フランス規制当局がSHEINに制裁金、消費者・環境法違反の監視強化

2026年06月10日 17:25

2026年06月10日 17:25

 フランスの競争・消費者問題・不正防止総局(=DGCCRF)が中国発の衣料品通販、SHEIN(=シーイン)に対する監視を強めている。6月3日、同社の関連企業に消費者法、環境法違反で約2250万ユーロ(約42億円)の制裁金を科すと発表した。消費者の返品権を遵守せず、衣料品の環境特性に関する情報提供を怠っていた。シーインは近年、環境法や消費者法違反で同国規制当局から立て続けに制裁金を科されている。


 DGCCRFは、日本の消費者庁や公正取引委員会にあたり、消費者保護法や競争法を所管する。

 DGCCRFが昨年行った実態調査によると、シーインは、注文をキャンセルできないなど返品・返金に関する消費者法の規定、廃棄物が発生する製品の環境特性を情報提供する環境法の規定を遵守していなかった。

 フランスの消費者法は、注文確認書に販売者名や連絡先、保証内容、注文キャンセルに関する表示を義務づける。環境法は、販売数など一定の基準に従い廃棄物が発生する繊維製品に適用される。

 シーインが販売する繊維製品の一部は、環境中に放出することで汚染物質を引き寄せる性質のあるマイクロファイバーを使用していたが、これに関連する情報が不足していた。

 DGCCRFは、昨年7月にもシーインの販売会社であるインフィニット・スタイル・Eコマースに対し、4000万ユーロ(約74億円)の制裁金を命じている。消費者に誤認を与える価格表示、環境表示を行っていると判断した。

 DGCCRFは2022年10月から23年8月にかけて、シーインが販売する数千点の商品の価格表示を調査。「値引き前」の価格が実際は直前に値上げされたものだったり、同国の規定を無視する参考価格を基準にしていた。調査対象の製品の57%は値引きがなく、19%は表示より割引が小幅、11%は値上げされていた。

 フランスではキャンペーン開始前30日間の最低価格を「参考価格」と定義している。割引を適用する前に特定の商品の価格を引き上げることで、こうした規定に違反し、お買い得の印象を与えていた。

 また、環境表示では、「温室効果ガスの排出量を25%削減している」などとアピールしていたが、根拠となる資料は示されなかった。

 当時の報道によると、制裁金はパリ地検との合意に基づく和解手続きの一環で科されたという。シーイン側は、「24年3月の指摘から2カ月以内に是正措置を完了した」、「最終価格に影響はなかった」と主張していた。報道によると、今年6月の措置には反発しており、裁判所に不服を申し立てる方針とみられる。同社がフランスで過去1年間に科された制裁金の総額は、2億1000万円ユーロ(約390億円)に達するという。

 08年に中国で創設されたシーインは低価格、手軽さを売りにしつつ、コンスタントに数千点の新商品を投入する「ウルトラ・ファストファッション」の大手として知られる。一方、大量生産・大量廃棄のビジネスモデルは環境負荷への懸念がある。

 欧州委員会は昨年5月、欧州4カ国(フランス、ベルギー、アイルランド、オランダ)による公正取引に関する調査を受け、シーインに対する措置を始めていた。とくにフランスの規制当局は、虚偽の割引や返品・返金、環境特性について、消費者の誤解を招く表示、これらを悪用する慣行の是正を求めていた。

 フランスは近年、環境負荷の懸念がある「ウルトラ・ファストファッション」に対する監視を強めている。昨年6月には、上院で同モデルに対する規制法案が全会一致で可決している。今年6月の措置は既存法に基づく。

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