「広告が当たらない」、「獲得効率が悪化している」など新規顧客獲得に悩む通販事業者は多い。その原因について、「ターゲットの悩みと商品価値のズレが生じている」と指摘するのは通販総合プロデューサーの茂吉こと茂吉プロデュース社長の外山茂氏だ。これまでに支援を行った商品・ブランドを数十億~百億円を超える規模まで飛躍的に成長させた実績を数多く持つ。広告費が高騰する中、打開策を聞いた。
――新規顧客獲得に悩む事業者は多い。
「そもそも、新規集客問題の原因は、複合的で、かつ、最も高度な経営判断を必要とするテーマだという認識を経営者がもつことだ。それを前提にいくつか申し上げれば、自社の商品の価値を正確につかめておらず、ターゲットの悩みやニーズが明確ではないことが考えられる。そのためチャネルと発信するメッセージのズレが生じてしまう。これを正しくするだけで新規顧客獲得効率が改善する可能性がある」
――なぜズレが起こるのか。
「リサーチができているようで、できていないのがほとんどではないか。自社商品の価値を語れる経営者は多いが、顧客から見た価値を語れる人は少ない。そのため商品価値の優先順位もあいまいになってしまう。顧客の悩みや関心事を的確に掴むリサーチと、顧客から見た商品価値に対するリサーチが重要だ」
――昨今、リサーチや制作にAIが活用されている。
「AIは属人化していたノウハウを平準化するには最適だと思う。だが、当たっているクリエイティブをそのまま移行するだけでは商品価値と訴求する内容のズレが生じる。せっかく独自性のある商品を作っても、LP(ランディングページ)が他と同じように見えてしまうと、顧客に商品価値が伝わらない。いくつかの点の情報をつなぎ合わせてアイデアを生む力はAIにはなく、AIを使えば使うほど似たようなものになってしまうのではないか」
――打開策は。
「導き出した顧客の悩みと商品価値を、情報の組み立てによって正しく伝える。これを的確にマネジメントすることで新規顧客獲得の効率は改善できる。生活総合サービスの『ていねい通販』とは、長年にわたって支援関係にある。主力の健康食品『すっぽん小町』の素材『すっぽん』は男性向けの滋養強壮イメージが強く、女性に直接訴求しても自分ごと化されない。そこで女性が自分ごと化しやすい『美容』を先に提示し、その解決策の食材として『すっぽん』を後ろに回す順番で再構成した。順番を完全にコントロールするため、紙ではなく時間軸でプレゼンできるTVインフォマーシャルをチャネルに選んだ。何を、どの順番で、どの媒体で、誰が制作するか――一本の当たる広告は、複数要素の掛け合わせで決まる。結果、『すっぽん小町』は大ヒットし、売上高は数十億円に飛躍した」
――LPなどウェブのクリエイティブで、結果を分けるポイントは。
「LPには構成の『型』があり、当たっているLPを真似ることもできる。それでも結果が分かれるのは、構成は同じでも一つひとつの情報の『伝え方』で結果が左右されるからだ。素材選びも同じで、AI素材で済む表現に、数百万円かけて現地撮影した動画を据えるかどうかで、結果的に数十億円の売上の差になる。決して大袈裟な話ではない。このこだわりと投資判断は、現場スタッフには委ねられない。新規集客の効率が改善された場合の経営インパクトは計り知れず、この投資判断は、経営者にしかできない」
――ウェブの獲得効率が悪化している。
「ウェブは最適化されるため、最適化が進むとターゲット以外に情報が届かなくなる。それが原因で急激にCPAが悪化する。そこでオフライン展開を検討する事業者は多いが、ウェブとTVメディアは情報の組み立て方が全く違う。これに気が付かず広告費を積み増すだけでは新規顧客獲得の悩みから脱することができない」
――情報の組み立て方はどう考えるか。
「どのチャネルでも商品価値を理解し、誰に何を伝えるかが重要。23年頃からヘルスケア衣料のりらいぶの新規集客の支援を手掛けている。YouTubeチャンネル『令和の虎』で話題になり、30~40代の男性を中心にヒット。ただ、その後売上が伸び悩んでいた。その原因は明らかで、30~40代のニーズと商品価値とのズレ。本来最も必要とする人は身体の衰えやパワーの減退を実感しているシニアだと考えた。チャネルをインフォマーシャルに変えて老々介護の夫婦を取り上げ、きつい抱き起しが楽になるシーンで訴求した。社長に登場してもらい想いを届けたことも信頼獲得につながった。その後ウェブ誘導施策に切り替え、タレントを起用したテレビCMを展開中だ。数年にわたる戦略のもと売上高が伸長し続けている」
――自身の役割は。
「経営者に新たな視点とアイデアを提供し、それを高度に実現するプロフェッショナルチームを編成することが私自身の役割だと考えている。戦略は的確に実行されなければ成果は生まれない。企画段階と実際の制作物の出来との間には、雲泥の差が存在する。優先順位の高い商品価値を見抜き、チャネルの構造を理解した上でクリエイティブを磨くジャッジを行う。ここまで踏み込んで初めて、戦略は成果に結びつく」
