楽天が「実店舗の接客」実現へ、AIコンシェルジュ 店舗の知見取り入れ

2026年07月08日 15:29

2026年07月08日 15:29

 楽天グループでは、仮想モール「楽天市場」において、AIコンシェルジュの機能を強化している。「実店舗での店員による接客体験をオンラインで提供すること」をコンセプトとして設計しており、ユーザーが商品を購入するまでの時間は、モール内検索と比較して約41%短縮しているほか、平均注文額は約17%向上している。今後は対話の品質をさらに改善していくほか、出店店舗の知見を取り入れた接客やパーソナライズ化を進める。


0709110228_6a4f0134b3eb2.jpg 同社ではエコシステム(経済圏)ユーザー向けAIエージェントの開発を強化している。これまで公開したAIエージェントは11サービス。直近ではさらに8サービスへの導入を予定しており、導入を計画しているAIエージェントは50以上にのぼる。

 楽天市場ユーザー向けとしては、昨年12月より対話形式のサービス「楽天市場 AIコンシェルジュ」を提供している。利用者数などについては「非公開」(髙間真里執行役員市場編成部ジェネラルマネージャー)としているが、利用者数や質問数については「予想以上に伸びている」(同)という。今後の利用状況については「まだアクセルは完全に踏んでおらず、AIコンシェルジュ経由の買い物シェアはまだまだ伸ばせる」(同)とみる。

 例えば、選びやすい切り口の提案や、季節・セールイベントにあわせたスタータープロンプト(チャット画面に表示される指示文や質問)の提供などが特徴。機能のアップデートも進めており、直近では「商品比較機能」を導入。これは、AIとの対話を通じて提案のあった商品をユーザーが複数選択すると、発送状態や配送目安、レビュー傾向など、詳細情報を表形式で比較するというもの。また、「商品詳細機能」は、AIが提案した単一商品の特徴やおすすめポイント、レビューの情報などを分かりやすく表示するというものだ。

 今後は会話品質の向上を引き続き進めるほか、出店店舗の知見を取り入れながら、専門性・接客ノウハウを活かしたサービスへと進化させる。具体的には「例えば『洗濯機が欲しい』という抽象度の高いニーズに対し、『どんな観点で選べばいいか』『最新トレンドは何か』など、家電量販店の販売員に相談するような体験を提供していきたい。出店店舗は商品ページにおいて、『選び方』などのコンテンツを工夫しているので、AIコンシェルジュ上でも同様に示していきたい」(髙間執行役員)という。

 また、AIコンシュルジュにおける広告商品については「店舗にとってメリットがある形でないといけないので、現在はそこを分析中だ。自信を持って提供できるようになれば、ゆくゆくは考えたい」とする。従来型のモール内検索は、AIコンシュルジュよりも多くの選択肢から商品を選ぶことができるため、「両者はしばらく共存するのではないか」とみる。

 ユーザー一人ひとりの興味・関心に合わせて商品の画像や動画、商品ページの情報を表示する「ディスカバリーレコメンデーション」に関しては、パーソナライズ化を進めるほか、ライブコマースの導入など、エンターテインメント性を強化していく方針。

 なお、「ChatGPT」など、汎用生成AIから楽天市場からの流入については「グーグル検索や広告経由の方がまだまだ多いが、増えてはいる」という。髙間執行役員は、AIエージェント経由で商品が購入される「エージェンティックコマース」への対応について、「現段階で『こうしたい』とは答えられないが、非常にチャンスであり、入り口として活用したい気持ちでいっぱいだ」と意欲を示した。

 一方、楽天市場の出店店舗向けAI機能としては「Rakuten​AI for RMS」を提供している。店舗の業務時間効率化を目的として機能を提供してきたが、今後は「店舗が付加価値を高めるためのAI機能を導入していく」(コマース&マーケティングテクノロジー統括部の山川祐介ジェネラルマネージャー)という。

 第1弾として、4月30日に「データ分析エージェント」の提供を開始。「どうやってデータを分析すればいいのか分からない」という店舗の声に応えたもので、AIエージェントと会話しながらデータを分析できるほか、深堀り質問候補の選択や追加質問入力によるデータの深堀りも可能となっている。

0709110245_6a4f01454dffe.jpg 7月7日に開催された記者会見には、店舗運営支援ツールを効果的に活用している出店店舗の代表として、「プチギフトmomo-fuku」(運営は百福)の木澤典子専務が登壇。「問い合わせ対応の劇的な効率化」としては、月間で67時間かかっていた対応時間が20時間程度に削減できたという。また、外注していた商品登録業務の作成を内製化できるようになり、商品数は1000点から1万点へと増加。これまで外部のコンサルタントに依頼していた売上分析レポートもRMSに任せることが可能になったという。今後については「楽天のAIツールを使った他店舗の成功事例を共有してもらいたい」と要望した。

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