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「機能性表示食品」販売戦略① 制度活用は30社超、森下仁丹、リテール戦略を強化

2015年 8月27日 12:01

 機能性表示食品制度が4月に始まり、これまで76商品が受理された(1件は届出を撤回)。トクホは約20年で約1200品目に達したが、数年でこれを抜く勢いだ。ただ、実際に販売された商品は少ない。販売を始めた企業の動向をみていく。
 
 「機能性表示食品」の活用は、これまで32社。受理された機能性関与成分は36種類になる。

 機能性表示は、身体の部位に言及した表示が「目」「肌」「関節」「お腹」の4種類。「目」が11件と最も多く、以下、トクホで許可実績のある「お腹」(9件)、「肌」(7件)、「関節」(2件)と続く。目では「ピント調節を助ける」「見る力の維持をサポート」、関節では「曲げ伸ばしを助ける」、肌では「潤いをサポートする」といった表示がある。

 本人が自覚できる一時的な体調の変化の改善に関する表示は「疲れ」「睡眠」「アレルギー関連」など3種類。「疲れ」が3件、「睡眠」「アレルギー関連」がともに2件ある。機能性表示は、「疲労感、緊張感の軽減」や「健やかな眠りをサポート」「爽快感のあるよい目覚め」「ハウスダストやほこりによる目や鼻の不快感の軽減」といったものだ。

 ほかに、従来のトクホで認められてきた「体脂肪、コレステロール関連」が30件、「血糖値関連」が11件、「血圧関連」が6件。これらの表示の自由度は、トクホより広がっている。

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 商品をシリーズ展開する企業の受理件数は多くなりがちだが、最も多いのは、森下仁丹の「9件(1件は届出を撤回)」。「8件」のミツカンがこれに続く。以下、「6件」(アサヒフードアンドヘルスケア)、「5件」(大塚製薬)、「4件」(江崎グリコ、東洋新薬、雪印メグミルク)、「3件」(アサヒビール、キリンビバレッジ、ファンケル)。

 2件以下の企業でもキューサイや健康家族など健食通販大手、キユーピーやライオン、味の素、カネカ子会社のユアヘルスケアなどメーカー系通販の多くが主力商品で届出を行っている。

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031.jpg すでに販売を始めた森下仁丹はこれを機に、リテール戦略を強化する。

 現在、主力の「ビフィーナ」、OTC医薬品を含むヘルスケア事業の売上高は、約63億円(15年3月期)。このうち、通販が約8割程度を占めるとみられる。約20年前に通販を始めた当初は、通販の社会的認知が得られていない中"仁丹"の知名度が顧客に安心感を与えて順調に伸びた。

 一方、ここ数年で市場の競争激化に加え、顧客の購買行動の多様化から売場も変化した。これを受け、楽天やアマゾン、ヤフーのモールに出店。販路を広げ、顧客接点を創出してきた。

 今後もこの流れは続くと判断。「成分が分からなくてもクレーム(機能性表示)で自分に適したものが分かるため、店頭でも十分選択できる」(同社)として流通戦略を強化する。届出商品の少なさからドラッグストアの売場づくりは遅れており、複数の商品を持つ強みを活かし、通販依存から脱却を図る。

 ドラッグは全国に約3万店。すでに1万店前後に展開が決まっている。加えて制度開始を機にセブンイレブンで販売を開始。新たにコンビニルートも開拓する。

 販売のタイミングで立ち上げた新ブランド「ヘルスエイド」は、機能性表示食品のほか、栄養機能食品、トクホなど機能を表示できる商品を集めたもの。現在は12商品。今期中に20商品前後をラインアップする。

 流通支援を含め、ブランド広告(=画像)、レスポンス広告を並行展開する。

 今年6月の販売に合せて行ったブランド広告は、制度の認知を目的としたもの。「代表(駒村純一社長)はこれまで表示制度の必要性を訴えてきた。自社商品を売るために利用するのではなく、消費者が自ら選択するのに必要であるため、制度を説明する広告を行った」(同社)という。

 一方、7月には、俳優の田中哲司さんをイメージキャラクターに、テレビCMを開始。通販顧客は50~70代が中心だが、ウェブの動画広告も活用してより若い男性層の獲得を目指す。
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