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アマゾンジャパン 「Amazonフレッシュ」の行方 ㊤

2017年 4月27日 09:48

 3-1.jpgアマゾンジャパンが4月21日から、精肉や鮮魚、野菜など生鮮食品の販売を始めた。「Amazonフレッシュ」という名称で同社の有料会員向けに別途、月会費税込500円を徴収し、まずは都内6区限定で、展開中のスピード配送サービス「プライムナウ」の配送網を活用し、受注後最速4時間で顧客宅まで配送する。アマゾンの自社仕入による直販のほか、「人形町今半」など有力店ら27店舗がそれぞれ精肉や鮮魚、和洋菓子などを販売する外部事業者による出店販売も展開する。アマゾンの生鮮品通販の本格参入で競合となる既存の食品宅配事業者やネットスーパー各社からは「脅威になる」との声の一方、「いかにアマゾンとは言え、軌道に乗るかは未知数」との声も出ている。アマゾンの生鮮品通販の行方はいかに。

 「Amazonフレッシュ」は野菜や果物、鮮魚、精肉、乳製品といった生鮮品・食料品など約1万7000点を中心にキッチン用品や健康・美容用品、ベビー用品、ペット用品などの日用品・雑貨なども展開し、合計約10万点を年会費税込3900円を徴収した有料会員「アマゾンプライム会員」に対してさらに別途月額税込500円を徴収した会員に行なう配送サービス。アマゾンの既存のPC、モバイルサイトやアプリから注文を受け付ける。

 「Amazonフレッシュ」ではアマゾンがオイシックスなど複数の連携先から調達・仕入れした生鮮食品などを販売するほか、他社との差別化の観点から週2回、契約農家などから仕入れたとれたての野菜や果物、当日朝に加工したての鮮魚などを販売する「新鮮市」などの試みも展開する。「"新鮮市"では新鮮さに満足頂けなかった場合、カスタマーセンターに連絡頂くと代金を返金する『鮮度保証』を実施したり、万一、満足いく商品が届けられない場合は無料で代替品を届ける試みも行っていく」(Amazonフレッシュ事業本部・荒川みず恵リテール事業部長)という。

 加えて、人気店や有名店などの外部の出店者の商品も販売。「人形町今半」(精肉)や「魚の北辰」(鮮魚)、「パティスリーモンシェール」(洋菓子)、「船橋屋」(和菓子)などスタート時点では27店舗が「専門店グルメ」として出店し、合計約1000商品を販売する。なお、出店条件や出店料などについては「非公開」(同社)としているが、関係筋によると商品販売時に手数料として一定額と配送料を1件につき120円程度をアマゾン側に支払っている模様。

 商品は食品の種類ごとに最適な温度で保管可能な専用設備を設置した神奈川・川崎の物流センター「アマゾン川崎フルフィルメントセンター(FC)」を拠点に配送する。受注を受けると同拠点で梱包の上、顧客が商品受け取った際に、どれを冷蔵庫に入れればよいかなどが分かりやすいよう常温はグレー、冷蔵は緑、冷蔵は白と取っ手の色を変えた紙袋に包み、保冷剤入りの専用ボックスに入れ、同拠点から1時間以内配送などスピード配送を行う「プライムナウ」の専用拠点(東京・豊洲)に運び、そこから「プライムナウ」の配送員が顧客宅まで配送する仕組み。

 「専門店グルメ」の出店者の商品は受注後、出店事業者が自ら川崎FCまたは出店事業者の商品納入の利便性などを考慮してアマゾンが都内に設けた専用の商品納入受取の中継拠点まで運び入れ、アマゾンが直販商品とまとめて配送する。

 配送は顧客が注文時に指定した午前8時から深夜12時まで2時間刻みの時間帯で顧客宅まで指定の時間帯に配送する流れ。ちなみに正午12時までの受注分までは午後4時の配送枠に間に合うため、最速4時間で配送で配送できる。ただし、「横持ち」が発生する出店者の商品については対象外であらかじめ川崎FCに在庫しているアマゾンの直販品のみ。ただ、出店者の商品も当日配送に対応しているものもあるよう。複数の出店者によれば商品の納入形態として、翌日の配送を前提とした「午後4時までの納品」と当日の配送を前提とした「午前10時までの納品」が各出店者側で選択できるようになっており、「午前10時納品」を選択した出店者の商品は当日配送が可能となるが受注受付締切時間は午前中の早い時間帯となるようだ。

 なお、商品1点から配送するが、配送料は税込500円を徴収する。1回の受注額が税込6000円以上の場合、送料は徴収しない。また、配送時に顧客に商品を渡せなかった場合は、当該商品は持ち帰ってキャンセル扱いとするようだ。

 「Amazonフレッシュ」はスタート時点では東京都の港・千代田・中央・江東・墨田・江戸川の6区の一部地域で展開する。準備は整い次第、対象エリアを広げていくとしており、世田谷区と豊島区にある「プライムナウ」専用拠点も近く活用を始め、近々にも都内全域や都内周辺エリアにも拡大していく模様だ。

 サービス開始後の販売状況について某出店者によると「開始から数日たつが、まだ注文は数件程度。開始前にはアマゾンの担当者が『それなりに(受注は)来ると思う』といっていたが、今は『ゼロからのスタートなのでこんなもんだと思います』と言っていた(笑)。これからPRもしていくだろうし、エリアも広げていくだろうから期待したい」としている。

 「Amazonフレッシュ」は2007年から米アマゾンでスタートし、昨年6月には英アマゾンでも開始しており、日本は3カ国目となる。当初、日本での展開は3月27日から都内全域で展開する意向があったようだが、様々な不具合で開始時期がずれ込み、展開エリアも絞り込んだようだ。ともあれようやく開始にこぎつけたECの巨人、アマゾンが仕掛ける生鮮品販売。その行方について既存の食品宅配事業者やネットスーパー各社からは様々な声があがっている。  (つづく)


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