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【トクホ 終わりの始まり 1 許可8件とゼロ回答】

2021年 4月 1日 12:00

機能性の登場で許可が一桁に

 特定保健用食品(=トクホ)が落日を迎えている。20年度の許可は、8件に激減。対して機能性表示食品(=機能性)は1000件に迫る旭日の勢い。回生を狙った「疾病リスク低減表示」の拡大検討会も、業界代表の失策もあり、実質「ゼロ回答」となった。食品の機能性を表示できる制度として誕生して30年。世界で最も進んだ取り組みであったが、存在意義が問われる状況に追い込まれた。「何が問題だったのか」。トクホ低落の理由を関係者の声を交えて検証する。

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 「遂に一桁。終わりが始まったな」。大手メーカーは2020年度のトクホの許可件数をこう評する。「使いにくい制度で規制もうるさい。企業が機能性表示食品にシフトするのは目に見えていた」。

 許可件数の推移をみるとこのことは明らかだ。

 15年は104件と、三桁の大台を超えていた。翌16年も93件と堅調だったが、17年に入ると30件に激減。その後、18年が39件、19年は23件。そして20年は8件にまで落ち込んだ。

 低落のトリガーを引いたのは機能性表示食品制度の誕生だ。制度は15年4月にスタートする。

 こちらの届出件数をみると、初年度でも310件で一気にトクホを抜き去る。その後も620件(16年)↓452件(17年)↓690件(18年)↓882件(19年)。20年は1月下旬までで845件となっており、1000件超が目の前の昇竜ぶりだ。

 トクホは機能性の波に押され、徐々に許可件数を減らし、入れ替わるように機能性が増えていった。

 しかも、機能性の届出件数は一年で1000件に迫る。トクホは30年で1071件の許可だ。実際に販売されているのは、「多くても300製品程度」(関係者)と推測されている。数の上では完全に「勝負あった」(同)。

 製品数は、事業者と消費者の利用度でもある。トクホは審査などで相当の行政コストがかかっており、複数の省庁をまたぐ。「使われない制度に行政コストを使うのは、税金のムダ」(行政関係者)という厳しい指摘さえある。

 「健康食品の機能性表示を解禁いたします」。2013年6月の安倍晋三総理の宣言で創設された機能性は、トクホの欠点を補う狙いでつくられたという経緯もある。政策的な意味から見れば、現在の数の状況は「成功」だとも言えよう。

 一方でさらなるトクホの活用を指摘する意見もある。30年の歴史と伝統。国の許可という格式。何より、トクホという用語は、消費者に浸透しているからだ。

 消費者庁で行われた機能性表示食品制度の制度設計の検討会で業界代表の委員を務めた宮島和美氏(現ファンケル相談役)は機能性よりさらに進んだ「サプリメント法」を提唱する一方で「トクホにはトクホの役割があり、活用すべき路がある」と話していた。

 これまでトクホを活用してきた花王や雪印などの大手メーカーもトクホを支持するグループ。許可制に慣れている大正製薬やロート製薬などの製薬系もこちらのサイドに近いといえよう。

 活用の大きなポイントはトクホにしか許されていない強い表示の活用だ。

 具体的な疾病名をあげて、摂取することでその疾病となるリスクを低くすることを表示できる「疾病リスク低減表示」は05年にトクホ制度に導入された。米国では90年から先行事例があり、科学的根拠があるものは取り入れていくこととなった。ただ「カルシウムと骨粗しょう症」「葉酸と神経菅閉鎖障害」の2つだけで、製品もほとんどない状態。「社会実装されていない」(関係者)。

 閉塞を突破して、トクホに新風を吹き込むべく、昨年12月から消費者庁で開催されたのが「特定保健用食品制度(疾病リスク低減表示)に関する検討会。トクホに最も利権を有する業界団体の日本健康・栄養食品協会は矢島鉄也理事長が自ら委員となり、新表示の導入などを狙ったが実質的に「ゼロ回答」で一敗地に塗れる。関係者は落胆とともに「作戦と発言がまずい。責任問題だ」と憤る。(つづく)


 
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