「広告が当たらない」、「獲得効率が悪化している」など新規顧客獲得に悩む通販事業者は多い。その原因について、「ターゲットの悩みと商品価値のズレが生じている」と指摘するのは通販総合プロデューサーの茂吉こと茂吉プロデュース社長の外山茂氏だ。これまでに支援を行った商品・ブランドを数十億~百億円を超える規模まで飛躍的に成長させた実績を数多く持つ。広告費が高騰する中、打開策を聞いた。
「そもそも、新規集客問題の原因は、複合的で、かつ、最も高度な経営判断を必要とするテーマだという認識を経営者がもつことだ。それを前提にいくつか申し上げれば、自社の商品の価値を正確につかめておらず、ターゲットの悩みやニーズが明確ではないことが考えられる。そのためチャネルと発信するメッセージのズレが生じてしまう。これを正しくするだけで新規顧客獲得効率が改善する可能性がある」
――なぜズレが起こるのか。
「リサーチができているようで、できていないのがほとんどではないか。自社商品の価値を語れる経営者は多いが、顧客から見た価値を語れる人は少ない。そのため商品価値の優先順位もあいまいになってしまう。顧客の悩みや関心事を的確に掴むリサーチと、顧客から見た商品価値に対するリサーチが重要だ」
――昨今、リサーチや制作にAIが活用されている。
「AIは属人化していたノウハウを平準化するには最適だと思う。だが、当たっているクリエイティブをそのまま移行するだけでは商品価値と訴求する内容のズレが生じる。せっかく独自性のある商品を作っても、LP(ランディングページ)が他と同じように見えてしまうと、顧客に商品価値が伝わらない。いくつかの点の情報をつなぎ合わせてアイデアを生む力はAIにはなく、AIを使えば使うほど似たようなものになってしまうのではないか」
――打開策は。
「導き出した顧客の悩みと商品価値を、情報の組み立てによって正しく伝える。これを的確にマネジメントすることで新規顧客獲得の効率は改善できる。生活総合サービスの『ていねい通販』とは、長年にわたって支援関係にある。主力の健康食品『すっぽん小町』の素材『すっぽん』は男性向けの滋養強壮イメージが強く、女性に直接訴求しても自分ごと化されない。そこで女性が自分ごと化しやすい『美容』を先に提示し、その解決策の食材として『すっぽん』を後ろに回す順番で再構成した。順番を完全にコントロールするため、紙ではなく時間軸でプレゼンできるTVインフォマーシャルをチャネルに選んだ。何を、どの順番で、どの媒体で、誰が制作するか――一本の当たる広告は、複数要素の掛け合わせで決まる。結果、『すっぽん小町』は大ヒットし、売上高は数十億円に飛躍した」
――LPなどウェブのクリエイティブで、結果を分けるポイントは。
「LPには構成の『型』があり、当たっているLPを真似ることもできる。それでも結果が分かれるのは、構成は同じでも一つひとつの情報の『伝え方』で結果が左右されるからだ。素材選びも同じで、AI素材で済む表現に、数百万円かけて現地撮影した動画を据えるかどうかで、結果的に数十億円の売上の差になる。決して大袈裟な話ではない。このこだわりと投資判断は、現場スタッフには委ねられない。新規集客の効率が改善された場合の経営インパクトは計り知れず、この投資判断は、経営者にしかできない」
――ウェブの獲得効率が悪化している。
「ウェブは最適化されるため、最適化が進むとターゲット以外に情報が届かなくなる。それが原因で急激にCPAが悪化する。そこでオフライン展開を検討する事業者は多いが、ウェブとTVメディアは情報の組み立て方が全く違う。これに気が付かず広告費を積み増すだけでは新規顧客獲得の悩みから脱することができない」
――情報の組み立て方はどう考えるか。
「どのチャネルでも商品価値を理解し、誰に何を伝えるかが重要。23年頃からヘルスケア衣料のりらいぶの新規集客の支援を手掛けている。YouTubeチャンネル『令和の虎』で話題になり、30~40代の男性を中心にヒット。ただ、その後売上が伸び悩んでいた。その原因は明らかで、30~40代のニーズと商品価値とのズレ。本来最も必要とする人は身体の衰えやパワーの減退を実感しているシニアだと考えた。チャネルをインフォマーシャルに変えて老々介護の夫婦を取り上げ、きつい抱き起しが楽になるシーンで訴求した。社長に登場してもらい想いを届けたことも信頼獲得につながった。その後ウェブ誘導施策に切り替え、タレントを起用したテレビCMを展開中だ。数年にわたる戦略のもと売上高が伸長し続けている」
――自身の役割は。
「経営者に新たな視点とアイデアを提供し、それを高度に実現するプロフェッショナルチームを編成することが私自身の役割だと考えている。戦略は的確に実行されなければ成果は生まれない。企画段階と実際の制作物の出来との間には、雲泥の差が存在する。優先順位の高い商品価値を見抜き、チャネルの構造を理解した上でクリエイティブを磨くジャッジを行う。ここまで踏み込んで初めて、戦略は成果に結びつく」