
澤井珈琲の2025年3月期におけるネット販売売上高は前期比1.9%増の55億円だった。鳥取県の小さな喫茶店から始まった同社は2002年に楽天市場に「澤井珈琲Beans&Leaf」を出店。その後も順調にEC展開を加速し、今や各仮想モールにおける年間アワード受賞ショップの〝常連〟となった。コーヒー通販市場で今なお成長を続けている澤井珈琲の澤井理憲常務取締役に成長戦略を聞いた。
――現状の業績は。
「2025年3月期のEC売上高55億円のうち、30億円が楽天市場、10数億円がヤフーショッピングでの売り上げだ。楽天の売り上げ成長率は毎年3~6%増で推移している。昨年は6%増だった。目標としては毎年10%増の成長を掲げている。auPAYマーケットやdショッピングもそれぞれ成長率は10%増と好調だが、やはり母数が小さい。auが月商2000万円、dショッピングが800万円ほどだ」
――自社サイトの売り上げは。
「全体の1%もないのではないか。利益が残りやすい自社サイトで多く売りたいと考える店舗も多いようだが、個人的には全く自社サイトで買い物しないので、強化する意味があるのかなと(笑)。実際にアフィリエイトや広告ツールを自分たちで運営するとなると、稼働時間や人的リソースが限られているので難しい。楽天やヤフーの有料広告を活用した方が、より早く簡単に情報発信ができるのではないかと考えた」
――業績好調の理由をどのように分析する。
「我々がECを始めて、楽天市場に出店したのが2002年。最初の一個が売れるまでにはなんと45日を要した。ゼロを知っているからこそ、〝少しでも気を抜いたらまたゼロに戻る〟という風に考えている。お客様に喜んでもらえる施策を愚直にやり続けた結果だと思う」
――当初はどのような施策を行っていたのか。
「最初はプロモーションにかけるお金がなかったので、主に楽天の無料メルマガ配信を活用していた。転機となったのは『楽天グルメニュース』に広告を出稿したこと。それがきっかけで、売り上げが大きく跳ね上がった。その時に、〝伝える人の最大値=売り上げの最大値〟ということを学んだ」
――現在はLINEでの販促に注力している。
「お客様にとって一番身近なツールであるスマートフォンで、より多くの人に当社の想いを伝えたいと考えている。利益とのバランスを見ながらではあるが、ある程度の広告費は出し続けている」
――サイト設計における工夫は。
「我々が美味しいと思うコーヒーの魅力を、お客様に丁寧に説明するよう心掛けている。ターゲットはいわゆるコーヒーマニアではなく、〝コーヒーがちょっと好きな人〟。ニッチになりすぎないよう、ライトな感じで訴求し、より多くのお客様が入り口に立ってくれるよう意識している」
「お客様には楽天でコーヒーを買った、ではなく、楽天の澤井珈琲でコーヒーを買った、という風に思ってほしいので、サイトでは『澤井珈琲』の文字を前面に押し出している。実際に、検索ワードの上位には『コーヒー』に続き『澤井珈琲』が2位にランクインしている。10位には『澤井』がランクインしていて、もはやコーヒー要素がなくなってしまうという(笑)」
――生産体制は。
「主力商品であるドリップバッグコーヒーの販売を始めたのが2005年くらい。当初は一個一個手作業でバッグに窒素を入れたりしていた。2006年に鳥取に第一工場を設立してから、その後も生産体制を強化し、現在は第四工場まで稼働している。直近では1日30万個ほどドリップバッグが作れるようになった」
――コーヒー豆の価格は年々上昇している。値上げの影響を最小限に抑える取り組みは。
「3年前と比べて、原価は300%ほど上昇した。異常気象による生産量の減少や、アジア圏におけるコーヒー需要の高まりなどが大きいようだ。今後もコーヒーの仕入れ値が下がることはないだろう。昨年は商品価格で30%ほど値上げした。通常より小容量のパッケージを販売するなどして、顧客の購入ハードルを下げるよう工夫した。さらに、昨年秋から定期販売を開始した。一般価格より5%ほど安く買える仕組みで、ヤフーと楽天、アマゾンで提供している」
――定期販売の売れ行きはどうか。
「非常に好調だ。ヤフーショッピングでは約7000人が定期購入を行っている。離脱は毎月2桁で、3桁に到達したことは一度もない。定期販売ではPRオプションやストアマッチの手数料がかからない点も良い。楽天でも今年4月から定期販売を始めたが、2カ月で約1000人が申しこんでくれた。楽天はセールの時期にまとめて買う人が多いというイメージだったので、定期販売との相性は悪いと思っていたが、思いのほか好調で驚いている」
――東京・銀座などに店舗を出店している。
「銀座に出店したのには3つ理由がある。一つ目は、もともと店舗の不振からECにシフトしたので、再度挑戦するなら日本で一番難しい場所に出店したいと考えたこと。二つ目は、ブランド価値のある銀座という土地でコーヒーを販売したいと考えたこと。三つ目は、海外の人からの知名度が高いこと。実際に銀座店を訪れるのは海外の人が多く、約56%が海外客というデータもある。銀座以外にも東京ソラマチや浅草など、地域性の高いエリアに出店している」(つづく)
