仮想モールの「Qoo10(キューテン)」を運営するイーベイジャパンは8月25日、都内で出店者を対象としたセラーカンファレンスを開催し、今後の方針として常設店を通じたオフラインでのタッチポイントの強化やAIによる購入支援・出店者支援を行うことなどを明らかにした。
カンファレンスでは各事業部の責任者が登壇し、同モールの現状データや今後の展開について説明。まず、会員属性としては、女性を中心に今年6月時点で3000万人を突破し、年齢では10〜30代が約7割となっている。集客や購入経路の大多数がモバイルからとなっているが、その背景には決済手段の充実がある。今年6月に行った大規模セールである「メガ割」の流通総額を占める55%がモバイル決済となった。その内、「paypay」の決済比率が4割を超え、後払い機能を持つ「ペイディ」、「atone」、「PayPal」といった若年層の利用が目立つ決済が多数となったという。クレジットカードも含めると、メガ割時には7社の決済インセンティブが選べるようになるため、メガ割クーポンに加えた割引となるため独自の強みになっているとした。paypayによると、オフラインを含めた全加盟店の中で同モールは10〜20代の利用率が7番目に高かったとしている。
また、6月のメガ割の実績として、取り引き総額は前年比で12%増の605億円を達成。初日の来場者数は675万人、購入者は350万人、1日平均では112万点が販売された。ライブコマースの1時間当たりの視聴数は73万件となり、取引高では5億円になったブランドも出たとしている。
オフラインの活用に関して今年は、K-POP関連イベントでの協賛・ブース出展をはじめ、コスメブランドの出店社を集めた「メガコスメランド」イベントを開催。引き続き、オフラインの活用は強化する考えで、その核として渋谷エリアに3カ所の常設店舗を初めて開設する。まずは10月1日にサンプル商品の体験型店舗を開設し、11月には常設の渋谷店、27年には原宿に旗艦店を開設していく。旗艦店は駅前の立地で、約2500平方mの店舗面積となるもよう。商品販売が可能な店舗として、他の2店舗とも合わせて、地域コミュニティとの交流や買い物体験の提供を図っていく。長期的には他の複数の主要都市にも横展開していく考え。日本のEC化率が10%程度で推移する中、実店舗を通じて獲得できる商圏はまだ多く残されていると見ている。「我々は強みをオンラインに閉じない。オフラインとの相乗シナジーを最大化することを次の事業挑戦としていく」(戦略マーケティング室のモラーノ絢香部長)とした。
国内公式ブランド店が2倍
また、当日はモール内における国内ブランドの進捗についても解説。コスメなど韓国ブランドの躍進が目立つ一方で、国内ブランドの出店者についても拡大が見えているようで、6月に行われたメガ割における、国内出店者の売り上げ成長率は前年比で22%増、国内の公式ブランド出店者に限っては同47%増。これは韓国公式ブランドの成長率も上回っており、過去最高記録となった。顧客からの国内ブランドの新規出店の期待値も高まっているようで、実際に直近5年間での、国内公式ブランドの登録者数は年平均で2倍以上に増加したという。
そのほか、AIの活用については、顧客への購入支援と、出店者向けの商品レポートの2種類の新サービスを実装。どちらも集積された顧客レビューを軸にしたもの。
購入支援では、購入前の疑問について、例えば、コスメでは自分の肌に合うかどうかをAIに聞くと、肌のタイプやトーン、悩みなどが顧客自身と同じような属性の購入者レビューを優先して分析。成分などの商品データなどと合わせて、評価の声を案内して可視化し、商品選定のサポートをするという。
出店者向けでは、顧客レビューで寄せられた内容の、ネガティブ文章から抽出されたキーワードをタイプ別に分類。「保湿不足」、「持続力への不満」、「香り」、「パッケージデザイン」などを項目ごとに数値化し、主なインサイトとして商品への不満や課題となっていることをレポート化し、その後の商品開発や改善のヒントとなるようにしていくという。各社で同じようなAIプラットフォームの活用が進む中、「どのようなデータを使って顧客を理解していくかがAIの競争力を決める。Qoo10は特別な資産を持っている。トレンドに敏感な若い顧客、そこから生まれる経験とレビューが我々と出店者にとって重要な資産になる」(キム・ソックンCTO)とした。
