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【新年特集 本紙アンケート調査・通販各社に聞く2020年の市場予測】 「拡大する」が69%、「横ばい」は10㌽増加の26%に

2020年 1月 2日 13:30

 通販新聞社では通販実施企業を対象に「今後の市場予測」についてアンケート調査を行った。2020年の通販市場について尋ねた結果、「拡大する」と回答した企業の割合は69%にのぼった。ネット販売が通販市場拡大のけん引役になるとの見方が多かった。他方、「景況感」についての質問では、「下がっている」とする回答が前年に比べて大幅に増えた。背景には消費増税の影響があるようだ。今後の通販市場はどうなっていくのか。各社から寄せられた声を紹介する。

 







 実施したアンケートでは「2020年の通販市場について、どのように予想していますか」と質問。それに対して「拡大する」「横ばい」「縮小する」の3つの選択肢の中から選んでもらった。その結果、「拡大する」は1年前に実施した前年調査に比べて13ポイント減少したものの、69%と最も多かった。次いで「横ばい」が前年から10ポイント増えて26%を占めた。最も少なかった「縮小する」は、前年調査から3ポイント増加して5%となっている(㊤グラフ参照)。

ネット販売が市場をけん引

 「拡大する」と回答した企業の理由を見ると、目立つのはネット販売が市場拡大をけん引するという見方だ。

 例えば「ネット販売事業の拡大が見込まれるため」(ベルーナ)や、「ネット通販のさらなる拡大」(マルハニチロ)、「世の中のトレンドとしてネット通販への移行が加速している」(全日空商事)、「スマホを中心としたEC通販の拡大」(ヒラキ)といった回答が見受けられた。

 テレビ通販系の企業からもネット販売を拡大要因に挙げる声が複数寄せられた。具体的には「インターネット販売の拡大が見込まれるため」(ジュピターショップチャンネル)、「リアル店舗販売よりECを中心にした通販市場は拡大していくことは当然に予想できること」(テレビ東京ダイレクト)、あるいは「スマホ決済等の拡大もあり、通販市場の拡大傾向は継続すると思うが、サービス面の充実により消費者の選択基準も厳しくなってくると考える。伸び率は鈍化するのでは?」(GSTV)といった反応もあった。

媒体別の影響を指摘する企業も

 ネット販売を拡大要因とする企業はほかにもある。「ECの加速。共働き世帯の増加に伴う宅配の需要増」(オイシックス・ラ・大地)といった企業や、「業態問わず、webでの注文は今後加速すると考えるため」(サン・クラルテ製薬)。

 さらには「Amazon、楽天、Yahoo!などモールについては、ますます利用率が高まるが、一方で単品通販メーカーは苦戦が見込まれる」(メディプラス)と、仮想モールの拡大を予想するケースや、「カタログ通販は、縮小。EC通販の拡大」(ダイワ)のようにカタログ通販は縮小すると媒体ごとの影響を分析する企業もあった。

 ファッション系の企業からは「通販市場において、引き続き利用者の拡大が進むと予測されるため」(ユナイテッドアローズ)や、「海外と比較するとまだまだ余地はあると考えているため」(ロコンド)との見方が寄せられた。

高齢化・高齢者もキーワードに

 これ以外の拡大の理由としては「手軽にいつでも購入できるチャネルとして、利便性が高いため、さらに拡大していくと考える」(ファンケル)や、「国民の生活様式の変化により、チャネルとしての通販へのシフトが続くと思われる」(ニッピコラーゲン化粧品)など。

 また、「高齢化進行、及び社会インフラ(キャッシュレス決済・宅配BOX等)の整備」(アプロス)、「高齢者向けサービスは堅調に推移しており、市場全体には伸びしろを感じるため」(エイチ・ツー・オー リテイリング)などのように高齢化・高齢者をキーワードに挙げるケースもあった。