――現状の業績は。
「2025年3月期のEC売上高55億円のうち、30億円が楽天市場、10数億円がヤフーショッピングでの売り上げだ。楽天の売り上げ成長率は毎年3~6%増で推移している。昨年は6%増だった。目標としては毎年10%増の成長を掲げている。auPAYマーケットやdショッピングもそれぞれ成長率は10%増と好調だが、やはり母数が小さい。auが月商2000万円、dショッピングが800万円ほどだ」
――自社サイトの売り上げは。
「全体の1%もないのではないか。利益が残りやすい自社サイトで多く売りたいと考える店舗も多いようだが、個人的には全く自社サイトで買い物しないので、強化する意味があるのかなと(笑)。実際にアフィリエイトや広告ツールを自分たちで運営するとなると、稼働時間や人的リソースが限られているので難しい。楽天やヤフーの有料広告を活用した方が、より早く簡単に情報発信ができるのではないかと考えた」
――業績好調の理由をどのように分析する。
「我々がECを始めて、楽天市場に出店したのが2002年。最初の一個が売れるまでにはなんと45日を要した。ゼロを知っているからこそ、〝少しでも気を抜いたらまたゼロに戻る〟という風に考えている。お客様に喜んでもらえる施策を愚直にやり続けた結果だと思う」
――当初はどのような施策を行っていたのか。
「最初はプロモーションにかけるお金がなかったので、主に楽天の無料メルマガ配信を活用していた。転機となったのは『楽天グルメニュース』に広告を出稿したこと。それがきっかけで、売り上げが大きく跳ね上がった。その時に、〝伝える人の最大値=売り上げの最大値〟ということを学んだ」
――現在はLINEでの販促に注力している。
「お客様にとって一番身近なツールであるスマートフォンで、より多くの人に当社の想いを伝えたいと考えている。利益とのバランスを見ながらではあるが、ある程度の広告費は出し続けている」
――サイト設計における工夫は。
「我々が美味しいと思うコーヒーの魅力を、お客様に丁寧に説明するよう心掛けている。ターゲットはいわゆるコーヒーマニアではなく、〝コーヒーがちょっと好きな人〟。ニッチになりすぎないよう、ライトな感じで訴求し、より多くのお客様が入り口に立ってくれるよう意識している」
「お客様には楽天でコーヒーを買った、ではなく、楽天の澤井珈琲でコーヒーを買った、という風に思ってほしいので、サイトでは『澤井珈琲』の文字を前面に押し出している。実際に、検索ワードの上位には『コーヒー』に続き『澤井珈琲』が2位にランクインしている。10位には『澤井』がランクインしていて、もはやコーヒー要素がなくなってしまうという(笑)」
――生産体制は。
「主力商品であるドリップバッグコーヒーの販売を始めたのが2005年くらい。当初は一個一個手作業でバッグに窒素を入れたりしていた。2006年に鳥取に第一工場を設立してから、その後も生産体制を強化し、現在は第四工場まで稼働している。直近では1日30万個ほどドリップバッグが作れるようになった」
――コーヒー豆の価格は年々上昇している。値上げの影響を最小限に抑える取り組みは。
「3年前と比べて、原価は300%ほど上昇した。異常気象による生産量の減少や、アジア圏におけるコーヒー需要の高まりなどが大きいようだ。今後もコーヒーの仕入れ値が下がることはないだろう。昨年は商品価格で30%ほど値上げした。通常より小容量のパッケージを販売するなどして、顧客の購入ハードルを下げるよう工夫した。さらに、昨年秋から定期販売を開始した。一般価格より5%ほど安く買える仕組みで、ヤフーと楽天、アマゾンで提供している」
――定期販売の売れ行きはどうか。
「非常に好調だ。ヤフーショッピングでは約7000人が定期購入を行っている。離脱は毎月2桁で、3桁に到達したことは一度もない。定期販売ではPRオプションやストアマッチの手数料がかからない点も良い。楽天でも今年4月から定期販売を始めたが、2カ月で約1000人が申しこんでくれた。楽天はセールの時期にまとめて買う人が多いというイメージだったので、定期販売との相性は悪いと思っていたが、思いのほか好調で驚いている」
――東京・銀座などに店舗を出店している。
「銀座に出店したのには3つ理由がある。一つ目は、もともと店舗の不振からECにシフトしたので、再度挑戦するなら日本で一番難しい場所に出店したいと考えたこと。二つ目は、ブランド価値のある銀座という土地でコーヒーを販売したいと考えたこと。三つ目は、海外の人からの知名度が高いこと。実際に銀座店を訪れるのは海外の人が多く、約56%が海外客というデータもある。銀座以外にも東京ソラマチや浅草など、地域性の高いエリアに出店している」(つづく)