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「Yahoo!マート」、15分で日用品配達<拡大する?クイックコマースの行方> アスクル、出前館らグループ各社が連携

2022年 2月 3日 13:00

 Zホールディングスは傘下のアスクルや出前館などともに昨夏からテスト展開を進めていた日用品や食料品の即時配送サービス、いわゆるクイックコマースサービスを本格化する。「Yahoo!マート」に改称した上で取扱商品数も拡充。サービスエリアも今年度中に東京23区全域まで広げる。クイックコマースは米国など海外で急成長しているが、国土が狭く、商店が多い日本では展開が難しいと見る向きもある。日本におけるクイックコマースの今後は(写真㊤、左から出前館の清村取締役、ZHD・ヤフーの秀執行役員、アスクルの輿水取締役)。

 
 「『今すぐ商品を届けてほしい』というニーズは間違いなく日本でも大きく拡大していく」。

 Zホールディングス(ZHD)は1月26日、グループ傘下各社と組んで、日用品や食品、飲料などを注文から最短15分で配送するクイックコマースサービスの本格展開を開始した。昨年7月末から「PayPayダイレクト」というサービス名称で都内の一部で実証実験を行ってきたが、昨年10~12月の2カ月間で注文数が10倍に増加するなど「強い手ごたえを感じた」(秀誠ZHD 執行役員兼ヤフー執行役員COO事業推進室 事業推進統括部長)として、本格展開を行うとし、サービス名称を「Yahoo!マート」と改称した上で、規模拡大を進める考えだ。

 同サービスはZHD傘下のアスクルが仕入れたティッシュペーパーや洗剤などの日用品や冷凍食品、生鮮品、水、酒などの商品をあらかじめ都内の拠点に在庫しておき、同じく傘下の出前館が展開中のフードデリバリーサービス「出前館」の配達網を活用、顧客宅に即時配達するもの。

 利用者は「出前館」のアプリやサイトから飲食店の料理のデリバリーを注文するように「Yahoo!マート」を選んで注文できる。現状、コンビニ店舗の居ぬきやオフィスビルの一室などに設けた商品在庫拠点は都内7区に8カ所(板橋区大山、渋谷区代々木上原、中央区日本橋、墨田区横川、港区三田、新宿区神楽坂、大久保、台東区上野)設けており、各利用者が登録している住所に応じてサービス対象エリアの利用者のみ「出前館」のアプリやサイトに「Yahoo!マート店」が表示される仕組み。利用者からの注文を受けて各拠点の庫内作業員が受注品をピッキングし梱包。拠点周辺におり、「出前館」からマッチングされた配達員が商品を受け取り、自転車やバイクで利用者のもとに届ける。配送時間は注文から15分から1時間程度となるよう。注文は総額800円から受け付ける。配送料は420円(注文額1500円以上は310円)。

 本格展開のため、今後、取扱商品数を拡充する。すでに実証実験開始当初の300SKUから約1500SKUまで商品を増やしてきたが、さらに取扱商品を拡充する。これまで通り、アスクルが展開する自明者向け通販事業や日用品通販サイト「ロハコ」で販売する商品を軸にしながら、直近で投入した冷凍食品・アイス、牛乳や卵、納豆などといった日配品のほか、現状は一部の拠点のみ取り扱う野菜や果物などの生鮮品や昨年末に販売した2万円のおせちや今年1月29日に販売した全国の有名駅弁など季節・催事商品などアスクルではこれまで販売していなかった商品や、アスクルの取引先でマーケティング面などで連携する複数のメーカーと組んで、新商品の先行販売なども行っていく考えで、当面は3000~4000SKU程度の商品数を目指していくという。価格帯は現状、”スーパー以上、コンビニ未満”という状況だが、テストを含めて割安な価格設定を行うなどし、売れ行き等を検証していく考え。

 なお、現状の商品カテゴリー別の売上構成は「食品」が34%、「水・飲料・酒」が18%、「日用品」が17%、「冷凍食品・アイス」が16%、「チルド・日配品」が15%。「(実証実験のスタート当初は)米やカップ麺、ソフトドリンクなどの常温加工食品が売れ筋だったが、最近では冷凍食品や日配品などの売り上げが大きく伸びている。また、トイレットペーパーや電池、洗剤といった食品以外の日用品も非常に売れている」(アスクルの輿水宏哲取締役)という。

 サービス展開エリアも拡充する。すでにお出前館は47都道府県でフードデリバリーを行っているが、「Yahoo!マート」の展開のためには在庫拠点が必要なことから現状、東京23区の主要エリアに8拠点を構えている拠点数をさらに増やして今年度中の早い段階でまずは東京23区をカバーできる体制とし、その後、東京23区以外の東京の市や他の都市圏などでも拠点を構え、展開していきたい考えという。

