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 【新社長に聞く・今後の成長戦略 ヴェントゥーノの中野勇人社長】 ウェブ活用強化へ組織再編、広告運用の基礎固め、法知識強みに成長へ

2020年 1月 9日 13:50

 健康食品通販を行うヴェントゥーノは昨年、組織の若返りを目的に創業者の中溝公次氏が会長に退き、中溝氏の親族でJR九州に在籍していた中野勇人氏が代表取締役社長に就任した。EC市場を中心に通販市場の拡大が進む中、かつて九州勢が一角を占めた健食市場も主要プレーヤーの勢力図が変化しつつある。中堅通販企業は、その中でいかに戦うのか。中野社長に聞いた。
 









 ――強みとしてきたオフラインメディアは広告規制が厳しくなっている。新規顧客との接点をいかに築くか。

 「オンラインのメディア活用を進める。オフラインメディアは媒体社が一定の判断基準の中で掲載広告の考査を行うが、ウェブは審査もまちまちで、運用のコントロールが効きにくい面がある。強化を図る上で社内に明確な判断基準を持ち、精通することでこれを強みにしていくことが重要と考えている」

 ――オンラインの活用に向けた取り組みは。

 「組織を再編した。以前は管理部門が担っていた法務関連業務を経営企画室内に法務課として独立させ、外部の視点からチェックしている。市場や社会情勢を踏まえると、事業展開上の広告のリスクは高まっており、どこかで足元をすくわれかねない。広告運用の自社基準を今の段階で整備することで会社の基礎を固め、社として明確なコンプライアンスの基準を持って運用できる体制を整えることが必要と考えている。社内に法律に精通するスタッフを育成し自らの基準を持てれば、逆に強みにもなる」

 ――今後の成長戦略は。

 「改めて商品開発にきちんと向き合う。コールセンターや経営企画、分析に強いスタッフなど部署横断でプロジェクトチームを組織した。これまでは社内で市場調査や情報収集、マーケティングを十分に行えていなかった。各部署の視点を結集し本当に顧客に喜ばれる商品を作っていきたい」

 ――ウェブマーケティングに強みを持つ新興企業は「マーケットイン」のスタンスでスピード感をもって商品を投入し、急成長している。いかに戦うか。

 「マーケットイン、プロダクトアウト双方の視点を持たなければ勝ち残れない。よい商品を作るプロセスはマーケットイン、プロダクトアウト双方に利点がある。これをしっかり見極めつつオンリーワンの商品開発を行っていく」

 ――ウェブで展開している商品の動向は。

 「マーケティング戦略を構築し、商品のターゲット層にしっかりと情報を伝えられるようにしたい。オンラインとオフラインでは商品の見せ方も異なる。オフラインは、商品の使用感等が重要で、パッケージが最終的な購入判断に与える影響は小さい。ウェブでは見た目も重要。その意味で、開発した商品がどういう層の支持が得られるものか、より深く勉強することも必要になる」

 ――オンラインの新規媒体の開拓は。

 「ヤフーやグーグルへの広告掲載もあるが、有効な媒体、商品など市場の趨勢はめまぐるしく変わる。自らハンドリングしつつ、ターゲット層にきちんと到達できる媒体の情報、効果的に収益を生み出せる媒体の情報をどれだけキャッチできるかが重要になっている」

 ――前期は、1%減の29億円だった。今期(20年12月期)の計画は。

 「10%以上の伸びは目指したい」

 ――中長期では。

 「既存商品のテコ入れ、新商品の育成、メディア活用も広げながら、本業の通販でしっかり支持してくれる顧客基盤を固めたい。3年で現状の2倍の規模の会社は目指す」

 ――既存商品の課題は。

 「主力の『快朝』はロングセラーだが、オンラインも活用しつつ、ターゲット層にしっかり情報を届けて接点を築きたい。シャンプーを中心とする『エフキュア』シリーズは、愛用者の継続率は高い点にチャンスがある。広告の活用や商品の見せ方、オンラインメディアの活用を研究しつつ育成したい」

 ――原料供給も行う「あまおう乳酸菌」の販売状況は。

 「展示会の出展などを通じ、お菓子など食品で引き合いが増えている。今後、サプリメントの活用も増やしていきたい」

                         ◇

 中野勇人(なかの・はやと)氏。1980年生まれの39歳。佐賀県出身。慶応義塾大学商学部を卒業後、JR九州に入社。JR博多シティで文化事業や営業担当部長を務めていた。創業者の中溝氏に誘われる形でヴェントゥーノの社長に就任。趣味はランニング、フットサル。


 
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