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〈24年度の景表法運用〉調査件数が倍増 「指導」約4倍、情報提供の対応強化

2025年 6月 5日 12:00

 消費者庁による景品表示法の調査、指導件数が大きく増加している。2024年度の運用では、調査件数が約2倍、指導件数が約4倍に増えた。外部有識者等の指摘を踏まえ、年間約2万件寄せられる情報提供に対する対応を強化している。

 2024年度の措置命令は、26件だった。件数は、前年の44件から大幅に減った。ステルスマーケティング規制の初の執行、確約手続きの認定など、改正景表法に導入された新たな規制への対応が影響したとみられる。「優良誤認」は14件(同40件)、「有利誤認」は8件(同5件)。不実証広告規制の適用は、64%(9件)だった(関係法令が2つ以上の事件もあるため、命令件数の総数とは一致しない)。

 ステマ規制による措置命令は5件、指導も5件あった。

 初めての処分事例は、医療法人がグーグルマップで高評価することと引き換えに、予防接種を割引していた事件だった。「PR」つきのインフルエンサー投稿を企業サイトに転載した際、「PR」等の表記を行わなかったことで処分に至った事例も3件あった。いずれも第三者への利益提供を前提に投稿を依頼した事例で、企業の従業員による「なりすまし型」の違反認定はない。

 確約では、パーソナルジムで「期間限定」をうたいながら、繰り返し同一の割引キャンペーンを行っていた事例を対象にした。「繰り返しキャンペ」の事例は、これまでも度々、「有利誤認」で処分事例がある。

 一方、前年から大きく変化したのが、調査件数だ。消費者庁には、年間1万5000~2万件、外部からさまざまな情報提供が行われている。情報提供は増加傾向にあり、24年度は、前年度比20%増の約2万2000件あった。表示対策課では、これら事案から調査を行うことが適当と思われる案件を精査し、調査する。

 ただ、実際に調査が妥当として着手した件数は200~300件ほどで推移。措置命令件数は、例年40件前後で推移するなど、さらに少ない。消費者団体や有識者、国会議員など外部からは、〝少なすぎる〟との批判がある。こうした状況を受け、調査件数、指導が増えたようだ。調査の総件数は、437件(前年は229件)と約2倍に増加。とくに行政職員による「職権探知」は278件(同82件)と大幅に増えている。

 処理件数は、382件(同195件)と約2倍に増えているが、「措置命令」は26件(同44件)と減少、「指導」は339件(同85件)、「確約計画の認定」は1件、「公正取引協議会による処理」は1件(同14件)。指導実績が件数の増加に影響した。指導では、中古車や中古品の買取サービスに関するトラブルの増加を受けたものとみられる。

 課徴金命令は、7社に対する7件(前年は11社に対する20件)。総額約19億円で、メルセデス・ベンツ日本に対する課徴金約12億円が総額を押し上げた前年並みの水準だった。

 措置命令・指導を含む商品・役務別は、「車両・乗り物」の162件に続き、「教養・娯楽サービス」は50件、「食品」は27件、「土地・建物・設備」は25件、「保健衛生品」は21件だった。

 都道府県による措置命令件数は4件(東京都が2件、埼玉県、京都府が各1件)だった。
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