〈ネーションズ記念イベントから〉 付加価値で価格競争から脱却、有力EC2社が「差別化」語る

2026年10月07日 16:45

2026年10月07日 16:45

 楽天グループでは、仮想モール「楽天市場」有名店舗が講師となり、出店店舗にネット販売に関するノウハウを伝授するプログラム「NATIONS(ネーションズ)」が10周年を迎えたことを記念し、都内でイベントを開催(2055号で既報)。「ソムリエ@ギフト」を運営するベルヴィの宮﨑義則社長(=写真㊧)と、「腕時計のななぷれ」を運営するnanapleの國分英一社長による対談「NATIONSを起点に、ずっと成長させる店舗づくり」から抜粋して紹介する。


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1008125641_6ac71479641c0.jpg ——ネーションズの10年を振り返って。

 宮﨑義則社長(以下、宮﨑)「2017年に初めてリーダー店舗を務めた。頼まれたときは、正直言って『なぜ一生懸命培ってきたノウハウを他人に教えないといけないのか』と思った。そのとき、同席していた友人の店舗代表者に『われわれの現在があるのは楽天のおかげ。恩返しすべきでは』と説得されて応じた記憶がある。そういった経緯はあるが、リーダー店舗として他店を指導する中で、とても成長させてもらった。リーダーとして恥ずかしくないよう、自分たちも成長しなければいけないという気持ちになり、会社も成長できたのではないか」

 國分英一社長(以下、國分)「リーダー店舗は怠けることができないので、生徒にきちんとしたところを見せないといけない。講師の経験を自社にフィードバックすることで、会社がまとまってきた」

 宮﨑「10年前はまだまだ売り上げが伸ばしやすかった時代。『売り上げ2倍』という目標を達成させる自信はあった」

 ——この10年で楽天市場やECを取り巻く環境も大きく変わった。

 宮﨑「売れていないときは使えるお金がないし、人も採用しづらいので厳しかったのは事実。ただ、以前は一点突破がしやすかった。型番商品だとしても、他社よりも明らかに付加価値が高く、商品ページも魅力が伝わるものであれば、アクセスさえ取れれば絶対に売れる。こうした法則が簡単にできあがったので結構やりやすかった。最初はお金がないから1つの商品を強くし、お金が増えてきたら別の商品を強くし……と繰り返していけば売り上げも伸びていき、いつしか損益分岐点が突破できた」

 國分「10年前は『写真をきれいにとって商品ページに載せる』ことが大事だと説いていた。今は入力項目が非常に多く、時間もかかるので仕事量が増えた。なおかつSNSまで対応しなければならない。いかに早いうちに、価格競争以外の要素を1つでもプラスオンできるかが大事」

 宮﨑「今まではモール内検索対策ができれば売れたわけだが、パーソナライズ検索が導入されたことで『検索結果が人によって違う』ため、戦いにくくなった。また、生成AIにも選ばれなければいけない。今後もブランドは必ず生き残るわけだが、それはそのブランドがオンリーワンで、消費者そこの商品が欲しいから検索して購入する。でも『たまたま楽天市場で検索し、たまたま安かったから買った』という商品は、顧客との接点がどんどんなくなっていくのではないか。現在、当社では『ソムリエ@ギフト』をブランド化すべく取り組んでおり、当社が自信をもって販売する商品にはブランドロゴを印字している。15年使用したロゴを変更し、リブランディングを実行している」

 ——nanapleでは付加価値を顧客に伝えるために工夫している。

 國分「カシオの腕時計は競争が激しく1本売っても利幅は少ない。ある時、友達が当社で買った腕時計を『娘が受験時に使って合格した思い出の時計だ』と見せてくれた。商品レビューにも『受験時に使った』というものが散見された。そこで『合格ウォッチ』という名前でカシオの時計を売り出したらどうかと考えた。名入れと電池交換をセットにして、応援メッセージも刻めるようにした。こうすることで、本体は他でも売っているカシオの時計なのに、手数料の1500円がプラスされるので利幅が大きくなる。2年前に始めたところ、昨冬は『合格ウォッチ』が一番売れた。プレゼントの場合、顧客は価格だけを見ているのではなく、商品の利用イメージができれば1000円以上高くなっても気にしないんだな、と」

 ——店舗としての差別化は。

 國分「例えば『ファッションの一部として使いたいから、あまり主張しない腕時計が欲しい』という人がいる。とはいえ、メーカー側はそういったコンセプトでは商品説明をしていない。つまりメーカーが想定している顧客以外人たちにも来てもらえるようなロジックで作ったページが求められる。当社では、女性向けの人気レディース腕時計やコーディネート情報を紹介する『ななぷれ女子時計部(ななレディ)』を展開しており、ページを作ってから30%ほど売り上げが伸びた。『型番商品だから』と真っ向から勝負するのではなく、少しずらした目線を意識することで、ターゲット層を広げないと泥沼にはまる」

 宮﨑「当社はカタログギフトのシェア拡大を目指して取り組み、目標を達成できたわけだが、競合も増えているのでカタログだけでは売り上げが下がってしまう。そこで『全てのギフトを販売する』ことを目指し、シーズナルギフトや名入れギフトの販売を強化したほか、家電・雑貨商材の取り扱いに力を入れた。現在、雑貨の売り上げが40億円まで達している。売り上げをどんどんアドオンしていくことで、マーケットを開拓していった自負がある」

 ——ベルヴィはオリジナルブランドの確立を目指している。

 宮﨑「やはり最後はオリジナルの商品を売りたい。これまで何度も取り組み失敗もしてきたが、満を持して発売したカタログが『ザ・レッド』。クオリティーは非常に高いと自負しており、レビューも4.9超えを目指している。また、『ギフタリエ』では、『プレゼントとして間違いない』というこだわり商品をプライベートブランドで販売していく」

 ——今後の目標は。

 宮﨑「『50歳で売上高100億円』と言い続けてきたが、無事達成することができた。当社は過去10年、平均で毎年15%ずつ成長しているので、60歳までに300億円にしたい。ただ、数字に意味があるわけではなく、目標を成し遂げることでスタッフが今よりも幸せになる。こうして宣言したからには実現しないと格好がつかないので、『300億円に向かって何をするか』に頭を切り替える」

 國分「社長が『300億円売る』と宣言するような会社にしないといけないと思っている(笑)」

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