〈ショップチャンネルがAIで番組編成案〉 商品情報や購買データ、〝暗黙知〟もとに売上増と業務効率化へ

2026年04月01日 14:55

2026年04月01日 14:55

 通販専門放送局を運営するジュピターショップチャンネルはAIを活用した番組編成案の作成を開始した。販売予定の商品の情報や過去の販売実績などを踏まえ、各時間帯で紹介する最適な商品を選び、月間トータルで売り上げや新規顧客獲得を最大化できる月の番組編成案を自動生成する。これまでは編成担当者が各種データを参照しながら経験的判断で行ってきた。AIの活用で、各番組の売上最大化を図り年間で十数億円規模の売上増と、番組編成作業時間を従来の約7割程度削減するなど業務の効率化を図る。


 ショップチャンネルは住友商事の子会社でデータ分析やシステム開発などを行うInsight Edge(=インサイトエッジ)と連携してAIを活用して番組編成案を作成できるシステムを開発、昨年12月から稼働を開始した。これまで番組編成は当該月に販売予定の商品の情報と過去の購買データを分析しつつ、販売スケジュール上の制約や実施上の調整事項に加え、極力考慮されてきた「同じ日に類似する商品を紹介しない」「ダイエット商材を紹介した後に食品を紹介しない」といった〝暗黙知〟などをこれまでの経験などと組み合わせながら同社プログラミング部の番組編成担当者が売り上げの最大化を目指して作成してきた。

 ただ、同社の通販専門チャンネルは24時間年中無休で放送しており、1時間単位で1日24枠、月700枠超それぞれについて膨大なデータ量や制約条件を全体のバランスなども考慮しつつ手作業で売り上げ最大化に最適な組み合わせを導くには大きな工数が必要かつ検討できるパターンにも限界があったことから、AI技術を導入した番組編成案作成を行おうと2024年からインサイトエッジと組んで編成担当者のこれまでの知見を含めた番組編成に必要なアルゴリズムの設計に着手。編成担当者が行ってきたこれまでの業務フローや「暗黙知」を含めた知見を洗い出してロジック化したものなどを遺伝的アルゴリズム(※進化論的な考え方に基づいてデータを操作し、最適解探索や学習、推論を行う手法)を用いて組み込んだ番組編成案を作成する新システムを開発した。

0401163455_69ccca9f569b0.jpg 同システムではあらかじめ入力した商品情報や過去の購買データ、担当者の〝暗黙知〟を含めた編成上の制約条件などを基にAIが天文学的な数の組み合わせを網羅的に探索し、最適な商品を最適な時間枠に配置した番組編成案の初案を2〜3時間程度で作成する(=画像=イメージ)。インサイトエッジの開発チームがショップチャンネルの現場担当者へヒアリングを重ね、実際の業務フローに即した画面設計とし、担当者は直感的な操作で編成業務を行えるなど使い勝手もよいという。なお、番組編成案は売上最大化や制約遵守など複数の優先条件に応じたものも作成可能。また、手動で編成を調整した際も、売上・新規顧客数・制約遵守リスクがリアルタイムに再計算されるという。

 同システムの稼働で各時間帯で売上最大化を図れるようになったことで「理論値だが年間で十数億円規模の売上向上が期待される」(販売企画本部プログラミング部部長兼経営企画本部データ戦略部部長の時崎大介氏)という。なお、AIが作成した番組編成案を基にした放送は今夏から順次、行っていく予定という。また、これまで人がドラフトと呼ばれる番組編成初案を作成する際にかかる時間を新システムでは大幅に削減できるようになり、編成業務の作業時間は従来の7割程度削減できる見込みという。

 ショップチャンネルでは番組編成のほか、インサイトエッジと組んでAI・データを活用した業務の効率化・高度化を2024年から順次進めており、これまでに過去の実績に基づき、番組や商品ごとの売り上げを高精度に予測してプランニング業務を高度化する「AI売上高予測」や過去実績に基づいてキャンセル・返品数を予測することで販売計画を最適化し、適切な在庫管理につなげる「キャンセル・返品数予測」、AIによる呼量予測により、コンタクトセンターの必要人員数予測業務の工数を削減しつつ、適正な人員配置を行うことで機会損失を抑制する「コンタクトセンター人材シフト最適化」、生成AIによる商品説明文自動作成システムを開発し、業務の効率化・標準化と品質向上を実現する「商品販促テキスト自動生成」などに着手、順次、開発を終えて運用しており、成果を出しているという。商品情報・業界トレンドなどをもとに生成AIで訴求ポイントや演出案をまとめ、番組構成業務の高度化を目指す「番組構成案自動生成」の開発にも着手しており、AI・データの活用を進め、業務効率化や売り上げ最大化につなげていきたい考え。

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