グ代表に聞く今後の戦略
旗艦店は体験型が狙い
健食やエンタメなど横展開も
セミナー後にはグ・ジャヒョン代表が記者会見を行い、改めて今後の方針などについて説明した。(本紙記者を含む報道陣との一問一答から要約・抜粋)
◇
——ビューティー以外や国内ブランドの拡大について。
「引き続き、ビューティー市場で当社がリーダーシップを維持しつつ、(会員の)ライフスタイルの変化に伴って、新カテゴリーでの需要も求められていることから、そうしたブランド・商品も取り扱っていければ。国内全体のEC成長率が3〜5%の中、(Qoo10では)国内ブランドの成長率が50%に近く、(国内市場全体の)10倍以上に成長している。それだけ、期待値が高いと認識しており、国内ブランドやあらゆるカテゴリーのブランドを誘致していきたい。ただ当社としての強みはやはり若年層。全てのカテゴリーではなく、その中でも特定のブランド・商品を重点的に提供して差別化を図っていく。そうした戦略の方が当社にとっても意味があり、国内ECの発展のためにも健全だと考えている」
——旗艦店はビューティー商品中心の取り扱いなのか。
「最初はそうなると思うが、決して特定のカテゴリーに絞っていくことはなく、顧客が求めるものを展開したい。例えば健康食品、フード、エンタメなどの商品・ブランドも積極的に旗艦店を通して提供していきたい。当社の旗艦店の位置付けは販売だけが全ての目的ではなく、顧客との接点を拡大していく目的の方が大きい。販売よりかは体験型のポジションを取りたいため、(来店者が)色々な商品・ブランドを試して、そこで欲しいものを見つけるような仕組みで設計を進めている」
——UI・UXで大事にしている視点とは。
「当社のサービスは発見型で、発見する体験が非常に重要。私も最初見た時には複雑なサイトだと思ったが、若年層の女性顧客に聞くとそれが非常に楽しくて面白いということだった。やはりユーザーに合ったUI・UXが大事になる。当社はカラーコンタクトの市場シェアがオンラインでは1位だが、色や模様がはっきりと分からないまま迷っている顧客もいる。その中で先週開始したサービスでは顧客の自撮り画像を通じて、そのオプションの商品を押せば、VRで自分の目に合った商品が映る。そこでどんな模様や色が自分に一番合うかをアプリ上で試せるというもの。他社ではここまでやる必要があるのかと思うことはあるかもしれないが、当社にとっては品数の多いカテゴリーであり、求められている機能。こういったUI・UXをより次のレベルまで発展させていくのが当社の戦略であると考えている」
仮想モールの「Qoo10(キューテン)」を運営するイーベイジャパンは8月25日、都内で出店者を対象としたセラーカンファレンスを開催し、今後の方針として常設店を通じたオフラインでのタッチポイントの強化やAIによる購入支援・出店者支援を行うことなどを明らかにした。
また、6月のメガ割の実績として、取り引き総額は前年比で12%増の605億円を達成。初日の来場者数は675万人、購入者は350万人、1日平均では112万点が販売された。ライブコマースの1時間当たりの視聴数は73万件となり、取引高では5億円になったブランドも出たとしている。
オフラインの活用に関して今年は、K-POP関連イベントでの協賛・ブース出展をはじめ、コスメブランドの出店社を集めた「メガコスメランド」イベントを開催。引き続き、オフラインの活用は強化する考えで、その核として渋谷エリアに3カ所の常設店舗を初めて開設する。まずは10月1日にサンプル商品の体験型店舗を開設し、11月には常設の渋谷店、27年には原宿に旗艦店を開設していく。旗艦店は駅前の立地で、約2500平方mの店舗面積となるもよう。商品販売が可能な店舗として、他の2店舗とも合わせて、地域コミュニティとの交流や買い物体験の提供を図っていく。長期的には他の複数の主要都市にも横展開していく考え。日本のEC化率が10%程度で推移する中、実店舗を通じて獲得できる商圏はまだ多く残されていると見ている。「我々は強みをオンラインに閉じない。オフラインとの相乗シナジーを最大化することを次の事業挑戦としていく」(戦略マーケティング室のモラーノ絢香部長)とした。
