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ワコール 3D測定の実店舗開設、企画や生産へのデータ活用視野

2019年 6月 6日 13:25

 ワコールは5月30日、3D測定やAI接客を導入した実店舗を開設した。ボディサイズの計測や最適な商品提案を通じて新しい下着選びを体験してもらい、ワコールブランドとの親和性を高める狙い。3D測定やAI接客は、2022年3月末までに、直営店や百貨店内の店舗などで100台を導入する予定。今後、個人を特定しないビッグデータとして商品企画や生産計画に活用することも視野に入れる。

 開設したのは「ワコール3Dsmart&try」で、東京・渋谷の商業施設「東急プラザ表参道原宿」の4階に構えた。顧客がボディサイズを把握できるようにし、体に対する顧客の意識を高めることでブランド価値を向上する狙い。パーソナライズのニーズに応える場として位置付け、店舗の収益性は追わないという。

 3Dで測定するボディスキャナは3台導入し、2カ所のカウンセリングルームを併設した。ボディスキャナは個室に設置して、顧客自身で操作してボディサイズを測定する。

 5秒間に約150万カ所を計測する。長さだけでなく、容積を計測できることが特徴。トップバストやバスト高、アンダーバストなどのほか、二の腕や太もも、ふくらはぎなど18カ所の部位のデータを測ることができる。

 測定結果は、店内に設置したタブレット端末でチェックできる。ブラジャーやショーツなどのインナーアイテムについて、顧客に合った最適なサイズを提示する。また、フロントやトップ、バックと視点を変えて体型をチェックできるほか、バストのボリュームや胴、バスト左右間のサイズなどの特徴を確認できる。このほかに、過去と現在のデータを比較することも可能。計測したデータは店内に設置した5台のタブレット端末で閲覧できる。 サイズにあわせて、ラブレット端末に搭載したAIが約150商品を提案。悩みやデザイン、色などの好みからおすすめ商品を絞り込む。気に入った商品はお気に入り登録できるほか、その場で印刷し持ち帰ることができる。

 商品は店頭でも購入可能だが、店舗の品ぞろえは品番を絞って展開する。印刷物にはQRコードを付けており、スマートフォンから自社通販サイトで購入することができるようにした。

 今後、「3Dsmart&try」は、全国の実店舗に100台を導入する予定。3D計測とAI接客により、計測から商品提案のプロセスを簡易化し、販売員と顧客のより深いコミュニケーションの実現を目指していく。

 これまで、販売員の接客ノウハウに個人差があったほか、計測から最適な商品提案までに時間がかかっていたという。また、顧客にとっても、販売員に体型の悩みを打ち明けることがストレスになっている場合があったことから、これら課題を解消する。

 今後、計測したデータは、個人を特定しないビッグデータとして活用する。体形特徴と顧客ニーズとの関係性を分析し、商品企画に生かしていく。また、生産計画の精度向上に活用し、製造の効率化につなげたい考え。「年間50万人のデータを収集できれば活用可能」(ワコール)とした。なお、これまでは販売員によって50年間で4万人超のデータを計測していたという。

 オープンに先駆けて、4月19日から5月12日までの24日間、東京・表参道にポップアップストアを出店した。期間中に988人が利用しており、当初の予想よりも多かったという。「顧客が自身の体型データを知りたいニーズが高いことが分かった」(同)とした。顧客の関心の高さを踏まえてサービスの導入が来店促進に寄与するとして、導入を検討する実店舗も多いという。
 
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