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アリババの「TAO」がAIコーデ機能導入、エージェントが商品提案

2025年 5月22日 12:00

 アリババグループは5月13日、日本向け越境ECアプリ「TAO」において、AIファッションコーディネートアシスタント機能を開始した。画像認識に加え、ユーザーの好みや体験、購買履歴などのデータを元に、最適なスタイルやアイテムをパーソナライズして提案する。同アプリではファッション関連アイテムを強化していく方針で、5月16~25日まで、東京・表参道において、同社のファッションスタイルを展示するポップアップストアを開催している。

 TAOは、アリババの仮想モール「タオバオ」における40億以上の商品の中から、アパレルや雑貨・家具など、日本市場に適した約1千万点以上の商品を選定。商品の品質を事前に確認する体制を整えているほか、ヤマト運輸や佐川急便と提携して配送したり、日本語でのサポート体制を整えたりするなど、商品や品質の高さを全面に出しているのが特徴だ。

 AIエージェントは、コーディネートを提案する「スタイリングマスター」と、日常生活を便利にするヒントを提供する「暮らしのアシスタント」、趣味や感性に関するアイデアを出す「趣味マスター」の3つ。アリババクラウドが開発した大規模言語モデル「Qwen」をベースにしたものだ。

 コーディネートに関しては、1万種類以上のスタイルやトレンドを網羅しており、専門的で精度の高い提案が可能という。例えば、気に入ったファッションの写真があれば、その魅力や着こなしのポイントを解説することができる。画像認識に加え、ユーザーの好みや体型、購買履歴といったデータをもとに、最適なスタイルやアイテムをパーソナライズして提案する。スマートフォンで撮影したコーディネート写真や、気になる画像をアップロードするだけで、AIがそのスタイルを読み取り、近いテイストの商品を提案してくれる。

 チャット画面には、3種類のAIエージェントを配置。「#ストリートカジュアルの服の選び方とは」といったFAQ的なハッシュタを複数表示している。これは、日本のユーザーにインタビューした結果から、興味のある質問を表示しているほか、売れ筋商品や日本の文化などを考慮したマーケティング要素も含めて、ハッシュタグを生成しているという。

 また「スピリチュアルアドババイザー」として、占いに関するAIエージェントも設けている。「日本ではパーソナルカラーやラッキーカラーといったコンテンツが人気。隙間時間を利用して楽しんでもらう」(TAOプラットフォーム運営責任者の何玫氏)ことで、アプリの起動頻度を高めるのが狙いだ。

 衣料品や靴、バッグ、アクセサリーなど、タオバオで販売している1億点以上のファッション関連商品の中から、日本向けとして500万点のファッションアイテムを選び、1万点の商品を毎日追加している。ビッグデータを用いて商品を選んだ上で、インタビューや市場調査などで把握した日本の消費者のし好を反映した商品を選定。さらに、10名以上のバイヤーチームが、素材・サイズ・スタイルを日本の基準に照らし合わせている。将来的には、日本人に合ったファッションアイテムを、オーダーメイドで作る計画もあるという。

 アリババグループでは「TAOは低価格を追求するプラットフォームではないので、コストパフォーマンスの良い製品を提供していく」(アリババ国際アパレルカテゴリ責任者の陳琳娜氏)としており、先行する「SHEIN」などとは一線を画し、質感や品質を重要視したい考え。実際に顧客層は中高生などの若年層ではなく、オフィスワーカーやビジネスマン、さらには比較的経済的に余裕がある層が中心という。

 5月16~25日には、東京・表参道で「最高のクローゼット TAO!」をコンセプトとしたポップアップストアを展開。LINE公式アカウントとの連動企画や抽選会など、キャンペーンも実施。ポップアップストアと連動したオンラインイベントして、6~15日には、高額割引クーポンを配布した。
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