国内公式ブランド店が2倍
また、当日はモール内における国内ブランドの進捗についても解説。コスメなど韓国ブランドの躍進が目立つ一方で、国内ブランドの出店者についても拡大が見えているようで、6月に行われたメガ割における、国内出店者の売り上げ成長率は前年比で22%増、国内の公式ブランド出店者に限っては同47%増。これは韓国公式ブランドの成長率も上回っており、過去最高記録となった。顧客からの国内ブランドの新規出店の期待値も高まっているようで、実際に直近5年間での、国内公式ブランドの登録者数は年平均で2倍以上に増加したという。
そのほか、AIの活用については、顧客への購入支援と、出店者向けの商品レポートの2種類の新サービスを実装。どちらも集積された顧客レビューを軸にしたもの。
購入支援では、購入前の疑問について、例えば、コスメでは自分の肌に合うかどうかをAIに聞くと、肌のタイプやトーン、悩みなどが顧客自身と同じような属性の購入者レビューを優先して分析。成分などの商品データなどと合わせて、評価の声を案内して可視化し、商品選定のサポートをするという。
出店者向けでは、顧客レビューで寄せられた内容の、ネガティブ文章から抽出されたキーワードをタイプ別に分類。「保湿不足」、「持続力への不満」、「香り」、「パッケージデザイン」などを項目ごとに数値化し、主なインサイトとして商品への不満や課題となっていることをレポート化し、その後の商品開発や改善のヒントとなるようにしていくという。各社で同じようなAIプラットフォームの活用が進む中、「どのようなデータを使って顧客を理解していくかがAIの競争力を決める。Qoo10は特別な資産を持っている。トレンドに敏感な若い顧客、そこから生まれる経験とレビューが我々と出店者にとって重要な資産になる」(キム・ソックンCTO)とした。
グ代表に聞く今後の戦略
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——ビューティー以外や国内ブランドの拡大について。
「引き続き、ビューティー市場で当社がリーダーシップを維持しつつ、(会員の)ライフスタイルの変化に伴って、新カテゴリーでの需要も求められていることから、そうしたブランド・商品も取り扱っていければ。国内全体のEC成長率が3〜5%の中、(Qoo10では)国内ブランドの成長率が50%に近く、(国内市場全体の)10倍以上に成長している。それだけ、期待値が高いと認識しており、国内ブランドやあらゆるカテゴリーのブランドを誘致していきたい。ただ当社としての強みはやはり若年層。全てのカテゴリーではなく、その中でも特定のブランド・商品を重点的に提供して差別化を図っていく。そうした戦略の方が当社にとっても意味があり、国内ECの発展のためにも健全だと考えている」
——旗艦店はビューティー商品中心の取り扱いなのか。
「最初はそうなると思うが、決して特定のカテゴリーに絞っていくことはなく、顧客が求めるものを展開したい。例えば健康食品、フード、エンタメなどの商品・ブランドも積極的に旗艦店を通して提供していきたい。当社の旗艦店の位置付けは販売だけが全ての目的ではなく、顧客との接点を拡大していく目的の方が大きい。販売よりかは体験型のポジションを取りたいため、(来店者が)色々な商品・ブランドを試して、そこで欲しいものを見つけるような仕組みで設計を進めている」
——UI・UXで大事にしている視点とは。
「当社のサービスは発見型で、発見する体験が非常に重要。私も最初見た時には複雑なサイトだと思ったが、若年層の女性顧客に聞くとそれが非常に楽しくて面白いということだった。やはりユーザーに合ったUI・UXが大事になる。当社はカラーコンタクトの市場シェアがオンラインでは1位だが、色や模様がはっきりと分からないまま迷っている顧客もいる。その中で先週開始したサービスでは顧客の自撮り画像を通じて、そのオプションの商品を押せば、VRで自分の目に合った商品が映る。そこでどんな模様や色が自分に一番合うかをアプリ上で試せるというもの。他社ではここまでやる必要があるのかと思うことはあるかもしれないが、当社にとっては品数の多いカテゴリーであり、求められている機能。こういったUI・UXをより次のレベルまで発展させていくのが当社の戦略であると考えている」