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PLANA 物流事業に参入、関東・九州で共同配送ネット構築へ

2019年11月28日 15:00

 テレビ通販番組の制作から広告代理業までワンストップで行うPLANAが物流事業に参入した。庫内作業を行う複数の3PL事業者と連携し、通販企業に代わり共同配送のネットワークを構築。通販の配送費用の値上げ傾向が続く中、取引先の通販事業者を物流面からも支援する。
 
 物流代業は、福岡と埼玉に拠点を持つ3PL事業者と連携して行う。自らも北海道にあるグループ企業が自前の倉庫を持ち、北海道の特産品を中心に通販を行う。3社のネットワークを活かすことで、全国の顧客に安定的な価格で配送できる物流網を構築する。協力会社2社も、物流業界で長年ノウハウを蓄積しており、庫内のピッキング作業などコスト面で価格競争力を持つという。

 参入の背景には、昨今の配送料値上げがある。ヤマト運輸は17年10月に基本運賃の値上げを実施。佐川急便、日本郵便もこれに追随する。以降、「適正運賃収受」を名目に配送料値上げの傾向は続いている。

 通販企業にとって、これら市場環境の変化は、持続的な事業運営上のリスクになっている。多くの通販企業は、物流などフルフィルメント領域で、1社抱え込みによるコスト低減を図ってきたためだ。その中で市場環境の変化への対応力を失い、配送運賃値上げの要請においても交渉における主導権を握れないでいる。

 PLANAでは、通販企業に代わり、共同配送の仕組みを構築することで1社依存の体制からの脱却をサポート。複数の通販企業の出荷を請け負い、一定規模の出荷量を確保することで、配送料の安定化を図る。

 物流を手始めに、フルフィルメント領域で支援領域を拡大していくことも視野に入れる。

 例えば、決済カートシステム移行では、物流事業者が利用する「配送システムとの連携」、「データベース移管」などで膨大なコストがかかる。PLANAでは取引先企業の要望に応じ、物流事業と並行して配送ログデータをシステム連携しやすい互換性の高いデータベースに修正して独自に保有、管理。これにより、通販企業の成長に応じたスムーズなシステム移行もサポートしていく。

 将来的に、コールセンターや販促面でも取引先となる複数の通販企業の共同企画の取り組みの場を増やしていくことを目指す。バックヤードの負担を軽減し、通販各社が本業に投資を集中できる体制の構築を支援する。



通販企業結ぶ「物流」のノウハウ

<物流参入の狙いは? 三好社長に聞く> 


三好社長に、物流事業参入の狙いを聞いた。

 ――参入の狙いは。

 「通販企業の成長には、ノウハウを持ち、これを下支えする協力会社の存在が不可欠だ。物流、コールセンター、広告など各協力会社と強固な関係を築き成長を果たす企業が少なくない。一方、1社依存はメリットもあるが、突然の市場環境の変化に弱い面もある。当社が複数の通販企業を結ぶハブとなり、各社が乗り合える物流プラットフォームを構築できればと考えた」

 ――市場環境はどう変わったか。

 「昔は、物流事業者にとって多くの通販企業が上得意客だった。通販会社も物流事業者の1社抱え込みで配送料を抑えてきた。だが、通販市場の拡大を受けて出荷量が増加し、配送値上げ問題が各社の利益を圧迫している。1社依存のままでは、各社が配送キャリアとどのような価格競争を行っているか情報が集まらず、交渉の主導権も配送キャリアに握られる」

 ――参入は後発だが、どう配送料の安定化を図るのか。

 「送料は、出荷場所から配送先の距離によって、近隣の『第1、第2地帯』、遠方の『第4、第5地帯』といった形に区分されている。『第1、第2地帯』は最も値上げの影響を受けにくいエリア。全国に拠点を分散し、おおよその配送先を『第1、第2地帯』で結べれば、拠点を分散してもなお配送料の総額を抑えられる。関東・九州に拠点を持つ2社をベースに配送ネットワークを構築しつつ、複数社の配送を受託することでスケールメリットを出して交渉する」

 ――支援領域は物流にとどまるのか。

 「これからは1社独占ではなく、いかに乗り合いの場を構築し、最適化を図るかが求められる時代になる。物流だけでなく、コールセンター、販促企画などマーケティング分野でも共同企画が行えれば、製作コストなど低減を図っていくことができる。抑えたコストを本業の成長投資に回すサポートができればと考えている」

 
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