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不実証広告規制の範囲は【暗示のレンジ 景表法の範囲を問う②】 消費者庁、疑わしくは発動と主張

2020年 4月16日 13:30

 だいにち堂が景表法違反処分の取り消しを東京地方裁判所に求めた訴訟。裁判は法運用の範囲が争われ、消費者庁に凱歌が上がる。内容的にも原告の主張をほとんど認めず、完敗だ。何が争点で司法ではどう判断されたのか。

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 だいにち堂は消費者庁との係争に当たり、4人の弁護士を立てた。経歴をみると、企業コンプライアンスに長けたエキスパートもおり、景表法を専門とする弁護士もいる。彼を中心に法廷戦略を練ったと思われる。

 作戦は明快。違反とされた表示は、不実証広告規制の範囲外で、違反処分が無効というものだ。

 改めて不実証広告規制を解説しておこう。広告内容に消費者庁が疑義を持った場合、(1)事業者に表示の根拠資料の提出を要求(提出期限15日以内)(2)表示の根拠資料が「提出されない場合」「消費者庁が提出資料を根拠と認めない場合」は、景表法が禁じる優良誤認だと「みなし」、差止や再発防止策などを命じる。

 警察権(調査)と司法権(資料が根拠かの判断)が一体となった取締りで、行政処分の中では最も強力と言われる。

 「捕まったら死刑」、「独裁的取締り手法で今だったらとても国会は通らない」、「消費者は愚かで弱いとの考えに基づく規制手法」など行政の経験者からも疑問の声があがる強権だ。

 実際、優良誤認での措置命令は「効率化」(消費者庁OB)の背景から、不実証広告規制を発動したものが多い。

 事業者側に立てば、広告の細部まで、「突かれるのでは」と疑心暗鬼に陥り、真っ当な事業者であるほど、表現の萎縮を招いた部分もある。こうなると日本国憲法21条に規定する「表現の自由」が侵害されかねない。2018年11月に規制改革推進会議に対し、日本通信販売協会などが、問題を提起。本紙が昨年に連載「揺れる景表法」を行ったのもこれが理由だ。

 裁判におけるだいにち堂のロジックは、(1)不実証広告規制は効果性能を訴求するものであるべき(本紙注‥不実証広告規制のガイドラインに記載有)(2)問題の表示は「原材料の一般的性質」である(3)アンケートからも医薬品的効能効果のような誤認は発生していない(4)表示が著しく優良とは言えないので、不実証広告の対象外(5)今回も表示の根拠は提出しており、違反とするのは不当である―というものだ。

 だいにち堂が行っていた表示は「ボンヤリ・にごった感じに?」「クリアでスッキリな毎日」などの表現で、これに読み物をしている中高年の写真など、「目に良い」という暗示的要素を積み重ねたもの。具体的効果は表示してない。

 一般的に効果をうたってないのに根拠を出せと言われても、難しいというのは一理あろう。

 さらに消費者庁は、広告全体の認定(あたかも認定)において「あたかも当該製品を摂取することにより、ボンヤリ・にごった感じの目の症状を改善するかのように示す表示をしていた」とする。これは、いわば消費者庁の主観。判断根拠を求めたくなろう。

 これに対し、消費者庁は、(1)不実証広告規制は「優良誤認表示に該当する疑い(注‥傍線本紙)がある表示は合理的資料提出の提出要求対象」である(2)当該の広告表示は優良性を強調しており、顧客誘引性がある(3)提出されたアンケートや成分解説は根拠とは言えないと主張した。

 これに対する地裁判断は、全面的に消費者庁の主張を認め、だいにち堂の主張を退けた。門前払いに等しい判決だ。

 しかし、関係者はこの理由について、ある法則を明かす。(つづく)


 
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