厚労省がサプリの定義議論 形状、摂取法、「監視」の観点も

2025年10月30日 13:13

2025年10月30日 13:13

 厚生労働省は、食品衛生法の改正に向けた検討課題にサプリメントの「定義」をあげた。規格基準の策定を担う消費者庁と連携して検討を進める。過剰摂取や長期摂取、形状、衛生管理等の観点、厚生労働省が担う食品監視の側面も意識する。


1030131220_6902e5a492da9.jpg 10月23日、厚労省の厚生科学審議会食品衛生監視部会で議論が始まった。厚労省の大坪寛子健康・生活衛生局長は、「サプリメントの定義がないという宿題が残っている」として重要課題に捉える。部会では、サプリメントの規制のあり方について、①定義、②製造管理のあり方、③事業者の健康被害報告――について議論する。

 紅麹事件を受けた対応で、機能性表示食品、定保健用食品は健康被害報告、GMP(適正製造規範)が義務化された。ただ、食品表示法に基づく特定の制度に対する措置。サプリメント形状であっても「いわゆる健康食品」は一般食品同様、健康被害報告は努力義務、GMPの法的義務はない。

 定義の検討は、表示、基準策定など「食品衛生基準行政」を担う消費者庁、「監視行政」を担う厚労省にまたがる。サプリメントの基準を消費者庁が検討し、これに基づき厚労省が監視を行うことになるとみられる。「消費者庁との役割分担は極めて重要。(厚労省は)表示中の飲み方、処方に意見する立場にない」(大坪局長)として、次回会合で各省庁の役割を明確にする。

 厚労省は、年内は月1回のペースで会合を行う予定。論点を整理し年明けに検討を本格化する。必要に応じて関係者からヒアリングも行う。

 消費者庁の食品衛生審議会も並行して検討を進める。定義について「規制のあり方が定まった上で議論するもの。監視の側面も必要になる。厚労省と連携し、一体的に取り組む」(食品衛生基準審査課)とする。現時点で具体的なスケジュール、検討テーマは「厚労省と調整中」(同)。「できる限り早く」とするが、年内に会合を行うかは決まっていない。

1030131252_6902e5c40eab2.jpg 厚労省部会ではサプリメントの定義について、「摂取が比較的長期に渡り、直ちに食中毒と判断できない場合がある。長期摂取の視点、サプリメントという特殊な形態に特化した議論が必要」と、厚労省が問題意識を示した。委員からは、「子供の摂取、過剰摂取リスクの対応が必要」(医薬基盤・健康・栄養研究所・滝本秀美理事)といった観点も出た。

 グミや飴、粉体など形状が多様な食品とサプリメントは形状のみの区分は難しい。目的や成分、摂取方法などと組み合わせた観点での議論が必要になる。食衛法上の許可業種、届出制、「指定成分含有食品制度」など業種の区分を含めどう確定するかが論点になる。

 健康被害報告の対応では、「健康被害の発生に迅速に対応するための厚労省と消費者庁の連携体制が必要」(日本医師会・藤原慶正常任理事)といった意見もあった。 

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