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再び成長軌道、過去最高売上に<新社長に聞く ショップチャンネルの現状と今後> “ウィズコロナ”に備え学び対応へ

2020年 6月25日 07:28

 通販専門放送を行うジュピターショップチャンネルの2020年3月期の売上高は創業来初の減収となった前の期から一転、再び成長軌道に乗り、過去最高売上高を更新する好調な着地を見せた。一方で今期の出足は前年実績を下回って推移するなどコロナ禍の影響を受けた格好となっている。「ウィズコロナ時代」を見据え、どう戦略を描くのか。同社を率いる新森健之社長に前期の状況や今後の方向性を聞いた。













 ――2020年3月期の業績は。

 「売上高は1633億9100万円で前年比2・6%増と増収だった(※営業利益は同6・3%減の232億1800万円、当期純利益は同8・5%減の162億3300万円)。19年度は創業以来初の減収となったが、再度、成長軌道に戻せ、18年度の売上高(1630億9800万円)を越えて過去最高売上高を更新することができた」

 ――要因は。

 「創業20周年の年となった17年度から様々な特別番組や大規模なプロモーションを仕掛けるなどし、17年、18年度は近年にない大幅な成長を遂げることができたが、その中で売り上げを確保しやすい単価が高く売りやすい商品に多少、偏ってしまったこともあり、例えばファッション商品などが薄くなり、『ショップチャンネル』を長くご愛顧頂き、購入頻度も高い上位のお客様にとって満足頂けない事態になってしまったことでお客様の年間の購入回数や客単価に影響が出たことが19年度の減収につながったのではないかという仮説から、前期は”原点回帰”を掲げて当社のビジネスの基本である商品と番組の開発に注力してきた。具体的には新しいブランド・商品の発掘と育成を実施した。『ショップチャンネル』で初登場となるブランドの紹介を積極的に増やし、中でも、その日のいちおし商品として販売する番組『ショップスターバリュー』と『GO!GO!バリュー』で紹介した新ブランド・新商品数は115アイテムと、74アイテムだった18年度と比べて大幅に増やした。例年と比べても多く、恐らく過去最大級の数ではないか。カテゴリ別では特にお客様が求められていると思われるファッション商品の強化に注力してきたことが大きく奏功した。新ブランドの発掘を強化するなどし、商品数も増やしたことに加えて、夏頃には通販サイトにファッションのみを特集する専用ページ『ショップチャンネル スタイル』を新設し、商品やブランドをページ上で紹介するだけでなく、顧客参加型のリアルイベントやコーディネート投稿キャンペーンも開催し、ファッションをきっかけにお客様と繋がるコンタクトポイントを作ったことなども大きかったと思う。また、引き続き食品カテゴリの売り上げも好調だった。ファッションを軸とした再強化でショップチャンネルに多少、飽きておられたお客様にもう一度、戻って来て頂けたのではないか。事実、上位顧客の年間購入額は上がっている。よい商品をお得な価格で販売することは小売りの基本だが、当社の場合はそれだけでなく番組を通じて1つの商品を様々な角度からじっくりと掘り下げて魅力をお伝えしながらご紹介できるという特徴、強みがある。楽しんで頂きながらお買いものをして頂くという原点に改めて注力したことが再び成長軌道に戻れた最大の要因だと思う」

 ――消費税増税の影響は。

 「確かに前期は上期までは前年同期比で売り上げは大きく伸長した一方、消費増税直後の10月は低調な伸びとなったが(増税の影響は)トータルで言えばプラスの方が強かったと思う。例年は実施していない9月に大型特番『秋いち感謝祭』を放送して、9月2~4日の3日間での売上高は目標を上回る22億円となるなど、特番を含めて増税前の駆け込み需要を多く取り込むことができた一方で、増税直後の10月の反動はあるにはあったが予想よりもダメージはなく、11月の大型特別番組『心おどる大創業祭』から徐々に復調傾向となった。9~11月の3カ月で見れば前年同期比を上回っている。なお、第4四半期(1~3月)は前年同期を上回って推移した」

 ――新規顧客の獲得の状況は。

 「新規顧客獲得はここ数年の課題だが、前期に関しては例年並みだ。テレビCMも前年度に引き続き5月に放送し、効果もあったが限りある予算をより効率的に使うことを考えて下期は控え、新聞広告やSNSなどウェブ経由の施策に重点を置いた。また、(株主である)ジュピターテレコム(JCOM)やKDDIと連携して、JCOMのケーブルテレビサービス加入者が使用する専用テレビリモコンにショップチャンネルへ切り替わる専用ボタンを付けてもらったり、『au』のポータルサイト経由で商品の告知をしたり、当社サイトに誘導してもらうなどの試みは引き続き実施しており、効果も上がっている。また、JCOMのケーブルテレビの視聴世帯向けに『ショップチャンネル』の番組を1時間遅れで再放送する『ショップチャンネルプラス』も関しても再放送だけでなく、毎週金曜日に入れ替えるその週に推奨する商品を紹介する事前収録番組『ウィークリープッシュ』の枠を増やしたりなど同チャンネル独自の内容を強化していることや昨年3月からこれまで有料サービス『JCOMTV』の加入者向けだった同チャンネルをJCOMのケーブルテレビサービスに対応した住宅世帯であれば視聴できるコミュニティチャンネルでも放送を開始したことで視聴可能世帯が大幅に増え、それによって売り上げは前年比5倍と大きく伸びており、新規顧客も伸びている」

