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名古屋高裁、ファビウスが二審も勝訴、継続条件「容易に認識」

2021年10月 7日 13:00

 適格消費者団体の消費者被害防止ネットワーク東海(=Cネット東海)が、健康食品通販のファビウス(旧メディアハーツ)を相手取り行っていた差止請求訴訟は9月29日、名古屋高裁がCネット東海の請求を棄却した。初回価格の強調が景品表示法の「有利誤認」にあたるとして是正を求めていた。

 







 判決の詳細は現段階で不明だが、Cネット東海が敗訴を明らかにした。上告の期限は、10月13日。「対応を検討する」(Cネット東海)としている。

 Cネット東海は2018年1月、差止請求訴訟を名古屋地裁に提起。19年12月の請求棄却を受け、昨年1月、名古屋高裁に控訴した。

 控訴では、初回価格の強調や、申込確認画面における初回支払金額のみの記載が「1回だけの契約と誤認させる」と指摘。また、初回価格を2回目以降の支払金額より強調したり、定価と比較することで、1回あたりの平均支払金額より低額とする表示が有利誤認にあたると主張した。一審で差し止めを求めた表示を改めて争点にした。

 ファビウスは、「すっきりフルーツ青汁」の販売にあたり、最低4回の継続を条件に、定価(3980円)から84%割引した初回価格(630円)で提供する「ラクトクコース」を展開していた。

 一審でCネット東海は、「ラクトクコース」の広告について、4回の継続を条件としながら1回あたりの平均支払金額(約2767円)と比較せず、初回価格を強調することが景表法の「有利誤認」にあたると指摘した。また、フォントサイズの違いなど初回の割引価格の強調から、中途解約できないと認識できず、初回のみ購入できるかのように誤認させるとした。

 ファビウスは、初回価格と同一画面に4回の購入が必要であることなど継続条件を4回に渡り表示。画面遷移先でも「ご購入前の注意事項(必ずご確認ください)」と表示の上、目立つ背景色とともに、赤字で「特別価格コースのため、途中解約はできません」と表示。同画面のほか申込確認画面でも4回分の支払総額を表示していた。このため、「価格表示にある程度誇張があると認識している一般消費者が、表示をすべて見逃し初回のみ購入できると認識するとは到底考えられない」と主張した。

 地裁は、申込ボタンの真下に継続条件が広告内に繰り返し表示されていることや、途中解約できない旨を目立つよう記載していることから、「どのような契約か関心のある一般消費者であれば、目を通すことが通常想定される」「健全な常識を備えた消費者は容易に認識し得る」とした。申込確認画面も総額が明記されており、「初回のみの契約と認識するとは言えない」と判断した。

 平均支払額と比較していないとの指摘も、「5回目以降も継続して購入できるから、平均支払額という金額自体を想定できない」とし、「社会一般に許容されている誇張の程度を超えて販売価格の有利性があると誤認させるものではない」としていた。

 Cネット東海は提訴に先立ち17年11月、返金保証に関する表示の削除を求めており、ファビウスはこれに対応していた。

表示誤認0.073%、相談と発送件数比較で妥当性評価

 Cネット東海がファビウスの表示を消費者が「誤認する」として示した根拠は、国民生活センターに寄せられた相談件数だった。今回の訴訟に限らず、法執行においても相談件数の多寡は、客観的な指標として示されることがある。地裁は、「商品の発送件数に占める割合」を中心にその妥当性を評価した。

 Cネット東海は控訴に際し、相談件数について新たに情報収集するなど調査の範囲を広げていない。高裁でも地裁の判断が採用されたとみられる。

 一審でCネット東海は、17年3月次に国センに寄せられたファビウスに関する100件の相談のうち、「解約可能と思って注文した」との相談が54件あったとした。「初回のみ強調」による誤認の根拠として示した。ファビウスが、月間の申込みを「300人限定」と絞って訴求していたことから、仮に300件の注文を受けていた場合、約18%が誤認していた計算になると指摘した。

 ファビウスは16年度の相談件数は2969件であり、Cネット東海の主張を反映させると1603件(54%)が誤認した計算になると説明した。

 その上で約1年(16年4月1日~17年4月26日)の商品発送の件数が219万件あり、仮に1603件の相談が寄せられていたとしても0・073%に過ぎないと指摘。「1万件に7件程度の相談でも寄せられることがないよう過度に委縮した広告をしなければならないことになる」「ごく少数の消費者すら誤認し得ない表示を強い、商行為に通常許される範囲の誇張すらも禁じる」と反論した。

 年間の相談件数が約3000件あったことは企業姿勢に疑念が残る面もあるが、評価は行われていない。名古屋地裁は、被告の主張を容れ、「17年3月の発送件数約44万件のうち、『初回のみ』との誤認は54件で0・012%に過ぎない」と判断。「0・073%」とする被告の主張も採用した。また、300人限定の募集を行っていたのは、16年9月であり、Cネット東海のあてはめは「時期が異なる」と指摘。仮に毎月300人限定とした場合も「発送件数からしても、健全な常識を備えた消費者の認識を基準に、有利誤認とはいえない」とした。

 相談件数は法執行の妥当性を評価する上でも判断指標の一つになりうる。ただ、その評価は、一側面から行われることが少なくない。販売実績との比較による評価は、これに一石を投じることになりそうだ。







 
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