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「クイーンブラ」、バービーさんの思い具現化」【ピーチ・ジョン ヒット商品の作り方㊤】 サイズ展開強化で新客獲得

2020年 4月 6日 13:30

 ピーチ・ジョンはお笑いコンビ、フォーリンラブのバービーさんとコラボした下着が想定を上回る成果を上げた。

 同コラボ商品は”もっと自分のカラダを好きになってほしい”という同社の思いと、バービーさんが日頃から感じていた「ワイヤーが当たってかぶれる」「脇肉がはみ出る」といった下着に対する悩みの解決を目指したもので、サイズ展開強化や販促の開始時期を早めたり、モデル着用画像に工夫を凝らすなどの新たな試みも成功要因となったようだ。

 著名人とコラボする場合、同社から声がけをして企画を進めるのが一般的で、話題性のある人や下着と親和性のある人と組み、盛り上げてもらうことで販売につなげてきた。

 ただ、バービーさんとのコラボは初となるタレント自身の持ち込み企画で、初回の打ち合わせにはバービーさんがデザイン画を用意し、「こんな下着を作りたい」という提案があったという。

 しかも、デザイン画は3種類あり、商品のコンセプトを含めて「かなり仕上がった状態で提案してもらったので、やるかやらないかの判断だった」(金子エリカ商品企画部企画MD課チーフ=写真㊦左、右はクリエイティブ担当の服部さん)。また、通常のコラボであれば3種類の下着をシリーズ展開することはないが、3種類でひとつのストーリーができあがっており、さまざまな人に着用してもらいたいというバービーさんの思いが強かったこともあって、すべて商品化することになった。

 著名人とのコラボ展開では通常、物作りを知らないことが多いため、可愛いと思う画像を集めてきてもらうなど、デザイナーが宿題を出してタレントの個性を引き出すことが多いが、バービーさんの場合は市場調査も行ってきたという。

 そのため、バービーさんの作りたい下着に対してチューニングをしていく形で進めた。例えば、購買データから売れにくい商品の情報を出したり、バービーさんのこだわりポイントを技術面やコスト面も含めて詰め、何度も打ち合わせとフィッティングを重ねた。

ソングも商品化

 さまざまなすり合わせが行われたが、例えば、バービーさん一押しの「クイーンブラ」と「クイーンパンティ」「クイーンソング」(画像㊤)のシリーズは、3種類の下着の中で一番セクシーなラインで、デザイン画では完成品よりもパンティの紐づかいが激しく、線が這うような感じだった。

 同社では、幅広い人に着てもらうことを考慮して”線”の要素は取り除きたかった。そこで、パンティは線の要素をなくしてベーシックなものにし、同ラインだけ予定のなかったソングを展開することにした。

 ソングを履く人はパンティに比べて圧倒的に少なく、今回のコラボでもパンティの方が枚数は多いものの、ソング購入者の比率も高かったという。普段はソングを履かない人が挑戦するケースもあったようで、「ソングを商品化して良かった」(金子チーフ)とする。

 同社ではバービーさんがテレビやSNSなどを通じ、はつらつと「ソングはいいよ」と勧めたこともあり、女性の挑戦したい気持ちを掘り起こしたと分析している。

 同社としてもチャレンジだったのがコラボ商品のサイズ展開で、同社では扱いがないブラの新サイズ「アンダー90センチ」を提案したほか、パンティも充実の5サイズを展開した。とくにブラはSKUが多いため、サイズ展開を広げることはリスクを伴うが、「挑戦したことがないサイズの最大限まで頑張った」(金子チーフ)ことで自社ECや実店舗への来店、購入につながった。

 今回、グラマラスサイズの女性の悩みを解消できるようにサイドボーンを替えたり、かなり脇高にするなどしたが、結果的に利用者の多いサイズの層にも響いた。それも、バービーさんが自分の言葉で噛み砕いて表現したことで、普段はブラからはみ出る”はみ肉”を気にしてなかった人、細身の女性も反応したと見る。(つづく)


 
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