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リコムの「蹴脂粒」、安全性問題が収束

2015年 9月 3日 14:41

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機能性表示食品として受理されたリコムの「蹴脂粒」の安全性を巡る問題で、消費者庁の板東久美子長官(=写真)は8月31日、「(制度に沿って)安全性に問題がある結果が生じているとは認められない」との見解を示した。「蹴脂粒」の届出を容認したことを受け、リコムは今秋をめどに通販などで販売を始める考え。一方、この決定に一部の消費者団体は、「リコムの問題は制度の欠陥を如実に表したケース」として反発。9月1日付付けで、制度見直しを求める要望書を送る事態に発展している。

4月に届出が受理された「蹴脂粒」を巡っては、同じ成分を使いトクホ申請していた「蹴脂茶」の安全性に疑義が生じたことから問題が拡大した。

 リコムは09年にエノキタケ抽出物を関与成分とする「蹴脂茶」をトクホ申請。今年5月、食品安全委員会が作用機序の問題を指摘し、「安全性を評価できない」との結論に至った。これを受け、トクホ許可を巡る消費者庁の最終判断が待たれていた。一方、機能性表示食品としてはすでに受理されていたことから問題になった。

 消費者庁は、制度活用の要件となる場合がある「ヒト試験による安全性評価」、と「作用機序に対する考察」の違いから判断。「安全性試験に問題がなく作用機序で懸念があったことが難しい。ただ、食安委も安全性試験に対する問題は認めておらず、『影響の可能性があるかもしれない』という段階では届出内容を否定する十分な理由ではない」(板東長官)とした。

 消費者庁も独自に健康被害情報を収集。リコムと同種の加工処理がされたエノキタケ抽出物では、10年以上で4万キログラム以上が流通しており、別の加工処理がされた原料も含めると25年の流通実績があったという。2000年以降、保健所への報告や、事故情報データベース、パイオネットも確認したが健康被害の報告はなかった。

 ただ、制度の義務である健康被害情報の収集体制の構築について、リコムには改めて要請書を送ることで、体制の充実を求めた。

 リコムは、10月をめどに「蹴脂粒」の販売を予定している。トクホ申請は8月28日付けで取り下げた。「食安委の評価を分析し、必要があれば新たなデータを追加し再申請も視野に入れる」(同社)とした。

 一方、「蹴脂粒」を含め複数の疑義情報を消費者庁に提供している食の安全・監視市民委員会(神山美智子代表)は、「(今回の件で)安全性が確認できない、危険かもしれない商品でさえ届出したら受理せざるを得ない制度の欠陥が露呈した。制度は廃止すべき」とコメント。

 9月1日付けで、山口俊一内閣府特命担当大臣、板東長官、河上正二消費者委員会委員長宛てに食品表示法の改正を求める要望書を発送した。その中で、食品表示法に基づく適格消費者団体の差止請求権の範囲に「機能性表示食品の表示基準違反」を含むこと、販売前の届出商品を対象に単なる疑義情報の提供ではなく、「申出」を行える制度にすることを求めた。

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