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ロコンド  黒字転換のポイントと成長戦略㊦

2015年12月17日 19:25

052.png 前回に引き続き、ロコンドの単月黒字化の要因と成長戦略について見ていく。

 10月の単月黒字化には今期から始めた新規事業も売り上げに寄与した。実店舗の商品欠品時に店舗で決済し、ロコンドの倉庫から購入者の自宅に無料配送するサービス「ロコチョク」は、これまでにスポーツ用品販売大手アルペンの四百数十店舗に導入され、利用件数が増えているという。

 また、ロコンドでは取引先メーカーの商品在庫すべてを同社の倉庫で管理し、「ロコンド」や運営代行するメーカーの通販サイト向けはもちろん、路面店や百貨店向けにも商品を発送する在庫の完全共有モデルを8月からイタリアのシューズブランド「ルコライン」と開始。同ブランドの国内在庫を預かって各販売チャネルに供給している。

 同取り組みの第2弾は英国のアパレル企業と来春をメドにスタートする計画のほか、海外ブランドからの問い合わせが多いという。

 ロコンドでは、品ぞろえの拡充に加え、「ロコチョク」や在庫共有モデルの拡大もあって在庫量の増加が見込まれることから、9月に増床した倉庫についても次期増床や倉庫移転も含めて検討に入っているようだ。

 今回、単月黒字化の達成を記念し、同社では12月1日から「祝・黒字化!ハイパーセール」を実施(画像)。顧客の反応は良かったようだ。

 一方、同日付けでサービスポリシーの変更にも着手。商品の交換については、従来はセール品の交換は不可などの条件があったが、全品で交換無料とした。送料・返品送料は、アウトレット商材を扱う「ロコレット」やスポーツ商材の「ロコスポ」もスポーツの大型品を除いて「ロコンド」のサービス水準に合わせ、注文金額が3000円以上で即日出荷便の送料390円を無料とし、通常商品は商品到着後21日以内で返品送料無料、セール品は一律500円とした。

 これまで返品期間は30日以内としていたが、アパレル商材は1カ月後に返品されると商品の鮮度が大きく落ちてしまうことや、従来も2週間以内の返品が全体の80%以上を占めることから、21日以内であれば問題はないと判断した。

 ロコンドの今期(16年2月期)取扱高は100億円の大台に達する見込みで、来期は「125億~130億円には到達しないといけない」(田中裕輔社長)とし、通年での黒字化目指す。同社は中長期的に1000億円を目指しているだけに、さらなる成長曲線を描きたい考え。

 サイト開設から5年で単月黒字化を達成したが、次の5年は単なるEC企業ではなく「ファッションITカンパニーを目指す」(田中社長)とし、ITでファッション業界の改革を手助けすることをテーマに掲げる。

 同社によると、衣料品や靴などの実店舗は在庫や会員データ、プライスタグの管理などで手作業に頼る部分が多く、非効率という。そのため、ECで培った在庫管理手法を応用するなど、取引先ブランドや館と効率的なバックヤード体制の構築に取り組んだり、販売員の少ない地方百貨店などではリアルタイムの在庫状況や売れ筋情報などを把握したロボット販売員の店頭導入などにも取り組みたい意向だ。

 一方、会社の体制強化に向けては採用を増やす。今期から新卒採用を始めているが、今後も全部門で新卒から取締役クラスまでを強化。16年春からは倉庫などの派遣社員も含めて現状の30~40%の増員を計画する。

 また、次の5年に向けては「M&Aも含めて成長を目指す」(田中社長)としており、新サービスを立ち上げるためのアライアンスや、プライベートブランド強化に向けたブランド買収なども視野にあるようだ。
(おわり)

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