DHCが物流に自動化システム、出荷能力30%増など生産性向上

2026年09月16日 13:31

2026年09月16日 13:31

 ディーエイチシー(=DHC)は、自社の物流拠点に自動化システムを導入した。出荷頻度に応じた複数のシステムを導入することで、これまでの半分以下の人員で出荷能力の30%向上を目指す。生産性の向上に加え、繁忙のばらつきに応じたピーク耐性、業務の品質向上も図る。


0918110116_6aac9b6c7110e.jpg 新システムを導入した「川崎ロジスティクスセンター」(川崎市)は、8月5日から稼働を始めた。通販顧客、直営店などBtoC向けの配送を行う。1日の出荷件数は約1万6000件。繁忙期は2万件程度になる。商品ピッキング、仕分け、梱包、出荷を担う自動化設備を導入した。投資額は公表していない。

 従来は、人による搬送、ピッキング、検品、梱包を行っていた。システムの導入により、作業を標準化し、正確性や生産性を高める。ピッキング等も単純作業になり、未経験者でも行えるようになる。人件費の高騰、高齢化など将来的な人手不足に対応する。

 川崎ロジは、通販顧客向けを中心に約9700品目を出荷する。上位500品目で売り上げの8〜9割程度を占める。このため、売上規模、出荷頻度の少ない製品のトータルピッキング、注文数の多い商品のデジタルピッキングを念頭に置いた。

 注文数の少ない製品は、トータルピッキングした後、200人分の製品を立体型自動仕分けシステム「オムニソーター」で個々の顧客に振り分ける。商品のバーコードをスキャンしてコンベアに乗せることで、同時に検品も行う。

 出荷頻度の高い上位商品は、270台の自動搬送ロボット「T—Carry(Tキャリー)」(=写真)がピッキングステーションに運び、22あるブースで人によるピッキング作業を支援する。従業員は棚回りに配置された製品を歩かずピッキングでき、同時に検品が行える。クレンジングなど注文の多い製品、季節品、キャンペーン品など繁忙の状況に応じて製品配置を複数のブースに振り分けることで、Tキャリーが自動で最適なブースに移動する。製品配置など、業務改善を通じて効率化とスピード化を進める。

0918110206_6aac9b9e80662.jpg 商品ピッキングを終えた製品は、Tキャリーが25ブースある梱包ステーションに運び、納品書などを箱詰めする。「自動封函機」が梱包箱のサイズを認識してテープによる封緘(ふうかん)、送り状の貼付を行う。出荷製品は、「配送自動仕分け機」で日付別、方面別、配送業者別に荷物を仕分ける。

 誤出荷など品質の課題は、これまでも熟練者が多く60〜70PPM(100万件のオーダーあたり60〜70件)だった。新システムの導入により、数年で1桁台のPPMを目指す。

 現在、約300人いるアルバイトスタッフ等は、最終的に半数以下に減らす。個別面談による意向確認、再就職支援も行う。

 「顧客が欲しいタイミングで商品をお届けする体制をつくる第一歩となる基盤がようやく構築できた。顧客との信頼関係を強固にしつつ『しあわせを、ふつうに。』というパーパスの実現に貢献したい」(長谷川俊一ロジスティクスユニット長)と話す。

 川﨑ロジは、健康食品約450品目、化粧品約580品目、医薬品約35品目、アパレル・生活雑貨約8600品目を出荷する。アパレルは、23年に約6600品目(約66万個)を格納する自動倉庫「オートストア」を導入した。「市川ロジスティクスセンター」は、流通卸向け出荷を行う。


DHCの物流戦略

倉庫運用にWES

成長に応じた拡張性、柔軟性実現


 DHCは、川﨑ロジスティクスセンターの自動化システム構築にあたり、「WES(倉庫運用管理システム)」を導入した。自動化システムの機能追加、業務改善など拡張性と柔軟性に優れる。「(現状の出荷件数が)3倍に増えても涼しい顔で出荷できる体制構築を念頭に置いた」(長谷川俊一ロジスティクスユニット長)としており、今後の事業成長を見据え、現場の状況に応じた柔軟な制御、最適な運用で生産性、品質の向上を目指す。

 「欲しい製品を欲しいタイミングで届けることを目指すための第一歩」——。新物流施設を設計した長谷川氏は、構築した物流基盤をそう評価する。熟練者による属人的業務から、自動化システム導入による作業の標準化への転換に加え、今後も運用改善を重ね、配送の課題を解消することで「幸せを、ふつうに。」というパーパスの実現を目指す。そのために「WESの導入が最大のチャンレンジだった」という。

 一般的に倉庫運用は、「WMS(倉庫管理システム)」と「WCS(倉庫制御システム)」でコントロールする。WMSが在庫管理、出荷数量、作業計画を指示し、各設備の動作をWCSが指示する。

 例えば、WMSが「A商品を〇個出荷する」と〝司令塔〟の役割を果たせば、WCSは「B棚からA商品を〇個持ってきて」と自動化設備に指示を出す。ただ、実際の倉庫運用は、キャンペーンや季節性で製品ごとに繁忙の差が生じて作業が滞ることがある。

 「WES」は、WMSとWCSを仲介する〝現場監督〟のような役割を果たす。リアルタイムで入庫や在庫、ピッキング作業、設備の稼働状況のデータを把握し最適化する。あるブースのピッキング作業が滞れば、別の空いているブースにコンテナの搬送を指示したり、人員配置を変更することで生産性を高めることができる。多品種を扱うため、オペレーションの最適化にWESを活用した。

 倉庫業務の拡張性も優れている。

 一般的な倉庫は、あらかじめ設計された「WMS→WCS」という指示系統で運用する。その企業の物流業務に合わせた完全なオリジナル。このため、業務改善や事業成長に応じた設備・機能の追加、レイアウト変更を行おうと思っても、いちからオーダーメードで設計し直さなければならない。システム改修や運用見直しに多額のコストがかかる。

 倉庫業務にWESを活用する発想はまだ新しく、導入企業は少ない。WMS、WCSをWESが仲介する指示系統であれば、業務や運用の改善、機能の追加などを進める際も低コストで実現できる。例えば、倉庫業務にこれまで導入していなかった重量検品を導入しようとした際も新たな設備を拡張しやすい。

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