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薬機法に課徴金導入、「薬事行政」の力学 健食の広告違反、「運用基準」が焦点

2019年 1月24日 13:15

 「健康食品」はこれまで薬機法(旧薬事法)の規制に翻弄され続けてきた。機能性表示食品制度の導入に、業界の期待は高まったが、そこに突如降りかかったのが「歩行能力の改善」問題。機能性表示食品さえもその規制を受ける中、これと前後して決まったのが、改正を予定する薬機法への課徴金制度の導入だ。常に健食は、医薬品と表裏一体で語られ、薬機法規制から免れ得ない。結論をいえば、その位置づけを明確に定める「サプリメント法」がないためだ。課徴金制度で「薬事行政」の力学はいかに働くのか。
 
無許可事業者にも強い問題意識

 「『未承認医薬品』の製造販売は、景品表示法にはない大きな問題。しかも無許可事業者なので、既存の行政処分がほとんど効果を発揮しない」。薬機法への課徴金導入をめぐり、厚労省監視指導・麻薬対策課の磯部総一郎課長はこう口にした。「未承認医薬品」の多くは、医薬品的効能効果等をうたう食品(健食)。そこには、健食に対する強い問題意識がみてとれる。

 課徴金は、経済的利得を目的にした広告違反の抑止を目的とするもの。対象として、医薬品や化粧品等を対象とする66条(虚偽・誇大広告)、健食を主な対象とする68条(未承認医薬品の広告の禁止)を想定している。

 導入に、地方自治体の広告監視の現場からは「とくに反対する理由はない。これまでも指導で広告自体、中止させることはできた。ただ、ウソの広告でも、消費者はウソだと分からないまま。消費者不在行政とは昔から指摘されていた」、「広告違反となると『指導』か『刑事手続き』しかない。その間を埋める行政措置がない」と、賛同の声があがる。

 「未承認医薬品」、医薬品成分の含有など健康被害の蓋然性が高いものは、指導と回収措置とセットで行われ、消費者への注意喚起を目的に製品の概要が公表される。ただ、「ガンが治る」といっても水面下の「指導」のみ。「違反を指摘しても悪質な業者ほど”直せばよいのだろう”という姿勢。釈然としない思いはあった」(自治体関係者)と、忸怩たる思いがあったことをのぞかせる。
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