〈アスクルにサイバー攻撃〉 システム障害で受注・出荷停止、良品計画やロフトの通販にも影響

2025年10月22日 17:50

2025年10月22日 17:50

 アスクルは10月19日、同社サーバーが身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」に感染したことでシステム障害が発生したと発表した。同日夕方に事業者向け通販「ASKUL」、「ソロエルアリーナ」および個人向け通販「LOHACO(ロハコ)」での受注・集荷業務を停止した。同社では他社の物流委託も請け負っており、その影響でアスクルに物流業務を委託している良品計画やロフトも通販サイトの受注および出荷を止めている。アスクルが物流業務を請け負っている事業者は複数社あるとみられ、それら企業の事業への影響も懸念される。ランサムウエア感染に伴う個人情報の外部への流出の有無などについては「現在調査中」としており不明。システムの復旧のめどは現時点ではたってない模様。自社通販での機会損失のほか、物流委託事業にも今後、影響が出てきそうだ。

〈通販新聞11月6日付 第2012号(2025年10月23日発行)6面〉


 同社によると10月19日の午前に同社サーバーがランサムウエアに感染し、システム障害は発生したことを確認、同夕方には「ASKUL」、「ソロエルアリーナ」、「LOHACO」の受注・出荷業務を停止した。受注・出荷業務の停止以前に受注し、発送を行っていない注文分はキャンセルしたという。個人情報や顧客データなどの外部への流出を含めた影響範囲は現在調査中としている。

 なお、グループ会社への影響については「精査中」としており、明らかにしていないが、大企業向けに間接材やサービスの購買管理サービスを展開する子会社のアルファパーチェスは10月20日付で「情報システムはアスクルから完全に独立して開発・運用されており、当社の情報システムおよび受発注には影響はない」と発表した。その上で「当社の総仕入高の6.3%はアスクルからの仕入で当社の仕入の一部にも注残のキャンセルや欠品が生じる恐れがある。該当するお客様や注文には個別に連絡、同等代替品の案内等を行う予定」とした。

 アスクルのシステム障害による受注・出荷停止を受け、良品計画も10月19日に公式通販サイト「無印良品ネットストア」の受注と出荷業務を停止した。通販サイトの商品の配送をアスクルの物流子会社であるASKUL LOGISTに委託しているためだ。なお、良品計画がランサムウエアに感染したという事実はなく、実店舗の物流配送に影響はないという。通販サイトの停止に伴い、公式アプリ「MUJIアプリ」も通販ページでの閲覧・購入、マイページの注文履歴の閲覧、「おたより」の記事閲覧、月額定額サービスの申し込み、一部ウェブコンテンツの表示といった機能にも影響が出ているとした。復旧に向けてアスクルと連携して対応しているが再開時期は未定という。なお、10月24日から11月3日まで開催を予定している会員向けの割引キャンペーン「無印良品週間」は通販サイトでは実施せず、実店舗のみでの開催とするとしている。

 同じくASKUL LOGSTに運営する通販サイトの物流業務を委託しているロフトやネスレ日本も10月20日、同22日にそれぞれ通販サイトの販売を停止したと発表した。再開の予定は未定とする。

 アスクルは良品計画やロフト、ネスレ日本以外にも複数事業者の物流業務を請け負っているとみられ、そうした事業者の物流業務に影響が出ている可能性がある。

 システムの復旧までの期間にもよるが相当額の機会損失が発生する可能性もある。また、物流委託事業への今後の影響も懸念される。同社の受注・出荷業務の再開については「現状、一刻も早いシステム普及に向けた対応を行っている」とし、復旧のめどは現時点では立っていないようだ。

 9月29日にはアサヒグループがサーバーにサイバー攻撃を受けてランサムウエアに感染しシステム障害が発生、現在も商品の出荷に影響が出ているなど混乱が続いている。通販各社についてもランサムウエアへの対策に万全を期す必要がありそうだ。

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