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【トクホ 終わりの始まり 11.サプリの逆襲③】

2021年 7月15日 13:00

時代の針を逆に回した報い

 特定保健用食品(トクホ)を含めた日本の食品規制を非関税障壁として見直しを求めてきた米国サイド。軌を一として日本でもサプリメントブームが到来し、トクホの存在感と存在価値はますます薄れていく。そして米国の要求はトクホにも改変を促すことになる。

                        ◇

 平成8年3月、政府の市場開放問題苦情処理対策本部(=OTO本部)は、在日米国商工会議所などから出されていた「『栄養補助食品』の位置づけの明確化と規制の緩和」について検討結果を発表する。

 「医薬品と食品の区分方法について、中長期的には食品素材や成分に対する規制の緩和を含め、栄養補助食品を新しいカテゴリーとする対応をとることを検討する」

 「形状(剤型)の制限については、消費者において自ら正しい選択ができ、両者を混同しないように明確に食品(栄養補助食品)としての適切な表示がなされれば、廃止または大幅な緩和を行う」

 「表示の制限については、適切な摂取方法や栄養補助的効能、注意表示等について、消費者が自分に必要なものを的確に選択できるような表示を可能とする」

 OTO決定は閣議決定であり、特にこのケースは同盟国の米国との約束だ。

 この決定に基づき、「日本でもサプリメントの規制緩和が進み、トクホも事業者に使いやすく改善がなされていった」と記したいところだが、厚生省は徹底的に抵抗する。

 96年ビタミン、97年ハーブ、98年ミネラル1年ごとに検討会をつくり、専門家で議論する。明らかに時間稼ぎだ。検討会を通じて、ビタミン・ミネラルに特化した栄養機能食品制度ができたのが2001年4月。トクホとあわせて、「保健機能食品制度」となる。実に5年。普通に考えて、それほど時間を要するとは思えないが、世紀をまたぐプロジェクトとなった。

 さらに2001年の時点で、剤型の規制が事実上撤廃され、錠剤・カプセルが食品でも使えるようになる。
 実はこれは両国首脳案件で、小渕総理とブッシュ大統領の会談時に話題となり、小渕総理が了解したという話が、この当時まことしやかに流れていた。そこまでの大事とは思えないが健食業界都市伝説として、今も語り継がれている。

 91年のトクホ創設の失敗のポイントは、(1)弱い表示(2)厳しい許可要件(3)錠剤・カプセルの除外だった。

 96年に米国からの要求で(1)栄養補助食品のカテゴリー新設(2)錠剤・カプセルの使用可が求められ、2001年にようやく実現する。

 そして業界は、米国から僥倖の様にもたらせたビタミン・ハーブ(食薬区分)・ミネラルの規制緩和に集中して、サプリメントにエネルギーを使う。

 実際、この時期に活躍していた業界のプレイヤーは、トクホの前身である機能性食品の時代に活動していた人物が多かった。捲土重来という思いもあったのだろう。

 この間、トクホは実質的に蚊帳の外。許可品目もほとんど伸びず、業界からもほとんど相手にされていなかった。現実の市場で、売上げを躍進させているサプリメントをも取り込む、新しいカテゴリーへの期待が大きかったからだ。

 初めの設計を間違えるとすぐに現実との乖離が起こり、機能しなくなる。トクホの最初の10年は正にこれを示したものであるといえよう。

 時代の針を逆に回すことの罪は大きいのだ。(つづく)

 
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