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共感の時代のダイレクトマーケティング・クリエイティブ【第4回】

2019年 4月25日 00:00

クロスメディアによる、共感クリエイティブの増幅

こんにちは。通販事業の総合支援を行っている「株式会社プランクトンR」代表の、大久保悠祐です。本コラムも今回が最後となりました。これまでは、インサイト型クリエイティブが生まれた背景、実制作に置き換えた際の効果的な表現手法、さらにCRMにおけるアプローチの考え方をお伝えしてきました。今回ご紹介するクロスメディアは、これまでご説明したお話の応用版と言えるもの。近年、急成長を遂げる多くの企業が取り入れている効果的な手法を、ここで詳しく見てみましょう。

クロスメディアの強みは、幅広いターゲットへの訴求
 
 戦略を立てるには、まずクロスメディアの本質を見極めることが大事です。改めてご説明すると、クロスメディアとは、1つの商品やサービスに対しさまざまな広告媒体を用いて、宣伝・販促活動を行うことを指します。このことで、それぞれ異なる働きを持つ媒体同士が互いに相乗効果をもたらし、ターゲットとのコミュニケーションがより最適化され、集客向上の効果が見込めると言われています。
 
 そのメリットは多く、精度の高い販促へつながることはもちろん、広告媒体を利用しているため認知の向上にもつながります。さらに、第2回のコラムでご説明したように、若年層はwebの利用が中心となるのに対し、シニア層は依然マスメディアからの情報取得が中心となっている状況。クロスメディアはその訴求軸の幅広さから、どのターゲットにも無駄なくアプローチをすることが可能です。事実として、テレビCMで認知度を高め、折込チラシで刈り取るケースでは、レスポンスが数%アップしている例が数多く存在しています。
 
 しかしながら、その媒体の役割が見えないまま出稿してしまっては、せっかくのクロスメディアによる相乗効果が発揮できません。ブランドイメージを高めるのか、それともレスポンスを獲得するのか、導線を意識したうえで運用することが大切です。

各メディアに役割を持たせ、購買までの導線を設計
 
 では実際に、ある健康食品を例とした場合にどのような展開を行うべきか、メディアごとの役割を整理したモデルの一例を記載します。

 ●目的:商品理解の促進
  →ブランドWeb サイト
  → EC サイト
 ●目的:ブランドのイメージ喚起
  →ブランドCM
  →新聞広告(CM 連動)
 ●目的:顧客の刈り取り
  →インフォマーシャル
  →折込チラシ
  →新聞広告
  →バナー・ランディングページ
 ●目的:効能の啓蒙
  →啓蒙CM
  →啓蒙Web サイト
 

 ここではまず、主軸となるブランドサイトをもとに、CMで製品の認知を高め、次に説得力をもって競合製品との差別化を図り、その後も継続的にフォローアップする導線を引いています。
 
 焦点を絞ってみましょう。例えばテレビCMであれば、映像で広くリーチができる大きな影響力を持っています。製品やサービスのイメージをわかりやすく訴求するには最適のメディアですが、一般的に15秒と時間が限られているため、製品特性を詳しく説明するには向いていません。その場合、CMと世界観を統一させた新聞広告がポイントを訴求でき、同じベクトルの中でも異なるレイヤーから製品理解を深められます。
 
 一方、インフォマーシャルや折込チラシ、製品特長を強く訴求する新聞広告などは、製品やサービスの詳細な情報をしっかりと伝えて、説得することができる媒体です。先のイメージ喚起によって認知が高まったお客様を、単一媒体で訴求するより効率的に刈り取りが期待できる点は前述の通りです。
 
 また、課題インサイトを汲み取った啓蒙CMでは、まだ製品理解が浅い見込み客に対して、改めてその重要性に気づかせる機会を持たせられます。製品を知らない潜在層に対しても、自分ゴト化のアプローチができるのも副次的なメリットです。もちろん受け口は必要となりますから、その際は啓蒙webサイトを作成し、より効率的に運用を進めていきたいところです。

核となるメッセージでブランディングデザインを
 
 メディアごとの役割を策定した後に考えるべきは、そのクリエイティブです。
 
 より多くの集客を実現するには、複数のメディアを関連付けし、一つの集合体として考えることが重要です。ポイントとなるのは、もうお馴染みになったインサイト型クリエイティブ。媒体ごとに目的も表現手法も違うのは事実ですが、こと媒体特性を理解したうえで進める場合に限っては、異なる角度からターゲットの共感を増幅する作用が期待できます。
 
 もちろん、それはクロスメディアの土台がきちんとできている前提。意識したいのは、製品あるいはサービスの核となるメッセージを統一させることです。表現手法はさまざまですが、その製品やサービスを端的に言い表す「タグライン」を共通にするのが、シンプルかつ強力です。右にクリエイティブ例を挙げるので、参考までにご覧ください。
 
 タグラインは製品のブランディングに深く関わる要素です。上記のように、統一的なコンセプトに基づくことにより、表現は違えども一貫性を持って訴求できるのがポイントです。例えば、インサイト型クリエイティブの表現が脱線してしまった際も、軸がしっかりと固まっていれば原点に立ち返るスピードが違います。その分、メッセージがぶれてしまうと全体に影響を及ぼしかねないため、慎重にマーケティングリサーチを行ったうえで、論理的に隙のない訴求へブラッシュアップしていくことが大切です。
 
 最後となりますが、インサイト型クリエイティブをはじめ、これまでお伝えしてきた内容は今後のダイレクトマーケティングに非常に有効な手法です。より多くのレスポンスの獲得、そしてより長い顧客との関係性に向けて、ぜひご活用いただければ幸いです。

「共感の時代のダイレクトマーケティング・クリエイティブ」の全連載(全4回)
第1回目はこちら
第2回目はこちら
第3回目はこちら


著者プロフィール
大久保悠祐(おおくぼ・ゆうすけ)
株式会社プランクトンR 代表取締役社長。大広とファインドスターにて、多数の大手クライアントの通販事業(健康食品、化粧品)を担当。新規獲得からCRM支援まで多くの成功事例を打ち立てる。その経験をベースに独立。2011年8月にプランクトンRを設立。主にメーカー系通販会社に対し、広告支援、CRM支援を中心として業容を拡大。広告のインサイト型クリエイティブや、CRMではLOVeメールフレームといった、実績に基づいた最新理論を次々と打ち立てる。
 
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