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スタイルヴォイス D2C軸のECへ事業転換、インフルエンサー起用し商品開発、株主構成も変更に

2021年 4月22日 13:00

 スタイルヴォイスは、3月31日付けで株主構成を変更した。既存のマッシュホールディングスとジュンに加え、新たにサイバーエージェントと、玩具の企画製造販売を手がけるメディコム・トイが出資。マッシュが全株式の過半数を持つ。運営するメディア型通販サイト「スタイルヴォイスドットコム」についても4月26日にリニューアルオープンし、D2Cブランドのプロデュースが軸のECとして再スタートする。

 新しい株主になったサイバーエージェントは、デジタルマーケティング以外にもエンターテインメント領域でのメディア・コンテンツ開発に長けているという。メディコム・トイは「スタイルヴォイスドットコム」の出店者として実績があるほか、ユニークな視点と発想力を持っており、両社が参画することで”企画力・発信力・オリジナリティ”の面で独自価値を発揮できるとしている。

 「スタイルヴォイスドットコム」は2019年11月にオープン。人気モデルやスタイリストなど影響力のあるキュレーターが記事コンテンツを発信するメディア型ECを武器に、親会社の商品を含むファッションやビューティ、ホーム&フードを扱うECモールとして運営してきた。

 一方、約50ブランドを扱うECモールを運営する上で、システム投資やEC人材の確保といったリソース面が課題だったほか、後発のECモールとして存在感を高め、利益を出すには自社の強みを最大限に生かす必要があったという。

 新たな成長戦略を描く上でヒントとなったのが、昨春のコロナ禍で企画したワンマイルウエアの特集だった。

 スタイルヴォイスでは、ファッションデザイナーの川島幸美さんが手がけたワンマイルウエアセットがヒット。おうち時間を充実させたい消費者ニーズをつかんだのに加え、川島さんのファンであるインスタグラマーが当該アイテムを気に入って発信するなど、インフルエンサーのSNS経由で情報が拡散され売り上げにつながった。

 そこで、同社はインフルエンサーとコラボして彼女たちが今欲しい商品、作りたい商品に照準を合わせ、昨秋から複数のD2C商品を試した。コラボしたインスタグラマーの熱量が投稿やライブ配信で伝わったこともあり、どの商品も初速がよく、プロパー価格で売れたという。

 テスト結果を受け、今春のサイトリニューアルに合わせてD2Cのブランドや商品をスタートする。同時にモール型ECから、”ここでしか買えない特別感のあるD2Cブランド商品が手に入るメディア型EC”にリモデルする。

親会社の生産背景を活用へ

 同社によると、「スタイルヴォイス」に参加するキュレーターもコロナ禍で生活スタイルが変わり、活動の場も変化する中、物作りに参加したい気持ちが高まっているようで、キュレーターを起用したD2Cも強化する。

 サイト刷新に先がけて、4月1日にインスタグラマーのmisatoさん、maiさん、miyuさんの3人をディレクターに起用したアパレルD2Cブランド「スタイルヴォイスフォー」を始動。11型の新しいベーシック服を提案し、売り上げは好調のようだ。

 サイトは4月26日にリニューアルオープン(画像はイメージ)。同月27日には「スタイルヴォイス」でキュレーターを務める山田優さん、5月中旬以降は剛力彩芽さん、美香さんなどと協業したD2Cを始める計画で、年内に10程度のD2Cブランドやアイテムラインを発表する。

 また、システムはマッシュ子会社のウサギオンラインと同じ仕組みを活用して効率化を図る。

 スタイルヴォイスでは、オリジナルブランドや協業による企画など、独自の価値を持ったラインアップの開発を加速。その際、「マッシュとジュンの物作り背景を活用して品質を担保できるのは強みになる」(片山裕美社長)としている。

 リモデルから2~3年後には売上高20億円を目指す方針で、そのためにも「スタイルヴォイス」内だけでなく、外部サイトにも打って出る。

 4月上旬からはD2Cの「スタイルヴォイスフォー」をマッシュグループの「ウサギオンライン」で販売を始めたほか、その他ECモールでの販売も視野にある。

 5月下旬には新宿ルミネ2でポップアップストアを開催する予定で、「スタイルヴォイスフォー」や山田優さんとの企画などD2Cブランド群を展開する。

 D2Cを本格化する秋以降は、認知拡大を目的に百貨店やファッションビルを中心にさらにポップアップを展開したい意向だ。

 一方、メディアとしての役割も強化する。インフルエンサーを軸にした企画力を生かし、「スタイルヴォイス」内で企画、販売するD2Cだけでなく、ファッション誌のような役割を担ってさまざまなブランドとコラボした商品を開発したり、「スタイルヴォイス」で記事コンテンツを展開し、協業ブランドのECに送客する事業などにも挑戦する考え。
 
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