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【西田耕三社長に聞く ナチュラムの成長戦略㊦】 「PB商品の認知高める」、キャンプブームが後押し

2019年 4月11日 13:20

 前号に続き、ナチュラムの西田耕三社長(=写真)に今後の戦略などを聞いた。

 ――売れたプライベートブランド(PB)商品についてどう分析している。

 「昨今のキャンプブームに合致したのが大きいではないか。1月に発売したテントは家族用の大きなものだが、1人でも短時間で設置できる点が評価されたようで、反応も良い。こうした機能は過去の商品にもあったわけだが、価格が高かった。手の届く範囲の価格で機能を盛り込めた点が大きいのではないか」

 「キャンプ用品の『ハイランダー』という自社ブランドをいかに顧客に認知してもらい、育てていくかが重要になってくる。ブランドとして認められるように、支持されるような商品の提案をどんどんしてくことが、他社との大きな差別化ポイントになるのではないか」

 ――PBの売り上げはどのくらいまで拡大する。

 「まだまだ少ないので、今の数倍以上にしなければいけない。もちろん品揃えは重要だが、プロパー品は価格競争に巻き込まれやすいので、利益を確保するにはPB強化が重要になってくる。同じ商品が並んでいたら安いサイトで買うのが当然だろう。ただ、アマゾンは確かに強いが、例えばルアーだけみると、品揃えが一番というわけでもない。当社としては専門性を活かし、愛好者に刺さるような商品を提案できるかがポイントになる。当社の場合、品揃えは充実しているが、ルアーなら何万点もある中で、顧客に見つけてもらうための工夫をもっとしていかなければならない」

 ――自社ブランドをどのようにアピールしていく。

 「3月に京セラドーム大阪で顧客向けの展示会を開催したが、そこで自社ブランド商品も紹介し、顧客から意見も聞いた。キャンプ関連のイベントも増えているので、ハイランダーとして出店し、ブランディングを強化していきたい」

 ――新規ユーザーの獲得も重要だ。

 「釣りに関しては市場が元気とはいえないが、去年あたりからキャンプが盛り上がっている。昨年放映された、女子高生がキャンプを楽しむテレビアニメ『ゆるキャン△』が人気になったり、お笑い芸人のヒロシさんによる『ソロ(一人)キャンプ』のユーチューブ動画が話題になったり、キャンプに目が向けられている。そこで、商品開発もキャンプを中心にしている。釣りについては底辺拡大が重要なので、『釣りを始めたい』と思っている人に興味を抱いてもらえるよう、通販サイトで初心者向けコンテンツを充実させている」

 ――自社サイトの売り上げ比率は。

 「全体の40%を切った。ポイント付与を目当てに、自社サイトから仮想モールの店舗に移行するユーザーがいる。ただ、自社サイトはコンテンツの作り込みが仮想モール店舗と全く違うので、顧客を呼び込むための工夫はもっとしていかなければならない」

 ――自社サイトに誘導しても、コンテンツを閲覧してから仮想モール店舗で購入するケースが考えられる。

 「高価な商品ならポイントがたくさん貰える方で買うだろうし、それは仕方のないことだと思う。ただ、自社サイトのコンテンツを充実させていけば、競合と比較した際に好感を抱いてもらえるケースがあるのではないか。また、コンテンツの作り込みでSEOの効率が上がっていく面もある」

 ――商材の拡大は。

 「もう1、2本柱が欲しい。ただ、過去にスポーツ用品などを扱っていた時期もあったが、赤字を出して撤退した経緯がある。まずは現在の事業を立て直すことが優先ではあるが、今期いろいろと検討したい」

 「3月4日付で、防災備蓄品などのBtoB販売を手がけるミヨシを子会社化した。ナチュラムの場合、地震などの災害が起きると、ランタンが売り切れになるなど、防災用品には需要がある。当社とシナジーがある商材なので、新たなカテゴリーとして考えている」

 ――アパレルも取り扱っているが。

 「売り方を見直したいと思っている。アイテム数が多いこともあり、きちんとした見せ方ができておらず、ナチュラムの中でブランドを表現するための売り場を作っていく。ただ、アパレルは競合が多いのでPBは考えていない。キャンプ用品はアパレルほどブランドが確立していないので、きちんと機能を作り込んでいけばチャンスはある」

 ――PB以外の差別化については。

 「キャンプと釣り専門の会社として、どれだけコンテンツを作り込めるか。そして、顧客と深い関係を築けるか。とはいえ、ヘビーユーザーになって高額商品を買うようになると、やはり価格で比較されてしまう。それは仕方のないことだが、例えば釣りをすれば必ず糸や針は買うわけで、当社を利用してもらえるチャンスは出てくる。初心者からヘビーユーザーまで、コンテンツを通じていかにファンになってもらうかだろう。歴史のある会社でもあり、ファンは多い。京セラドーム大阪のイベントも盛況だった。当社のビジネスはまだまだ大きくできると思っている」(おわり)


 
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