〈注目企業のEC戦略〉 イズミセが豊富な品揃えで差別化、酒類ECでモール軸に50店展開

2026年08月06日 19:01

2026年08月06日 19:01

 酒類販売などを手掛けているリカマンホールディングスのグループ会社で酒類ECを行うイズミセでは、大手仮想モールを中心に50店舗以上を出店し、売上高の伸長が続いている。グループで全国展開する実店舗との連携や販路のすみ分けなども図り、定番商品からニッチな商材まで幅広い品ぞろえを武器に差別化を図っている。


0807111302_6a753f2e3fdda.jpg 楽天市場、アマゾン、ヤフーショッピングなどの仮想モールや自社通販サイトで酒類ECを展開し、カテゴリーごとに特化した内容で50店舗以上を出店している。ワイン専門店や日本酒専門店、焼酎専門店といったカテゴリー別に特化した、それぞれ異なる屋号による多店舗展開が大きな特徴を生み出している。

 全体での取扱商品は常時7000〜8000点近くとなる。ビールのケース販売やワイン全般が売れ筋となっており、ウイスキーやドリンク類などがそれに続くかたち。購入単価は6000円〜7000円前後となっている。

 リカーマウンテングループとしては、全国に200店舗以上のリアル店舗を抱えているほか、卸会社やビール・食品の製造会社などもあり、イズミセはグループの中でも通販部門を担当。グループとしての売り上げを広く獲得するための成長ドライバーという役割を担っている。

 通販ではケース販売やセット組みなど重量のあるまとめ買いの商品が人気となっている。加えて、実店舗では取り扱いが限られているようなニッチな商材への需要も高いとする。仕入れ銘柄については国内が約7割、海外輸入品が約3割。売り上げ比率としても、国内ナショナルブランド(NB)商品が多数を占める。

 一般的に、ワインECなどは1本買いが少なくないが、同社では低単価のワインも多くあり、それらを〝大人買い〟の形でケース購入を促す販売を実施。スパークリングワインなど12本のセット組みや、金賞ワインのセットなどが売れ筋になっている。各モールでのランキング上位のセット商品を網羅する一方、ランキングには入っていないものの固定ファンのニーズが見込める商品なども選んで内容を設計している。

 以前は12月がシャンパンや日本酒など高額商品が動く年末年始向けの一大商戦期でもあったが、最近では「父の日」がある6月がそれに匹敵するほどの規模にまで拡大。ギフト用のビールやウイスキー、日本酒などが売れているという。

 新規やリピーターの獲得に当たっては、特別にそれだけを狙った施策を使い分けていることはないものの、実店舗と同じような販売手法は常に意識している。「極力うちの店舗は安く(大量に)仕入れることで売るのが得意であり、それを通販でも行っている。もちろんそれだけでは利益が上がらないので、面白いものも仕入れてセットで組んで発信することをやってきた。やはり仕入れがすべてだと思う」(=顔写真、戸塚尚孝社長)とする。

0807111324_6a753f440d523.jpg 一例として、父の日向けでは輸入ビールのセット組みがあり、世界的な銘柄であるバドワイザーのような定番品だけでなく、スペインやドイツ、最近ではよりニッチな中国やモンゴルといった仕入れ先の銘柄も幅広く取り扱い、セットに組み入れいる。通販だけでなく、グループで実店舗も全国展開していることから、両方の販路を使って上手く在庫を販売できるというスケールメリットがあり、それこそが思い切った仕入れを行える後押しになっているとした。

 販促においては、モールでのポイント施策が中心。また、競合の状況も見ながらの値付けを行い、集客を図っている。率先して最安値に決めている訳ではなく、利益重視で行っており、2番手、3番手の価格にしながら、ポイント付与で支持を集めている。

 しかしながら、直近では売り上げ重視にシフトしているため、多くの販売が見込めるような人気商品については最安値をとりにいくなど、商品ごとにメリハリをつける戦略となっている。 

今期は売上高重視の戦略に

 なお、酒類販売全体の市況として、今は消費者側も通販の販路の方が最安値を探しやすく、またリアルでは珍しい商品も幅広く取り扱っているため、幅広い顧客が利用している面がある。加えて、酒類に詳しい顧客は保管状況も意識していることから、リアルの店頭に置かれている商品よりも、倉庫で常時保管できている通販の方が状態を好まれる傾向があるとした。

 そのほか、同社の場合、物流に関してはメインの滋賀の倉庫をはじめ、神奈川や神戸など全国に12拠点の倉庫を通販事業で有している。酒類ごとに倉庫の特性などに応じて使い分けていて、基本的には品質保持のために定温倉庫を活用している。配送については拠点によっては、午前中の受注で当日出荷などを行えるところもあり、スピード面でも配慮している。

 同社の2025年1月期の売上高は前年比15.4%増の150億円、26年1月期は同8.7%増の163億円となっている。今期については同13.5%増の185億円を計画。伸びの背景には「昨年の前半は利益重視だったが、今年前半は売上高重視に変えた。そのため、去年は行っていなかった(利益率が低いが売り上げの取れる)ビールなどを今年は最安値で投入していった」ことが増収の要因にあるという。

 現在、進行中の施策としては、「TikTokショップ」の活用がある。インフルエンサーを使うことによって食品などが売れているという事例もあるため、中国で定番だったライブコマースの市場が日本でも広がっていくことを期待。新しい販路として起爆剤とすることを目指していく。

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