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出店ブランドの課題を解決 ゾゾタウンのデータを分析、服好きな社員が活躍

2025年 6月 5日 12:00

 ZOZO(ゾゾ)は、ブランド営業本部が窓口となり、ファッション通販サイト「ゾゾタウン」で保有する膨大なデータを活用して出店ブランドの売り上げや課題解決をサポートしている。

 ゾゾのブランド営業本部は、各ブランドと設定した売り上げ目標の達成に向け、ブランドとのコミュニケーションを密にして課題を共有。状況に応じてクーポンやタイムセールといった販促施策、EC限定品の展開など、収集したデータをもとにブランドの価値向上や売り上げ拡大につながる提案を行う。

 そのためにもデータ分析は不可欠で、「ゾゾタウン」全体の売れ行きや前年との売り上げ比較、競合の動向、気温の変化など幅広い情報をもとに仮説を立てて具体的な戦略を立てており、「出店ブランドの売り上げと成長に直結する役割を担うので、やりがいがある部署」(ブランド営業本部ブランド営業二部ブランド営業Gブロック正井健太郎氏)という。

 また、ブランド営業本部では商品の魅力をユーザーに伝えられるように「ゾゾタウン」上の商品画像の差し替えなど、購入意欲を高めるための対応も行う。加えて、売り上げ拡大に向けた各種施策の効果を最大化するためにも、ユーザーが欲しいタイミングで買えるように「ゾゾタウン」用の在庫を確保してもらえるようにブランドとの連携を深めている。

 ファッションブランドは従来のような過剰生産をしなくなっている中で、在庫を実店舗や自社EC、「ゾゾタウン」にどれくらいの配分で持つかに悩んでおり、ブランド営業本部がコンサルティングの役割を担うこともあるようだ。

 一部の出店ブランドとは、ブランドの自社倉庫や店舗の在庫データを「ゾゾタウン」のシステムと連携することで、ゾゾの物流拠点に在庫を預けなくても販売できる在庫連携の仕組みを構築して機会損失を防いでいる。

 また、ゾゾは受注生産方式で1着から注文を受けることができる生産支援プラットフォーム「Made by ZOZO(メイドバイゾゾ)」に加え、店舗取り置きや店舗在庫表といった「ゾゾタウン」とブランドの実店舗をつなぐOMOプラットフォーム「ZOZOMO(ゾゾモ)」、広告事業など出店ブランドに提案できるメニューが多い。

 さらに、「ファッション好きな社員が圧倒的に多いのは総合ECモールにはない強み」(正井氏)とし、ファッション感度が高いゾゾユーザーに向けたさまざま企画を展開できるのも同社ならではとしている。

リアル店舗の
集客支援策も


 出店ブランドと実施した企画では例えば、ベイクルーズが展開する人気ブランド「ジャーナルスタンダード」から実店舗の集客も強化したいという要望を受け、2023年10月に「ジャーナルスタンダード」ペリエ千葉店の1周年に合わせて、ゾゾが同店でポップアップイベントを開催した(画像㊤)。

 「メイドバイゾゾ」で生産した同ブランドのサンプル品を展示して確かめられるようにし、ペリエ千葉店の集客強化と、「メイドバイゾゾ」の取り組みの認知向上を図った。

 ファッション好きな社員が多い特徴を活かした企画では、売り上げ拡大と新規ユーザーの取り込みを図りたいという「ジャーナルスタンダード」の意向を受け、23年3月に同ブランドの新作60アイテムと、同ブランドのスタッフ手持ちの古着を組み合わせたコーディネート企画を「ゾゾタウン」内で実施した(画像㊦)。

 「ゾゾタウン」の検索データやファッションコーディネートアプリ「WEAR(ウェア)」の投稿を分析して古着の注目度が高かったことから、ブランドの顧客層と古着好きな層を比較して新規顧客獲得につながるアプローチを設計。「ゾゾタウン」上で新作情報や企画の情報を発信するトップページバナーを活用して効果的に訴求した結果、掲載アイテムの売り上げは未掲載アイテムと比較して約4倍になったほか、20代の流入も含めて成果があったという。
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