黒字化を達成した。この基調を維持し飛躍するため、新中計初年度は、人材育成、商品開発強化など基盤構築に注力する」と話した。西氏は、6月の株主総会を経て、社長に昇格する予定だ。

 前期は、不採算店舗の閉鎖や広告費等の経費削減など、力技で黒字化を達成した。

 新中計では、人員、組織、経費の最小化を進めつつ、人的資本強化、収益構造改善を柱とする「基盤強化」、製品開発強化、顧客接点拡大を柱とする「事業拡大」を図る。最終年度に売上高160億円、営業利益12億円を計画。営業利益率は、現状の4%から7.5%に高める。収益性の高い通販、主力美容液「スクワラン」に経営資源を集中させ、化粧品の3ステップ提案で利用者を拡大する。

今期は増収減益
会員制度を刷新


 初年度の26年3月期は、「持続的な収益基盤の構築」と位置づけ、減収増益を見込む。広告費は、効率を見極めつつ、前期の期初計画と同水準を投下する。通期業績予想は、売上高は前年比4・0%増の125億5000万円、営業利益は同15・2%減の5億円、経常利益は同19・5%減の4億9000万円、純利益は同16・7%減の4億8000万円を見込む。

 事業戦略では、「会員活性化」、「新規獲得強化」、「店舗の収益改善」を重点課題にする。

 会員数は、新規を含め過去1年間に購入実績のある顧客が、前期末に前年比15%減(約6万人)の約37万人に落ち込んだ。会員ステージの上位数%を占める優良顧客の稼働は増加したが、ボリュームの多い30~40代のミドル層、初期会員は同24%減の17万人と影響が大きい。

 一方で、広告手法を見直し、狙いとする30~40代を中心に新規獲得の構成比が高まるなど、「質の高い新規獲得につながり、2回目購入率も向上した」(西専務)と、一定の成果も見えた。

 会員活性化に向け、年間購入金額に応じて割引率が変わるステージ制を採用する会員制度を改定。ステージアップに必要な年間購入金額を引き下げ、新規顧客の継続、囲い込みを進めていく。優良顧客は、エイジングケアアイテム、機能性表示食品など高付加価値商品で購入単価の向上を図っていく。

入口商材を拡充
チャネル専売品も


 年間の新規顧客数は、広告費抑制の影響で34%減の約9万人(前期末)と減少基調にある。新規獲得商材の拡充や媒体選定、出稿時期、ターゲットを見極め、獲得を増やす。

 とくに30~40代のミドル層の獲得を強化。より幅広い層へのアプローチを目的に、利用頻度の高い食品、ヘアケアなどの商品も活用する。2回目購入率の向上を目的に、商材ごとにフォロー施策の設計の検証を行う。これまでは、スキンケア、メイク品による獲得が中心だった。

 直営店は、不採算店舗の統廃合、好立地の出店を継続的に取り組む。

 このほか、中計3カ年で、「人的資本の強化」では、人事評価制度の改訂や教育研修の充実、「収益構造の改善」では、在庫圧縮の仕組み整備と商品のSKU数の最適化を進める。SKU数について具体的な品目数は控えるが、「異なる容量タイプや商品ライン別に見直しを行う」(西専務)としている。主力スキンケアの刷新、チャネル専売品の開発も進める。

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