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クルーアクト 中古カメラの販売で成長、海外進出や実店舗出店も

2020年 2月20日 14:10

 中古カメラのネット販売を手がけるクルーアクトは、仕入れのノウハウなどをベースに売り上げを伸ばしている。今年からは欧州での商品調達と販売に乗り出すほか、若い層の獲得に向けてリアル店舗の開設も視野に入れる。

 同社の日比野憲吾社長が中古カメラのEC事業を始めたきっかけは、実家の借金返済の手助けをしようと転職を考えていたときに、職場の先輩が個人で中古カメラのネット販売を始め、人間的な成長を間近で感じたことから、カメラの販売に興味を持ったという。

 よく調べると、市場に出回る中古カメラはほとんど偽物がなく、ひとつの商品の価値が高く保管場所も比較的省スペースですむことから、ミニマムで事業を始められると考えた。また、中古カメラ店は全国にショップがあり、協会組織もあるなどマーケットとしての土壌がある上で、ネット販売の波が起きたため、その波に乗った。

 中古品仕入れの勉強会に通ってノウハウを蓄え、商材はネットや中古カメラ店で仕入れた。7年前に個人で中古カメラの販売を始め、5年前に会社を設立して首都圏に拠点を移した。

 ネット販売は「ヤフオク!」からスタートし、「アマゾン」や「ヤフー!ショッピング」「イーベイ」「アマゾンドットコム」へと売り場を広げてきた。

 取り扱うのはカメラのオールジャンルで、コンパクトデジタルカメラや一眼レフ、プロ機、古いフィルムカメラ、ヴィンテージの中判カメラ・大判カメラなどに加え、三脚やレンズといった周辺機材、ビデオカメラなども扱っており、幅広い品ぞろえが強みだ。

 カメラ業界では5年ほど前に技術革新が起こった。デジタルカメラの性能が上がり、フィルムの大きな中判カメラを上回って以降、中判カメラの相場が大きく崩れた。また、ミラーレスカメラの登場で一眼レフかミラーレスかでニーズが分かれた。同社では市場とニーズの変化に合わせて品ぞろえを強化してきた。

 主力の「ヤフオク!」ではストア化し、「ヒビノカメラ」(画像)を展開して個人店との差別化を図った。購入者の9割が新規(一見客)で、新客開拓を続けるためにも商品と価格のバランスを大事にしている。

 値付けはカメラのコンディションと付属品の有無が重要となるが、意外にもカビなどでレンズに多少の曇りがあっても一定のニーズがあるほか、望遠レンズのオートフォーカスが壊れて効かなくても半値程度で売れるなど、中古カメラならではの特徴もある。そうした中古品は大手では買い取りもしないため、実際のニーズに即した買い取り・販売を手がけることで勝負できるという。

 今年からは海外展開にも力を注ぐ。昨年、ドイツのカメラ市を視察し、商品調達や市場としても大きいと判断。3月をメドにドイツに法人を設立しユーロ圏での販売をスタートする。

 海外では日本製カメラの需要が高いのはもちろん、「日本では仕入れられないヴィンテージカメラが山のようにある」(日比野憲吾社長=顔写真㊤)。見本市にバイヤーは少なく、個人客が多いことも追い風だ。また海外は場所によって配送網が未発達で中古カメラの動きが鈍く、価格にバラつきもあるため勝機があると見る。ドイツに続き、早ければ年内にも英国展開を視野に入れている。

 一方、中古カメラは”男の趣味”というイメージが強く、同社も年配の男性客が多いため、若い層の開拓が課題だ。そこで、「横浜を候補に、若者が入りやすいカフェを併設した店舗を計画している」(井上喜充顧問・ブランドクリエイター=顔写真㊦)。高額中古カメラだけでなく、若年層に人気のトイカメラを扱ったり、レンタルも実施して気軽に利用できる実店舗をフックに新客を呼び込む。


 
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