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不思議な「あたかも認定」【暗示のレンジ 景表法の範囲を問う④】 「パンドラの箱」開けた地裁判決

2020年 5月 1日 13:30

 景品表示法での処分をめぐる消費者庁とだいにち堂の司法の場での係争。暗示への規制強化や不実証広告規制の運用が争点となり、影響は業界全体へと広がる。第二ラウンドとなる東京高等裁判所の審理の前に、ポイントを整理しておこう。

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 まずは景品表示法で「暗示表現」を規制することの是非だ。

 判決では、だいにち堂が展開していた「ぼんやり」「すっきり」などの暗示表現に根拠を求めたことに「商品等の有する効能・効果について、数値等を用いた具体的記載までされていなく場合であっても同様」と暗示表現の規制を「是」とした。

 これは、一般法である景品表示法の規制範囲を大幅に広げてしまうことに繋がる。これを裁判官はきちんと理解していたのであろうか。

 景品表示法が規制しているのは「著しい」優良誤認だ。「牛缶をうたいながら鯨肉だった」との立法経緯を鑑みても、重箱の隅をつつく規制はなじまない。

 景表法には課徴金が導入されており、社名公表等の社会的制裁効果をあわせれば、企業には重い処分だ。そもそも、司法判断を経ずに、行政処分で売り上げの3%もの「課徴金」を科すこと自体を疑問視する声もある。

 暗示を規制し始めれば範囲が必ず問題となる。しかし、暗示表現をどう受け取るかは、人によって異なる。現状は規制当局である消費者庁にその判断が委ねられているのだ。

 そもそも、今回の裁判において、取り上げるべきだったのは、消費者庁が誇大であると決めた認定の文言だ。  これは「あたかも認定」と言われるが、今回「あたかも、当該製品を摂取することにより、ボンヤリ・にごった感じの目の症状を改善する効果が得られるように示す表示をしていた」とした。

 「ボンヤリ・にごった感じの目の症状」とは一体何を指すのか。不思議な日本語であろう。まずはこの点を裁判で明らかにすべきだ。「あたかも認定」があいまいなのに、表示が誇大か否かを議論することは、本来できないはずだろう。

 繰り返すが「暗示の範囲」があいまいなまま、景表法の運用が広がれば、企業の委縮は避けられない。広告表現が、行政に曲解、拡大解釈され、根拠を求められ、処分を受ける可能性があるからだ。その意味で、だいにち堂が今回、憲法が保障する「表現の自由」への侵害を指摘したのは「杞憂」とは言えない。

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 地裁が判断した「不実証広告規制」の運用基準も検討の余地があろう。

 だいにち堂は発動の相当性を指摘したが「条文上、規定が見当たらない」とはねつけた。

 しかし、法律の条文に発動要件が書き込まれる訳はなく、これはガイドラインで示されている。

 ここでは「商品・サービスの効果・性能等」に不実証広告規制を使う際の考え方が示されており、問題事例も列挙。示されるのは、「背丈を伸ばす」「鼻が高くなる」「食事制限なく痩せる」などの明示かつあり得ない話、暗示表現は一切含まれていない。仮に暗示表現が含まれるのであれば、事業者の予見可能性を鑑み、ガイドラインに明記して、問題事例も追加すべきだ。

 景表法で問題になるのは「表示」と「実際」の乖離である。そもそも「暗示」は何を訴えているのか判然とせず、消費者の受け止めもさまざまだ。そこに規制のメスを入れて、不実証広告規制という強力な武器で処分することには「危うさ」がつきまとう。時々の担当者判断で暗示の解釈がブレまくるのは目に見えている。その意味で地裁判決は「パンドラの箱」を開けたともいえる。高裁判決は注目だ。 (おわり
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