 クイックコマースは米国や中国、韓国などで急速に事業が立ち上がり、急成長を見せている事業領域だ。日本でも通販事業者らがかつて即配サービスを展開し、例えばアマゾンジャパンは「プライムナウ」という名称で1時間以内の商品即配を実施していた。現在では「ウーバーイーツ」など複数のフードデリバリー業者が自社または小売業者と組んで、料理のみならず商品の即配を展開している。

 「すぐに商品が欲しい」というニーズは間違いなく、日本にもあるだろうが、特に都市圏ではコンビニやスーパー、ドラックストアが集中し徒歩圏でかつ安く日用品の買い物が可能という環境下で、日用品のEC自体も成長が鈍化傾向にある中、「安くない配送料を支払ってまで欲しいか」というと海外と同様の実需要があるか否かは不透明だ。実際、実需に対して即配網の維持がネックになったようでアマゾンは奮戦むなしく「プライムナウ」は早々に1時間以内配送をやめ、サービスとしても昨年3月で終了している。また、フードデリバリー大手の「ウーバーイーツ」ではコンビニや雑貨店など外部の小売業者と組んですでに商品のクイックコマースを進めており、競合も多い。

 ZHDでは「Yahoo!マート」の事業の売り上げ目標は明らかにしていないが、「集客(ヤフー、LINE)・商品(アスクル)・デリバリー(出前館)の3つの領域のNo.1アセットで『ほしいものが今すぐ届く』という新しい買物体験の提供を通してクイックコマースという新たな市場を作っていきたい」(ZHD)とクイックコマース事業に自信を覗かせる。「グループ各社のやれることを単に組み合わせ、形にしたシナジーのない事業に過ぎない」(業界関係筋)と揶揄する声もある。配送費を払ってもよいと思わせる商品や価格設定、強い競合とのシェア争い、倉庫拠点の維持コストの問題など克服すべき課題は多そうだが勝算はあるのか。行方を注視したい。


「定着力高く強い手ごたえ」、各社のアセットで競合優位性

“Yahoo!マート”の狙いと勝算

 Zホールディングスグループが本格展開を開始した商品のクイックコマース「Yahoo!マート」。狙いや勝算について聞いた。(1月26日開催の記者会見の質疑応答より要約・抜粋)

                        ◇

 ――日本でもクイックコマースが大きく伸びる可能性を感じたとのことだがなぜか。

 ZHD・ヤフーの秀誠執行役員「(昨年7月から開始した)実証実験の結果として、多くのお客様に利用頂け、そのお客様が高い頻度で継続的に利用頂いているということも確認できた。他のEコマースサービスと比べても定着力の高いサービスだと感じた。コロナ禍以降、デリバリーというニーズは”フード”を中心に日本でも大きく浸透してきており、”物販”のデリバリーについても、大きなニーズがあるという手ごたえがあった」

 ――出前館と競合の「UberEats(ウーバーイーツ)」ではローソンのような小売業者とも連携してクイックコマース事業を展開している。ウーバーに対しての勝ち筋をどう考えているのか。

 秀氏「クイックコマース事業を展開していくにあたり、すでに当社グループでは必要なアセットを持っている。出前館が持つ注文者・配達員のプラットフォームやアスクルの商品を仕入れて販売する直販のファンクション。また、ヤフーやLINEといった集客のプラットフォームから強力にサービスを訴求、認知していけること。これを組み合わせることでこれまでフードデリバリーを利用してきたお客様を迅速に取り込むことや、商品面で競合優位性を出していくこともできると思っている。ZHDグループならでは強みを生かして品質の高いサービスを提供していきたい」

 ――ソフトバンクグループが出資する(韓国のEC大手の)「クーパン」との連携や住み分けは。(クーパンは昨年6月から日本でクイックコマースを開始したため)競合になる可能性があるが。

 秀氏「現時点で連携や調整を行っていることはない」

 ――商品数は。

 アスクルの輿水宏哲取締役「(実証実験を開始した昨年7月の)当初は300SKUからはじめ、現状では11500SKUまで増やした。お客様がすぐに欲しいものをそろえるには、少なくとも3000~4000SKUは必要だ。商品を増やせば増やすほどお客様の数も増え、リピート率も上がる。もちろんまだゴールではないが次のステップとしては、そのくらいの商品数を目指してしている」

 ――展開エリアはどう広げていくか。

 秀氏「今年度の早い段階で23区のお客様が利用できる状態を全力で目指したい。それ以外のエリア展開では東京以外の都市、あるいは東京23区以外のユーザー層の多い都内のエリアなどが考えられるがどのタイミングでなどは決まっていない」

 ――「Yahoo!マート」の利用者、売上高の目標は。

 秀氏「今日時点では非開示だ」


 
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