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消費者庁 ジャパネットに景表法違反で措置命令、不当な二重価格表示と判断

2018年10月25日 10:20

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消費者庁は10月18日、テレビ通販大手のジャパネットたかたが通販カタログなどで販売したエアコンやテレビの表示が景品表示法に違反するとして同社に措置命令を下した。同社は当該商品を各媒体で"値引き価格"などと紹介する際、「ジャパネット通常税抜価格」としてセール期間前の通常価格を併記していたが、エアコンの場合は通常価格での販売期間が13日と短く、また、テレビの場合は通常価格で最後に販売した日から38日間が経過しており、いずれも過去の販売価格を比較対照価格として二重価格表示を行うための要件を満たさない不当な二重価格表示となり有利誤認にあたると判断、再発防止の徹底などを同社に命じた。


 消費者庁が問題視したのはジャパネットたかたが既存顧客向けに昨年5月19日と同26日に分けてそれぞれ729万部と27万部を配布した通販カタログ、昨年6月3日と同9日に2001万部と703万部を配布した新聞折り込みチラシ、昨年6月5日に241万部を配布したダイレクトメール(DM)および昨年6月1日から同14日まで同社通販サイトで販売した6・8・10・14畳用の「シャープエアコン【G‐TDシリーズ】」と、昨年7月24日に253万部を配布したDMで販売した「シャープ50V型4K液晶テレビ『アクオス』(LC‐50U40)」を訴求する際の二重価格表示について。

 同庁によればジャパネットたかたはエアコンを紹介する際、例えば6月3日配布の新聞折り込みチラシでの6畳用エアコンの場合では「値引き後価格 衝撃価格! 59、800円」として販売する時に「ジャパネット通常税抜価格79、800円」と併記して、通常価格である「ジャパネット通常税抜価格」を比較対照価格として用いた二重価格表示を行っていたが、「ジャパネット通常税抜価格」で販売していた期間は5月19日から同31日までの13日間で、事業者が価格表示を行う上などで参考にする「価格表示ガイドライン」では過去の販売価格を併記して割引価格を表示する二重価格表示を行う際には過去の販売価格で販売していた期間が最低でも「2週間以上」と示されており、二重価格表示を行うために最低限必要な販売期間である14日間に満たなかった。

 また、DMでテレビを紹介する際、実売価格となる「値引き後価格 会員様特価109、800円」に併記して通常価格となる「ジャパネット通常税抜価格139、800円」と記載して二重価格表示を行っていたが、この場合は通常価格での販売期間は十分だったが、当該価格で最後に販売した日から38日が経過しており、「当該価格(※比較対照価格となる通常価格)で販売された最後の日から2週間以上経過している場合は『最近相当期間にわたって販売されていた価格とはいえない』」と同じく「価格表示ガイドライン」で示された二重価格表示の際に用いる比較対照価格に「ジャパネット通常税抜価格」が該当しないとし、「一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与える不当表示に該当し有利誤認となる」(消費者庁・大元慎二表示対策課課長)とした。

 ジャパネットたかたでは「措置命令を受けたことを真摯に受け止め、再発防止に努めていく」(ジャパネットホールディングス)とした上で、「比較対照価格がどのような意味合いのものであるかが明確になるように表示方法を是正する。また、人為的なミスを防止するためにシステムをより強化するなどの措置を講じることで再発防止に努める」(同)とし、具体的な施策を挙げた。

 「表示方法の是正」については今回、消費者庁に問題視された表示のうち、5月19日と26日に既存顧客である会員に配布した通販カタログで紹介したエアコンの価格については、5月19日から当該カタログでは5万7800円、新規顧客など不特定多数の一般客向けの同社通販サイトでは7万9800円で販売していたという事実があり、二重価格表示ではなく「会員価格」と「非会員価格」を併記した意味合いだったと消費者庁に主張したものの、「『非会員価格』の意図で『ジャパネット通常価格』として価格を記載していたが消費者庁には『非会員価格』を指す表示であるとは認められず、該当金額での販売実績がないとして不当表示と評価された。弊社としては『会員価格』と『非会員価格』での販売を同時期に実施しており、より明確に差別化を図っていたが、消費者庁には一般消費者を誤認させると評価された」(同社)とし、表示の誤認を防ぐため、同社では非会員価格を意味していたという「ジャパネット通常税抜価格」という表示を今年7月から「非会員税抜価格」に改めた上で会員向け媒体では両価格をこれまで通り、併記する形とした。

 また、通販カタログ以外の媒体で販売していたエアコンやテレビの不当表示については販売期間や販売実績の確認ミスから発生したとして、「社内に専門部署を立ち上げてチェック機能を強化していく。具体的にはチェックマニュアルの作成や過去の表示価格が分かるようなシステムを構築する形での対応を進めていく」(同社)とした。なお、返金対応については「今回の措置命令は広告表示に関することで商品の品質や安全性に関することでないため今のところ予定していない」(同)という。また、広告の自粛も行なわないとしている。

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