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キューサイ CM制作にAI活用

2018年11月22日 10:40

 キューサイがテレビのインフォマーシャルの制作や評価に人工知能(AI)の活用を始めた。NTTデータグループとともに番組内容から入電件数など顧客の反応を予測する技術を開発。今年7月に行ったテスト検証では、入電数が従来比27・6%増になった。今後、制作する各種広告や情報コンテンツにも導入を拡大。主力スキンケアでも同じ技術を活用し、獲得効率の向上を図っていく。

 AIを使った技術開発を行うNTTデータと、IT活用等のコンサルティングを行うNTTデータ経営研究所とともに開発したもの。顧客が番組を視聴し、商品に興味を持って電話をかけるまでの反応を予測するAI「nAomI(ナオミ)」を構築した。

 「ナオミ」は、キューサイが2012年から今年にかけて放送した番組の映像と顧客の反応(入電件数)を機械学習することで構築している。映像を1分ほどのブロック単位に分け、入電件数などを分析。数千通りの組み合わせを学習しているという。

 今回、放映したのは、主力の機能性表示食品「ひざサポートコラーゲン」のインフォマーシャル。過去に放映実績のある番組の構成を「ナオミ」により再編集したところ、従来の手法で同時期に放送した番組より、入電件数が27・6%増えたという。

 キューサイのインフォマーシャルは、大きく3部構成をベースにしている。各部で商品価格やフリーダイヤルを表示。「ナオミ」による分析の詳細は開示していないが、「例えば3人のお客様の体験談を表示する場合、どういった順番で各部に編成するのが効果的かを導きだす」(同社)という。ただ、入電件数の多い素材の組み合わせが必ずしも高い反応率が得られるわけではなく、独自の分析で構成している。

 これまで、キューサイは、商品の魅力をいかに伝えるか、番組を通じた顧客体験の向上に向けた研究を行ってきた。ただ、グループインタビューなど記述や口述によるアンケートでは回答者の意識に依存した評価になり精度に限界がある。また、シーンごとのリアルタイムな印象に対し、きめ細かな評価を行うことも難しかった。アンケートを行う場合も、結果が必ずしも高い反応につながるわけではなく、制作に反映させる上で時間もかかっていた。

 「ナオミ」を使うことで迅速な反映が可能であることから、今後、主力のオールインワンジェル「コラリッチEX」のインフォマーシャルにも活用するほか、新たに制作する番組にも活用を予定している。

 NTTデータグループは15年、国立研究開発法人情報通信研究機構とともに、テレビCMを中心とした動画広告の評価・改善、出稿前の効果予測を脳情報解読技術を応用して可視化する技術の実証実験を行っていた。16年から、この技術を活用した広告評価サービスの提供を始めている。

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