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新型コロナウイルス拡大 通販への影響限定的?、店頭はマスク代用商品が人気

2020年 2月27日 13:30

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、各社リモートワーク導入やイベント中止など対応に追われる。一方、市場では生活者の不安を受けて活発な動きを見せる商品もある。通販へ影響は、今のところ限定的。店頭では、新型コロナ警戒で品薄になるマスクに代わる商品の需要が高まる。

 小林製薬の「ぬれマスク」シリーズは、前年比9%増とマスク難民の需要を取り込む。通常は、就寝時や移動時の加湿で使う商品。3セット400円とマスクとしては割高だが、”マスクがないならせめて”と代用の購入が増える。

 「のどぬ~るスプレー」、「アイボン」などのシリーズも2月の販売数量は前年に比べ、それぞれ3倍、1・5倍に伸びる。「のどぬ~る」は、かつて配合するヨウ素のインフルエンザウイルスに対する研究リリースを発表。”コロナによい”との噂がSNSで拡散。販売増につながる。「とにかく除菌、抗菌のコピーのあるものは売れる」(同)とする。

 市場からマスクが消える中、これに代わり店頭のメインスペースを占めるのがビタミンC関連の商品だ。「風邪をひいたらビタミン、のイメージから売れている」(同)。ファンケルもビタミンC、ビタミンD関連の購入が増えている。店頭ポップでは、中国語で「今まさに必要な商品」、「冬の体調管理に」など情報訴求を強化。通販、越境ECでも好調という。

 インフルエンザ対策で冬場に露出が増える乳酸菌関連の商品も好調だ。「プラズマ乳酸菌」を配合する飲料、サプリを展開するキリンホールディングスは「飲料が前年の2倍、サプリは50%増、ヨーグルトは13%増」(2月15日時点)で推移。一方、アサヒグループは「目立った動きはない」(アサヒグループホールディングス)という。

中国依存のサプライチェーンに影響

 調達面の影響も出始めている。影響があるのは、製造を中国に依存するアパレル業者。通販サイト制作支援を行うBASEのもとには、サービスを利用するアパレルブランドから「商品が仕入れられない」「生産体制の停滞で受注販売期間内に商品発送できない」といった声が多く寄せられている。これを受けて、中国生産に代わる国内外の代替生産先、サプライヤーの紹介を開始。利用ユーザー以外にもその対象を広げる。丸井グループのD2C&Co.も生産先の紹介を始めている。

 ある家電通販は、空気清浄機や除菌関連の製品について「まだ動きはない」と話す。ただ、製品の多くは中国製。「コロナの影響が拡大すれば品薄になる」と警戒する。中国産原料を扱う健食メーカーも「状況を注視している」とする。

従業員や顧客への安全配慮進む

 従業員や取引先への対応も始まっている。化粧品通販のオルビスやランクアップは、早くからテレワーク、通勤の混雑を避けたオフピーク通勤を推奨。社内アナウンスを行い部署単位の判断で柔軟な活用を促す。楽天は2月19日から、時差勤務の対象範囲をグループ全従業員に広げて推奨。中国からの帰国者などを対象に行っていた在宅勤務の対象も拡大した。社内会議も原則禁止し、テレビ会議にする。スマホケース通販のHameeも同日、東京、大阪に勤務する従業員の在宅勤務推奨を発表した。各社、来客対応でも、応対スペースの制限やテレビ会議による打ち合わせなど対応策を打ち出す。

 ファンケルやランクアップは、社内にコロナ対策会議を設置。刻一刻と変化する状況に対応する。ランクアップは、厚生労働省が「37・5度以上、4日間」という受診目安を公表したことを受け、出社時の社員、来客者への検温を決めた。ファンケルも週3日、各部門の責任者が情報共有と対応策の検討を行う。顧客の安全に配慮した対応策を検討。店頭の接客はマスク着用と消毒による衛生管理を徹底し、タッチアップによる接客を避ける。ランクアップも店舗でタッチアップによる接客を自粛するほか、月2回行う食事会やスキンケア講座などファンイベントの開催を取りやめた。3月以降も対策会議で、対策期間の延長を検討する。

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 EC市場では、コロナの感染拡大に便乗したマスクの高額転売など悪質商法も横行する。楽天では、以前から災害時等に乗じた商品価格変更を規制する自主ガイドラインを運用。1月末、全店舗に指針に沿った運営を要請した。ルール違反に罰則を課す「違反点数制度」の対象にはしないが、高額販売を確認した場合、商品掲載の取り下げを勧告する。
 
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