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問題の発端は、昨年5月にJPがメール便を扱う宅配便事業者に対し、ポストに誤って投函されたメール便を着払いの「ゆうメール」で通販事業者等の荷送人に返還すると通知したこと。管理上の問題から、全国約70カ所の統括支店にポストに投函されたメール便を集約する現行の対応をやめ、1000カ所ある集配局で返還対応、統一的なオペレーションにするというのがJPの狙いだ。
JPとしては、年々増加するポスト投函メールの、処理負担が大きくなっていたことから打ち出した施策だが、細かく見ていくと根拠に曖昧な部分が散見される。
まず、着払い返還とした場合の金額。JPでは当初、1通当り200円程度を試算していたという。当然、メール便の返還に掛かるコストとなどを勘案して決められるべきだが、実際には郵便物等のコストに含まれるものもあり、「厳密に切り分けて算出するのは難しい」(JP郵便事業部)という。だが、自社のコストが把握できない中で、はじき出された200円程度の料金は妥当性が疑われても仕方ない。
その後、国交省が荷送人着払いのメール便返還は法的に問題があり処分対象になり得るとの見解を示したことを受け、JPが宅配便事業者側に無料での返還案を通知した点でも、着払いでメール便を返還しなければならない理由には疑問があるのだ。
他にもJPの対応には不可思議な点がある。その一つは誤って投函する理由を分析し、未然防止策を検討しようとする宅配便事業者に応じようという姿勢を見せてこなかったことだ。
問題の根源は、消費者が民間業者のメール便を誤ってポストに投函してしまうこと。その理由を探りJPと宅配便事業者双方で対策を講じることは、ポストに投函されるメール便を減らし、JP側の処理負担の軽減にもつながる。しかし、JPでは原因調査等を行う考えはなく、「原因を究明するのなら、宅配便事業者返還されたメール便の送り先を一軒ずつ回り、ポストに投函した理由を聞くという方法もあるはず」(郵便事業部)というスタンス。問題の原因を究明し、改善策を講じるというのは民間の宅配便事業者側からすれば当たり前だが、JPの感覚とはズレがあると言える。
このほかにもJPでは、5月からポストへのメール便投函防止ステッカーの貼付を始めたが、関係筋によると、今後の協議に関係する事項であるにも関わらず、国交省に報告がなく、宅配便事業者側にも事実が知らされていなかったという。
JPと宅配便事業者の間で1年間にらみ合いが続いたメール便返還問題。関係筋によれば、国交省が宅配便事業者とJPに近く会合を開くことを告知したという。ただ、両者のスタンスには依然大きな隔たりがあるのが実情で、協議の先行きは不透明だ。 (おわり)