 ――新型コロナウイルスの影響はどうか。4月7日の緊急時宣言発令の翌日から生放送時間を従来の24時間体制から、一部を収録に切り替えるなど対応は迅速だった。

 「新型コロナウイルスの問題が表面化しはじめた2月には感染防止対策などを決める対策本部を立ち上げ対応の準備を進めてきた。4月に入り、緊急事態宣言が出たタイミングですぐに放送体制を切り替え、4月8日には午後3時から同7時までの5時間を録画放送に、また9日には午前12時から1時間のみを生放送とし、その後は11日まで録画放送とし、12日からは生放送を7時間、残りの17時間は事前収録番組を放送するようにした。コロナ禍のなかでも放送局としては放送を止めるわけにはいかない。また、地上波のテレビ局のように過去のドラマの再放送番組を行うわけにもいかないため、クルーをA~Dの4班と各班をさらに半分に分けた8グループ体制に振り分けて、なるべく人数を少なく、各グループが接触しないように、また、万一に備えて、自宅待機組も作りながら番組を制作する体制とした。生放送を絞り、また、制作体制を変えることで従業員や番組に出演頂いているゲストの皆様の感染リスクを減らし、健康・安全を守るためだ。何よりもそれを優先した」

 ――業績への影響はどうか。

 「当社の最大の特徴でもある生放送を絞ったことも大きかったと思うが(今年の)4、5月の月次売上高は前年同月比で2割減程度となった。緊急事態宣言が解除され、6月5日からは生放送時間を合計16時間まで戻したことなどもあり、6月は(前年同月比で)1割程度の減少とダメージは軽減してきているが影響は少なくないことは事実だ。本音を言えば、前期に成長軌道に戻し、過去最高売上高を計上することができ、今期はさらにその先を目指していただけに残念と言えば残念だが従業員や取引先の健康・安全が最優先だ」

 ――24時間生放送に戻すメドはいつになるか。

 「これからのコロナの状況次第であり、まだ判断がつかない。少なくとも7月中は現状の生放送16時間体制を続けていく」

 ――ショップチャンネルの1つの”売り”は24時間生放送だ。早めにもとの体制に戻さないと業績への影響は大きいのではないか。

 「6月に生放送を16時間に戻し、売り上げは戻ってきたが、本来(24時間生放送体制)の状態で想定していた目標売上高と比較するとマイナスであることは事実だ。とはいえ、コロナはいまだ終息しておらず、2波が来る可能性もあり、油断できない。従って当面、生放送と収録を組み合わせて事業を展開していかざるを得ない。その中でどう事業を進めていくか。実は4~6月と生番組と収録番組を組み合わせて放送していく中で色々な気づきがあった。どんなものが生放送に向き、どれが収録に向くのかなどだ。例えばリアルタイムでお客様の要望に応えながら色や柄、細部を見せながら紹介するようなファッションは収録には向かないなどだ。これらの経験を踏まえて、生と収録を使い分けながら番組を制作していき、さらにウィズコロナ時代で生活様式が変わっていく中で今、何を求めているのかを的確に把握して、お客様に寄り添いながら求められる商品を紹介していくことで戦っていけると考えており、第1四半期で落ち込んだ業績を巻き返していこうと思っている。また、収録と生放送を組み合わせた現行の体制で従来までと変わらないパフォーマンスを維持できるのであれば『24時間生』に必ずしもこだわるわけではない。そうであれば感染リスクも軽減でき、従業員の働き方改革にもつながるかもしれない。環境や時代の変化に応じて何がベストかは常に変わる。見極めは都度必要だろう」

 ――今後の方向性は。

 「コロナによって人々のライフスタイルは変わる。買い物の方法としては感染リスクの観点からも通販はお客様にとってメリットがあるはずで、今以上に浸透していくはずだ。そこにお客様が求めている商品を見極めて、それになるべく近いものをご提供し続けていく。もちろん、それは価格競争ではないショップチャンネルならでは商品だ。前期までと同じく『原点回帰』を掲げて事業の基本である商品や番組の強化を進めていく。加えてコロナに対応した施策も打っていく。1つは『物産展』だ。新型コロナの影響で販路縮小を余儀なくされた食品事業者の食品を紹介、販売する特別番組として『全国うまいもの物産展』を10月8日に2時間にわたって放送する。現在、この番組で食品を販売したい事業者の募集を行っている。コロナによって困っている事業者の方々がたくさんいる。我々の販売チャネルを通じて販路を提供でいればと考えた。また我々としてもよい商品をご紹介してお客様に喜んで頂きたい。すでに反響はあり、地方自治体などからの問い合わせも来ている。初回は食品を対象としたが、今後は他のジャンルでの展開も検討していく。このほかにも我々が貢献できる施策について考え、進めていきたい。また、社内体制についてもこれを機に変えていきたい。緊急事態宣言下の際、政府から事業者に対して通勤者を7、8割に抑えてほしいという要請があったが、当社は物理的に放送を行い、電話を受注する必要があり、4割程度は出社していた。ただ、極力、在宅勤務者を増やし、また、必要な環境を整えてきたことでリモート勤務が可能な従業員は随分、増えてきて効率的に在宅でも勤務できるようになってきた。正直言えば在宅勤務という発想はこれまではあまりなく、働き方改革で言えば当社は先駆者ではなかった。コロナを通じてこうした体制でも業務が可能だということがある程度、分かった。コロナが落ち着いた時にもこうした経験を活かして、現代の企業として理想の働き方を模索してきたい」

 ――来年開業予定の新社屋および新スタジオの計画はコロナ禍があったが変更はないのか。

 「今のところ計画に変更はない」
 
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