〈仙台労基署〉 化粧品で石綿被害、死亡の元販売員に労災認定

2026年03月25日 14:00

2026年03月25日 14:00

 化粧品のアスベスト(石綿)被害について、仙台労働基準監督署が化粧品の美容部員の労災を認定した。女性は70年代に資生堂(現・資生堂ジャパン)の仙台駐在所に勤務。24年に胸膜中皮腫で亡くなった。石綿の吸入から発症の潜伏期間は数十年と長く、時折、健康被害が報告される。


 資生堂は、「元社員が逝去されたことについて、故人とご遺族に哀悼の意を表します」とコメント。今後の対応は、「詳細を把握して適切に対応する」とした。現時点で製品名は公表していない。70年代当時も全国に数千人規模の美容部員がいたとみられ、同様の事例が発生する可能性は残る。

 厚生労働省は、「行政措置は考えていない。問合せがあれば労災請求に関する案内を行う」(労働基準局補償課)。消費者庁は「厚労省の所掌」(消費者安全課)と回答を控えたが、関係筋によると「既知の問題」として受け止めているとみられる。

 ベビーパウダーへの石綿混入は1987年の報道で社会問題になり、厚労省が品質確保を通知した。06年には労働安全衛生法施行令で重量の0.1%を超える石綿を含むタルクの流通を禁止。リスクは一般的に知られている。吸入は規制以前の可能性がある。「石綿暴露の可能性のある業務に一定期間従事し、特有の中皮腫を発症していれば労災は認定される。ただ、あくまで蓋然性が高いということ。建材由来や加工場近くの居住など他の原因を排除するものではない」(厚労省関係者)との見方もある。

 天然鉱物を細かく砕いて粉末にした「タルク」は、建材や塗料などさまざまな製品に利用される。原料に起因する混入のほか、加工過程で生成される場合もある。

 被害は、支援団体である「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」が3月23日に明らかにした。

 女性は1974年から77年まで約3年間、勤務していた。約50年後の24年1月、体調を崩し石綿が原因とされる胸膜中皮腫と診断された。同年8月、労基署に労災を請求したが、同10月に死亡した。

 労基署は、女性が日常的に扱っていたファンデーションやベビーパウダーの原料である「タルク」に不純物として石綿が混入し、吸入した可能性があると判断。昨年12月に労災認定した。

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