 ほかには「新規参入が依然多いから」(世田谷自然食品)、「市場自体が縮小する要因は見当たらない」(大網)、「郊外における百貨店の閉鎖など、実店舗小売りの縮小及び都市化」(ダイドーフォワード)、「2020年は東京オリンピック・パラリンピック2020の影響で、全体的に購買需要が拡大すると思われるため」(田中貴金属ジュエリー)などの声もあった。

ECは伸長も増税で横ばい

 次に「横ばい」と予測した企業の回答理由を見ていく。

 「EC市場の伸長はあるものの、増税の影響などにより横ばいは続くと想定」(リフレ)と増税がマイナス要因になるとの見方や、「市場については微増していくと思うが、競争は激化していくので厳しい状況が続くのではないないか」(ヤマサキ)と、競争の激化を挙げる企業もあった。

 ほかには「googleのルール変更」(タンスのゲン)や「結果的にパイの奪い合いであり、市場規模そのものは増えていかない」(エー・ビー・シーメディアコム)との意見も寄せられた。

オリンピックでTVの枠が減る

 最後に「縮小する」を選んだ企業の声を紹介すると、「2020年夏のオリンピックでTV通販は枠が減少し、約1カ月間はかなり落ち込むと想定される。オリンピック前後も影響が出て年間でのリカバリーは厳しそうであるため」(ロッピングライフ)と、オリンピックがマイナス影響を与えると予想。

 ほかには「当社が扱うPC市場は、2020年1月に『windows7サポート終了』がある。2019年はリプレイス需要が高まっている。その反動で落ち込みが予想されているため」(エプソンダイレクト)のように、商材の特殊要因によって落ち込むとする企業もあった。



3割が「下がっている」、背景には消費増税の影響が

<足元の消費動向は?>

 消費動向についてのアンケートも実施。「現状の消費の動向をどう捉えていますか」と質問し、「上向いている」「下がっている」「横ばい」の3択で回答してもらった。結果、「横ばい」は54%、「下がっている」は30%、「上向いている」が16%となった(㊦グラフ参照)。前年に比べて「横ばい」が減り、「下がっている」が大きく増えた。

 最も多かった「横ばい」は、前年調査から22ポイント減少した。

 選択理由をいくつか見ると、「景気動向が不透明な中で消費意欲は下がっていないが、何でも売れる状態ではなく、消費者の選別の目は厳しくなっている」(テレビ東京ダイレクト)との声や、「デフレ傾向の継続が見込まれるため」(ベルーナ)、「消費増税による落ち込みは今のところあまり見られないが、今後の影響を注視している」
(アプロス)、「消費増税への大規模な緩和策の実施により、個人消費は大きく変わっていない。また、当社のメインの取扱商品である食料品については、軽減税率の対象となっているため」(オイシックス・ラ・大地)など。

「下がっている」前年から26ポイント増

 次に多かったのは「下がっている」で、前年から26ポイントと大幅に増えた。多くの選択理由で増税の影響が指摘されている。

 「消費増税による購入マインド減退」(ディーエムジェイ)、「消費増税後の反動と、消費を著しく喚起させる要因を見つけにくいため」(ユナイテッドアローズ)、「直近は消費税の導入により10月、11月は前年対比で厳しい状況」(メディプラス)、「先行き不安や節約志向、増税による消費の低迷」(ヒラキ)、「増税の影響あり」(ロコンド)。

 さらに「当社はそれほど影響を受けていないが、市場全体では増税後の消費の落ち込みをやや感じる」(全日空商事)、「消費増税の影響は10月以降、少なからず感じており、キャッシュレス決済の還元キャンペーンが終了する時には消費は一層冷え込むと予想する」(エイチ・ツー・オー リテイリング)など。

 「上向いている」を選んだ企業は「増税前には駆け込み需要が見受けられたが、増税後も想定以上に大きく落ち込むことはなく、安定した売上を維持できているため」(ファンケル)や、「10月の増税直後は消費が落ち込んだものの徐々に回復しており、2020年のオリンピックに向け、消費はさらに活発になると思われる」(MOA)などの声が寄せられた。

 
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