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ボイスコマースの現状は? ユニークなサービス続々、可能性あるも成果はこれから?

2019年 6月 6日 13:40

 音楽を聞いたり、ニュースや天気予報の読み上げ、また、照明のオンオフなど、パソコンやスマートフォンなどの端末を操作することなく、人の声で様々なコンテンツを楽しむことができる、いわゆるスマートスピーカーが徐々に普及しつつある。そして、日本ではまだ一部機種にとどまっているものの、スマートスピーカーを通じ、音声で買い物をする「ボイスコマース(VC)」も可能で先端を走る通販事業者からは新たな売り方として注目されているよう。現状のVCの状況は――。

 
 VCで中心的な端末となるスマートスピーカーだが、現状、日本で販売しているスマートスピーカーの中では、唯一、対応しているのがアマゾンが販売する独自開発の人工知能「アレクサ」を搭載した「アマゾンエコー」の各シリーズのみだ。

 VC自体は2017年の「エコー」の発売開始時から可能だったが、購入できる商品はアマゾンの通販サイトで取り扱うものに限定されていた。それが昨年10月から「エコー」や「アレクサ」で利用できる音声サービス「スキル」に、アマゾンがネット販売実施事業者向けに提供している独自決済サービスでアマゾンのアカウントに登録されている配送先住所やクレジットカード番号などの顧客情報を利用してそのまま決済できる「アマゾンペイ」が連携、いよいよアマゾン以外の外部企業でも注文から決済まで音声で通販が完結できる形、いわゆるVCが可能な環境となった。また、昨年には画面付きAIスピーカーを発売したことで音声にあわせて画像や動画を活用できるようになり、よりVCの可能性が広がったということもあって、様々な通販実施事業者が昨秋からVC対応を開始している。

 リンベルのギフト用の果物や高級菓子などを購入できるスキル「リンベルショップ」やワインキュレーションのワインを購入できるスキル「京橋ワイン」などの物販や、JTBが全国のレジャー施設の検索および電子チケットを購入できるスキル「JTBおでかけチケット」といった電子チケット、また、夢の街創造委員会の全国1万2000店の飲食店から出前を注文し決済できるスキル「出前館」やワイズテーブルコーポレーションとエキサイトが共同開発したピザの宅配注文などができるスキル「PIZZA SALVATORE CUOMO」など出前に対応したスキルが登場した。そして、それ以降もVCに対応したスキルが通販実施事業者から徐々にリリースされているようだ。

おすすめコーデをアレクサが提案 

 ゾゾ子会社のZOZOテクノロジーズが5月23日から開始したスキル「コーデ相談バイ・ウェア」は同社が運営するファッションコーデアプリ「ウェア」上のコーデを音声だけで検索でき、好みに合わせたお薦めファッションアイテムの提案と、相談したファッションアイテムからお薦めコーデを提案する2つの用途がある。

 前者は、「アレクサ、コーデ相談を聞いて」と話しかけると「いつものコーデのアクセントに赤いスカーフはどうですか?」というように、おすすめのファッションアイテムを提案。利用するごとにAIが好みを学習し、ユーザーごとに最適化される。

 後者はブランドやファッションアイテムをアレクサに聞くだけで、そのアイテムを使ったコーデをデバイス上に表示する。例えば、「白いシャツのコーデを教えて」と話しかけると、「ウェア」に投稿されている800万件以上のコーデ画像の中から白いシャツを使用したコーデが一覧表示され、その中からひとつを選ぶと当該コーデの詳細を確認できる。

 「アマゾンペイ」とは連携していないため、「アレクサ」や「エコー」で完結するVCではないものの、コーディネートの詳細画面にはQRコードが表示され、利用者がスマホで読み取ることで「ウェア」のアプリでお気に入りに登録したり、連携する「ゾゾタウン」で購入することもできる。

 また、「仲良し度」を搭載。「はじめまして、コーデ相談です」というコミュニケーションから始まり、相談を重ねるごとに「あなたに会えるのを楽しみにしていました!」など親しげなコミュニケーションに変わる。ただ、利用者が持つ「ウェア」のIDとは紐付いておらず、「ウェア」内のお気に入り登録や閲覧履歴などはアレクサの学習範囲外となり、「コーデ相談バイ・ウェア」の利用頻度を高めることでしか仲良し度は向上しない。

 同社ではスマートスピーカーの今後の普及を見込んで第1弾サービスとして「コーデ相談バイ・ウェア」を投入。現状の利用者数は想定通りのようで、「毎朝、コーデに悩む時間を減らせそう」などの反響があるという。

コンタクトレンズの再注文に活用 

 より実践的なVCの事例として注目されるのがメガネスーパーが昨年11月にリリースしたコンタクトレンズやコンタクトケア用品などの再注文ができるスキル「メガネスーパー」だ。

 昨年11月1日以降にメガネスーパーの通販サイトでアマゾンの決済サービス「アマゾンペイ」を利用して新規会員登録をした顧客が対象。再注文をエコーなどの「アレクサ」搭載デバイスとの音声対話によって完了させ、そのまま注文商品を配送する仕組みとなっている。

 具体的には「アレクサ、メガネスーパーをひらいて」と話しかけて起動。アレクサが「再注文しますか」と尋ねると、「はい」と答えて「アマゾンペイ」でログイン認証を行う。通販サイトの購入履歴をもとに前回の注文内容が読み上げられ、「注文しますか」という問いかけに「はい」と答えると注文が完了するもの。

 コンタクトレンズのように繰り返し注文し、当該商品をよく知っている場合、視覚で商品のスペックを確認しなければならない必然性が低いことから、VCに向いているものだと言え、同じようなリピート商品を展開する通販事業者にとっては参考になりそうだ。

 
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