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【小林事変 ①瞬く間の大炎上】 岸田総理「あらゆる対応を検討」

2024年 4月 4日 12:00

 事変――。こうとしか、表現しようのない出来事が進行している。紅小林製薬の紅麹原料が疑われる健康被害問題だ。「被害者急増」「回収拡大」「原因不明」で問題は爆発的に広がった。小林製薬個社の問題が紅麹の安全性、機能性表示食品制度の信頼性にまで拡大。大規模な風評被害と信用毀損を生じさせている。影響を受けた企業は対応を続けるがどのように収束するかはまだ見通せない。

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 3月22日。金曜日の夕方。サプリメントを通信販売で展開する企業の担当者は社内で打ち合わせていた。17時過ぎにWEB会議は今後の段取りを確認して終了。

 スマートフォンをふと見るとSMSを通じてのメッセージ着信を告げる赤いしるし。

 「お疲れ様です。小林製薬が紅麹サプリを回収だそうですね」。相手は懇意にしている業界団体の関係者だった。

 「おっと、これは」と思ったその担当者はヤフーのトップページを開く。

 そこでは既に18時から小林製薬が記者会見を開く事実が報じられており、小林章浩社長が出席することとなっていた。

 小林製薬のような大手企業が製品回収で緊急で記者会見。さらに社長が出るとなれば大事の可能性は高い。担当者はまだWEBが繋がっていた社内の関係者にニュースを伝え、ベンチメークの必要性を話した。

 一通り関連部署を回り、アラートを出し、関連部署で対応を協議。会見の内容を共有して分析。顧客からの電話応対に備えて、関係者は早朝に集合するとなった。

 翌朝の新聞各紙。毎日と朝日は社会面中で扱いが小さく、読売と日経は社会面の左。産経新聞は1面トップで出色の報道だった。

 「産経一面トップか。そこまでの話かな」。そう思ったこの担当者の見方は甘かった。23日、24日と土日を挟み、翌週になると事態は業火のように燃え上がっていく。

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 3月25日。月曜日午前。総理官邸。林芳正官房長官による定時の記者会見の3問目。

 記者「小林製薬が健康被害の恐れがあるとして、紅麹原料の入った商品の自主回収を進めている。加工された各社の商品にも影響。国民の食品への不安が広がる懸念があるが受け止めと対応は」

 林官房長官「(前略)厚生労働省が報告を受けている。現在、原因究明や商品の自主回収が適切に進められるよう、大阪市の保健所が当該企業を指導している。厚生労働省は全国の自治体に対して、企業が回収対象としている商品を含めて、紅麹を原料とする商品に健康被害情報があれば、報告依頼。原因の究明や適切な自主回収の実施などの健康被害の拡大防止を図っている」。

 官房長官の会見で健康食品の問題が取り上げられたことはほとんどない。会社の会見を挟んで、月曜日の官房長官会見で取り上げられたというのはそれだけでも異例だ。

 その後事態は最悪の展開を見せる。被害者の数が増え、関係が疑われる死者が出ていることが報じられると、社会の受け止めも報道のトーンも数も厳しさを増す。

 原料の供給先も当初は発表せず。月曜日に52社に及ぶことが分かり、回収が拡大。卸での取引を含めると3万社超となった。これらがすべて回収の懸念に晒されることとなり、現場はパニック状態となっただろう。

 原因不明も不安を助長した。当初、小林製薬は原因とみられる混入物質を「未知の成分」としていたが、28日に厚生労働省が「プベルル酸」の可能性を指摘。実際は「既知の成分」だった。

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 3月28日。木曜日夕方。参議院予算委員会での質疑。

 立憲民主党辻本清美議員「まずは紅麹問題。昨日まで死亡例が2例、今日、また2例増えたようだ。報告は」

 岸田総理「報告を受けている」

 辻元議員「機能性表示食品制度の見直しの議論が必要では。安倍政権時代、ビジネスチャンスの一つとして届出だけにした安全規制の行き過ぎた規制緩和に一因があるのではないか。規制緩和の見直しも含めた再発防止をただちにすぐに着手すべきだ」

 岸田総理「原因を明らかにして、あらゆる対応を検討する」。

 総理答弁を読んだ自民党大物議員の政策秘書はこう話す。「機能性表示食品制度は土俵際の徳俵いっぱい。何もしないとこのまま寄り切られる」。

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 現在進行中の小林事変。これまでの動きと今後の影響を連載で検証する。(つづく)

 
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