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【エブリー・動画コマースの現状②】 決済拡充でカゴ落ち減らす、タレントの起用も検討

2019年 4月18日 13:38

 動画サイト運営のエブリーが展開する、スマートフォン向けのライブコマースアプリ「CHECK(チェック)」だが、まだ利用する企業にとってもトライアル的な段階だ。今後本格的な販売チャネルに成長するためには何が必要なのか。梶原大輔取締役(=写真)は「多くの企業にとって、ライブコマースを利用するユーザーは、自社ではアプローチしきれなかった年齢層、つまり若い女性が多い。まずは企業側の『ブランディングに役立てたい』という期待に沿うようなプラットフォームにしたい」と話す。

 そのためにもまずは「ユーザーとの接触面を増やしていくのが先決」(梶原取締役)。現在は午後1時から午前12時までの放送時間を拡大していくほか、いずれは同時間帯に複数の番組を配信する。「いろいろなジャンルの番組を増やし、多様なユーザーがどれか1つの番組は見たくなるようにしていきたい。デパートでウィンドウショッピングをするようなイメージのアプリを目指す」(同)

 ライブで商品の魅力を深掘りすることで商品の競争力を高める。そのためにも出演者は重要だ。梶原取締役は「事前に商品を渡して理解を深めてもらったり、東急ハンズの番組のように、詳しい人にも出演してもらったりしている。また、例えば肉を焼く配信であれば、ガンマイクを使い音でおいしさを伝えるなど、番組の見せ方も大事だろう」と話す。

 公式チャンネルについては、現在取り扱っている商材の延長線上にある企業を取り込んでいく。具体的には、アパレルメーカーや家電メーカー、さらには有名小売り企業だ。また、テレビ通販番組とのネットにおける同時配信や、ファッション雑誌と提携した番組なども利用シーンとして想定している。

 3月19日には、オーガニック農作物のCtoCマーケットプレイス「食べチョク」を運営するビビッドガーデンと提携し、「農家のこだわり有機栽培野菜のライブコマース」を実施した。

 食べチョクは基準を満たすオーガニック農家であれば誰でも無料で出品者登録が可能で、1箱から農作物を出品できる。出品された農作物はサイト上から購入すると、収穫後すぐに農家より直送される。今回のコラボレーションでは、オーガニック農家の畑からライブコマースを実施。食べチョクの契約農家である「ベジLIFE!」のオーナーと家族が出演し、こだわりや美味しさの秘密、おすすめの食べ方などを紹介してもらった。

 現在の課題は決済手段の拡充。クレジットカード決済とキャリア決済しかなかったことから「決済手段の選択でカゴ落ちするユーザーが多い」(同)ためだ。そのため、3月中旬に後払い決済を導入している。

 また、番組面では屋外での出張ライブなども増やしていく。出演者はインフルエンサーなどが中心だが、タレントなどの有名人の起用も計画。梶原取締役は「タレントに出てもらうとそれなりのコストが必要になるが、どの程度効果があるのかを見てみたい」と話す。さらには、au関連サービスからの送客も課題となる。

 今後の取り組みについては「今はユーザーを増やすまでの準備として『バケツの穴をふさいでいる』段階。ライブコマースの良さに気づいてもらい、次の日もアプリを起動してくれるユーザーを増やしていく。そして気に入った商品を買ってもらうための環境を整えている」(同)。課題を解決し、今夏にもプロモーションを展開して新たなユーザーを取り込んでいきたい考えだ。(おわり)

 
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